不動産トピックス

クローズアップ 防音編

2020.12.07 14:53

 働き方の多様化が進んでいるが、「防音」への意識も多様化している。外部との遮断ではなくオフィス内、家庭内防音の時代だ。周囲の騒音を防ぐほか自分の発信する「音」を漏らさぬようガードする製品も誕生している。

ピアリビング 新しい防音の時代 組立て式個室ブース、パーティーション
 防音専門のピアリビング(福岡県宗像市)が開発した「快適集中パーティーション ココスペース」、自分で組み立てる個室ブース「おてがるーむ」が好評だ。「ココスペース」は、吸音パネル製のパーティーション。コの字型に立て、机の上などに設置し仕切るだけの手軽さ。高さ50cmから58cmで空間を遮断するわけではないため、完全な防音ではないが、吸音効果により音を弱くするという。素材はポリエステル100%の硬質フェルト。コの字型のパネルの下部はPCや電器スタンドなどの配線用の隙間がくり抜かれている。落ち着いたグレーの色で視界をシャットアウトし、集中しやすい環境ができる。
 「オフィスの机と同じように、メモを書いたり腕を伸ばしたりできるよう工夫しました。完全な防音ではなく音を吸収するだけですが、意外に効果はあります。また、変わった使用方法ですが、室内ペットのサークルにも向いているようです。動物の音は意外に部屋の中で響きますから、囲みサークルなどにすると丁度良いみたいです」と語るのは同社代表取締役・室水房子氏。
 「おてがるーむ」は組立て式防音ブース。段ボール素材ではあるが、換気もできる構造で、もちろん防音効果もある。「こちらは、仕事用でももちろんですが、楽器を練習したい方などにも好評です。使用している吸音材は、音が反響しないので録音に非常に向いているとの声が多いですね。会議や動画配信用の需要が高いです。また、『家庭内防音』になると喜んでいただけています」(室水氏)。
 テレワークは広がっているが、家庭の中で仕事をする場合など、「仕事の音」は他の家族にとっては「騒音」となることもある。また職場でも、一人がオンライン会議、隣席では電話会議など、同じ職場内での防音も需要があるだろう。「オフィス内防音製品」も今後は普及してくるかもしれない。購入前に相談も可能だ。
 「オンライン防音相談も始めました。スマホを使って移動しながら、個別のお部屋の状況を見せて頂きながらアドバイスさせて頂いています。中国やシンガポールなど海外へも展開中です。これからも『音』の課題解決に取り組んでまいります」(室水氏)。

阿津坂商事 テレワークパネルを開発 建具の技法を参考に
 阿津坂商事(福岡県大川市)は、新型コロナウィルスの影響でオフィスや施設内空間の仕切り、テレワーク用の防音パネル等のニーズが増えていることから、デスクトップ型のテレワークパネル「yokasugit(よかすぎっと)」を開発した。
 同製品は470年の歴史を持ち、家具の産地として知られる大川で古来より伝わる「建具」の技法を参考にした製品。木肌の風合いと香りの良さに定評のある熊本県の小国杉に「スリット(溝)」加工を施すことで素材が有する効果を最大限引き出した杉小口スリット材を用い、快適に仕事や学習ができるよう工夫した。
 同製品に使われる杉は、自然環境豊かな小国杉を温泉の地熱を使った低温地熱乾燥方法でゆっくり乾燥させるため、杉が持っている成分を損なわないかたちで製品に仕上げている。
 杉の成分「セドロール」は、体内時計を整えるホルモン「メラトニン」や、安定と鎮静をもたらす脳内物質「セロトニン」の分泌を促すとされている。
 木口にスリット(溝)を規則正しく入れることで、有害物質(二酸化窒素・ホルムアルデヒド等)を吸収し、有効成分であるセドロールを放出する機能をアップすることに成功した。これにより、スリットにはホコリがたまらず掃除の必要がない。
 さらに、スリットが音の反響を低減させる。防音や吸音ではなく「調音」という機能で、携帯電話での会話、PCでの会議システム利用時にも自然な音環境を提供する。
 コンセント口は2口(電源/15A・125V・1200Wまで)付属する。パソコンやデスクライト等に使用できる。また、スリット部分のどこにでも差し込んで使えるスマホが置ける大きさの小物置きも付属する。
 パネルは3枚(左面・中面・右面)に分かれ、コンパクトに収納できる。組み立ては左右のパネルをそれぞれ2カ所、金具にひっかけてスライドするだけで楽に組み立てることができる。
 同製品は、サイドパネルの幅が380mmの「サイドパネル38タイプ」、サイドパネルの幅が580mmの「サイドパネル58タイプ」の2種類用意されている。

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