不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2020.09.23 13:48

アパホテル 六本木5棟一斉オープン
 アパホテル(東京都港区)では、東京・港区エリアにある六本木通りに全6棟・総客室数1001室から成る「アパホテル<六本木SIX>」をオープンさせた。総客室数では六本木エリア最大級となる。足元の稼働が落ち込む中でも攻めの戦略を進めていく。
メイン通りに計6棟 総客室数1001室
 ホテルは、既存の全142室の「アパホテル〈六本木一丁目駅前〉」の隣地に新たに連続して5棟859室を建築、合わせて全6棟・総客室数1001室を一体とした管理・運営を行う。
 一体管理・運営にあたり、「アパホテル〈六本木一丁目駅前〉」はA棟に改称し、それぞれB棟からF棟を付番。中心となるC棟をメインフロントに据え、館内に2つのレストラン(A棟1階、D棟1階)とミニコンビニ(B棟1階)を配置した。首都高速道路を走行する車からも視認できる連続したホテル群で、六本木エリアの新たなランドマークとなるホテルを目指していく。
 東京メトロ南北線「六本木一丁目」駅徒歩3分、東京メトロ日比谷線・都営大江戸線「六本木」駅徒歩7分、東京メトロ銀座線「溜池山王」駅徒歩7分と3駅4路線が利用可能な場所に位置。都内屈指の繁華街である六本木エリアに位置することから、ビジネスのみならず、国内レジャー、インバウンドなど幅広い宿泊需要を取り込んでいく。
 客室は、高品質・高機能・環境対応型を理念とする同社独自の「新都市型ホテル」の最新仕様として、今回新築した5棟の客室には、全室に空気中の花粉やカビ菌、ウイルスなどを無効化し、脱臭効果のある「ナノイーX」を搭載し、従来機より人にやさしい風の流れを追求した新型エアコンを導入し衛生対策を強化したほか、ベッド下に荷物の収納スペースを設けたオリジナルベッド「Cloud fit Grand(クラウドフィット グラン)」を導入した。
既存施設も大改修 最新設備を導入
 同時に旧「アパホテル〈六本木一丁目駅前〉」のA棟もリニューアル。全客室共通して、50型以上大型液晶テレビやLEDシーリングライトを採用している。全客室の大型液晶テレビには、「アパデジタルインフォメーション」を導入。館内案内をテレビ画面上に集約表示しているほか、自身のスマホからYouTubeで好きな動画や写真などを映すことができる「ミラーリング機能」、テレビリモコンでチェックアウト時間の延長手続ができる「セルフ延長機能」などを搭載している。
 また、リュックサック等を掛けるフックを設けた多機能姿見、ほぼ全世界のプラグに対応するユニバーサルコンセントを導入するなど、機能性・利便性を追求したつくりになっている。
 最先端のIT開発として、全予約経路対応、8種類のスマホ決済にも対応するチェックイン機に加え、クレジット決済に特化した小型の卓上型チェックイン機を導入。  公式サイト、アプリにて事前にクレジットカード決済をするアプリチェックインを行うことで、当日のチェックイン手続きが大幅に簡素化される為、非接触型のチェックインを標準化した。
 「新型コロナウイルスの影響で東京五輪も開催延期となったが、当社は一時的なイベント需要に合わせてホテルを開業しているわけではなく、コロナ禍においても計画通りに開業を進めている。現在、宿泊業界全体で厳しい状況が続いているが、厳しい時ほどシェア拡大のチャンスでもある。 FC転換、買収、M&Aによる積極的な拡大戦略を図り、市場シェア20%、寡占化一番乗りを目指していきたい」(グループ代表 元谷外志雄氏)。
 同社はホテルネットワークとして海外、FC、パートナーホテルを含む全国最大級の658ホテル10万1428室を展開しており、年間宿泊数は2019年11期実績で約2613万名に上る。
 2020年4月にスタートした「SUMMIT 5―3.(第三次頂上戦略)」では、国内で圧倒的なNo.1ホテルチェーンとなるべく、2025年3月末までにアパホテルネットワークとして15万室展開を目指していく。

TRUNK スタッフのスキルアップに3施策 多店舗化の加速で
 渋谷区・神宮前のブティックホテル「TRUNK(HOTEL)」などを運営しているTRUNK(東京都渋谷区)では、社内異動制度「TRUNKドラフト会議」、採用制度「FIND TRUNKERS制度」、人材育成制度「アルバイト人材育成プログラム」の3施策を今期より導入した。
 同社は現在、2017年5月開業の「TRUNK(HOTEL)」(東京都渋谷区)、2019年8月開業の「TRUNK(HOUSE)」(東京都新宿区)の2軒のブティックホテルを運営しているが、今後都内に多数のホテルを新規開業していく計画があるという。また、同社の運営するホテルはライフスタイル感度の高い層をターゲットとしているため、画一的なサービスの提供では利用客に満足を与えることが難しい。
 このため、”マニュアルのない運営”を採用しているのが特徴だ。従って、従業員一人ひとりが高い主体性を発揮して行動すること、アイデアを自由に検討・発信できる環境を会社として整えることが重要となっている。
 そうした中長期戦略や事業特性を鑑みて、2020年度よりさまざまな人材採用・育成施策を順次導入する。
 今回導入の3施策はその第1弾にあたり、「TRUNKドラフト会議」では従業員への成長機会の提供、「FIND TRUNKERS制度」ではTRUNKにフィットする人材の採用、「アルバイト人材育成プログラム」ではTRUNKらしいサービス品質の向上を狙いとしている。 
 「TRUNKドラフト会議」は、年に2回・およそ3カ月に亘って全社一斉で開催される社内異動制度で、第1回は10月に開催。  特定部門の募集が開示されるのではなく、全部門がオープンポジションとなり、別部門にチャレンジしたいと考える社員や自部門で働いてほしい社員がいる部門長などが利用できる。
 「FIND TRUNKERS制度」は、社員紹介により新規採用ができ、新規採用者が一定期間在籍した場合に、紹介した社員に対して謝礼金が支払われる制度。同社では2019年度の採用者の応募経路のうち約3割が社員の紹介によるものであり退職者もがほとんどいなかったことから、本格的に採用するもの。
 「アルバイト人材育成プログラム」は、2020年8月以降に入社するアルバイト人材(直近入社した既存アルバイト人材を含む)を対象とする人材育成制度。
 同社はブライダル業界大手のテイクアンドギヴ・ニーズ(東京都品川区)のグループ企業で、2017年5月に日本初の本格的なブティックホテルTRUNK(HOTEL)を開業した。

スーパーホテルが石川県に初出店
 国内で155店舗のホテル運営を展開しているスーパーホテル(大阪府大阪市)では、9月5日に新たに「スーパーホテルPremier金沢駅東口」(石川県金沢市)をオープンさせた。石川県初出店となり、Go Toトラベルキャンペーンの対象施設だ。
 同ホテルは、「金沢」駅から徒歩約7分。金沢21世紀美術館や兼六園、近江町市場、にし茶屋街、ひがし茶屋街といった主要観光地まで徒歩やバスでアクセス可能な立地にある。
 建物はRC造10階建て。部屋にベッドが合計4台ある客室タイプを同社として初めて設置した。Go Toトラベルキャンペーンや、小旅行を視野に入れ、家族連れでも安心して利用できるホテルを目指す。
 全客室天井仕上げに珪藻土を使用することで、室内の調湿と脱臭効果を見込む。4K対応49インチ壁掛け大型テレビを客室に設置するほか、9室にはシーリングライト一体型のプロジェクターによるシアタールーム設置した。
 また、複層ガラス採用による、遮音及び断熱性能のある窓ガラスを使用、客室扉へのマグネット付エアタイトゴムの採用により光漏れを防ぎ、遮音性を高めた。更に「快眠」を追求するために、大阪府立大学名誉教授の清水教永医学博士と共同開発した、ポケットコイル5ゾーン構造による最適な寝姿勢で快適な眠りを得られる快眠ポケットコイルマットレスを採用した。
   金沢初出店においてコンセプトとなるのは「地域活性化」だ。地産木材を活用した家具をホテル内に設置し、金沢大学を支援する古本募金プランや、百番街(あんと・あんと西・Rinto)・近隣店舗で使用できるお買物券がセットになったプラン販売を行うなど、地域との取り組みを強化し、金沢を盛り上げていきたいという。

「VR」サービスでビジネス需要掴む
 マックスパート(東京都千代田区)は、既存事業である貸し会議室と研修特化型ホテルの空間提供に加え、デジタルコンテンツ、オンラインを活用したサービスで利用者の体験価値を向上させるサービスを展開する。
 「VR」を活用したサービスを導入する。新型コロナの影響で、催事のかたちが変わる中、例えば各地分散化しての状況では一部参加者がオンライン参加になることによるコミュニケーションの希薄化や、開催機会の減少によって一つの開催にかける重要度がますます高まることなどが考えられる。その課題を解決するための方法として新たに展開するもの。
 VRは、ゲームやエンターテインメントの分野向けというイメージがあるが、新人研修・教育・現場トレーニング、またプレゼンテーションでの活用を想定した商品の開発が進んでいる。平面なパソコンや紙からは得ることの出来ない、空間での直感的な体験が可能になり、「集まる」という貴重な場面においてコミュニケーションの質が大きく向上するメリットがある。
 さらに、本来なら会議室に物理的に持ち込むことのできない大型設備や、遠方の工場での生産工程などを見ることもでき、ビジネスの場面にも貢献することが可能だ。
   一方「リアル」でも、ウィズコロナ時代に即したソーシャルディスタンスに配慮したレイアウト・会議室の使い方、感染症予防対策、飛沫予防の備品導入など、安心安全に利用してもらえるようサービスを強化していく考えだ。

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