不動産トピックス

クローズアップ クラウドキッチン編

2020.09.28 11:32

 新型コロナウイルス禍でフードデリバリーが定着してきた。ニューノーマルにマッチしたビジネスとも目される。既存の飲食店舗が難しくなるなかで、ビルオーナーにとっても新たなテナント候補の一角となるかもしれない。

白金にクラウドキッチン誕生 急増した食事の宅配需要にターゲット 撤退相次ぐ飲食店に代わる新たなテナント候補に

 コロナ禍で生まれた「中食」需要。それを支えるものとして、宅配サービスが伸びている。そのなかで、デリバリー専門キッチンである「クラウドキッチン」の新店舗が白金高輪に誕生する。
 建築商売(東京都渋谷区)とグループ会社のOUR KITCHEN(東京都渋谷区)は「白金高輪」駅近くのビルの1階にデリバリ―特化型のクラウドキッチン「OUR KITCHEN」を10月1日にオープンする。
 クラウドキッチンはネット注文とデリバリーに特化した客席のない店舗のこと。複数のシェフや飲食店オーナーが入居する約30~50坪の広さのキッチンスペース。それぞれに独立した厨房設備を設置し、複数のデリバリープラットフォーム(飲食店と顧客をつなぐ仲介サイト)を活用しながら即席デリバリー向けの店舗を運営する。開業及び運営に必要となるプラットフォームの登録手続きや配達要員の確保、開業後のマーケティングサポートはOUR KITCHENで実施する。入居者は食べる人の満足度の高い料理の提供に専念することができる。
 白金高輪店ではデリバリー初出店、初の店舗展開含めて7店舗が入店する。和洋中やタイ料理、ベーグル店など多彩な店舗がそろった。
 物件はもともとスタジオとして使用されていた。駐車場スペースが確保されていることなどが決め手となった。
 両社は年内に東京都港区、渋谷区を中心に10店舗を出店する予定。建築商売の田口啓右社長は「IT化が進み人々が容易に携帯からデリバリーを注文できる時代になり、家での食事のあり方が変わってきています。加えてコロナウイルス感染拡大の影響で自宅にいる時間が増え、自宅で食事をとる回数が増えました」としたうえで、「スマホから注文をして、カード決済、デリバリーは置き配と、非接触で行える為、今後もデリバリービジネスは拡大傾向にあると考えます。また、既存の宅配、出前よりもワンランクアップした『自宅でちょっと贅沢な食事をとる』という需要も拡大していくと思います」。運営を行うOUR KITCHEN社長の須藤真希氏は「デリバリーはレストランと違い、直接お客様の表情や意見を聞くことができません。そこで大切になるのが、料理の質、パッケージやちょっとした気遣いだと思います。今までレストランで可能だったお客様とのコミュニケーションが不可能だからこそ、届いた料理にがっかりしないクオリティーにする事がリピーターを増やす大事な要素になってくると思います。それら、利用するお客様側の声と入居店舗の実情をうまくマッチさせながらここで注文する事が楽しみになる様なブランド作りをしていく所存です」と意欲を示した。店舗展開と並行して独自のデリバリープラットフォームも開発する。来年の稼働を目指していく。
 既存の飲食店テナントはコロナ禍で生活習慣が変わるなかで経営が厳しくなり撤退も続いている。新たなテナント候補としても将来有望な業態になるかもしれない。

出前館が江東区に基幹拠点 クラウドキッチン併設
 出前サービス「出前館」を運営する出前館(大阪市中央区)は11月24日に複数のクラウドキッチンを併設した「シェアリングデリバリーR」の旗艦拠点をオープンする。場所は東京都江東区大島近辺。
 拠点は3つのキッチンを備えた調理スペースと飲食店の配達代行を行うための自転車やバイク、配達員のオペレーション室を備える。低リスクで事業トライアルができる店舗と販路、また同社で蓄積しているデータを駆使したデリバリーのノウハウを提供し、フードデリバリーとテイクアウトの専門店として店舗開業希望者の立ち上げをサポートする。

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