不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2020.02.10 14:57

and factory IoT体験型スマートホステル13店目開業 3つの最新サービス提供
&HOTEL NAMBA2月1日から始動
 and factory(東京都目黒区)では、IoT体験型宿泊施設であるスマートホステル「&AND HOSTEL」の13号店「&AND HOSTEL NAMBA」(大阪市浪速区)を2月1日にオープンさせた。
 関西地区3店舗目として進出する同施設は、地下鉄四つ橋線「なんば」駅より徒歩8分。大阪の中心地の一つである北エリア梅田と並ぶ、南エリアで最も発展した中心街の難波エリアに位置する。ビジネスだけでなく旅行地として大きく栄える難波という土地柄で、トラベラーだけでなくノマドワーカーにもフィットした新たな風を吹き込む「New World」というコンセプトを掲げる。
 設計を担当したのは、渡辺淳一建築設計事務所。建物外観は各方面からの往来を意識し、方角や季節、時間帯などによって見え方や印象が変わるようなファサードを採用。斜めの凹凸が編み込みのように連続し、天候や時間によって陰影が変わるため、日々違う表情を見せる。外観から引用した斜めの軸線を内部にも用いることで、共用部に奥行きと溜まりを作ることを意識し、共用の洗面空間などの水廻りも利用者同士のコミュニケーションスペースとした。 客室タイプは多様化するニーズに対応するため、集団利用が可能なドミトリーから、プライベートな空間を提供するダブルルーム、ツインルーム、それらの約2倍の広さを持ったプレミアムルームを用意した。
業界の課題を解決 ビジネス構造を変える
 「&AND HOSTEL」はIoT空間とゲスト同士のコミュニケーションが楽しめる「世界とつながるスマートホステル」。
 同社ではこれまで自社で宿泊施設を運営する中で見えた業界の課題を解決するべく、3つのサービスを開発しており、他社宿泊施設にも展開している。
 「&IoT」はIoTデバイスを一元管理できるプラットフォームアプリ、「innto」は簡易宿所向け宿泊管理システム、「tabii」は月額無料のホテル客室向けタブレットサービスだ。これら3つのサービスの連携により、宿泊者の詳細な属性を判別した上での快適な居室環境設定が可能になり、コンテンツ配信、広告配信が最適化されるという。これにより、ゲストの宿泊体験価値やビジネス構造自体の進化を目指していく。
 同施設では、宿泊客に対し、チェックイン時に鍵ではなく専用のスマートフォンを貸し出す。独自に開発したIoTプラットフォームアプリ「&IoT」を用いて、ドアキーの開錠施錠はもちろん、テレビやエアコンなど居室内の様々な家電の操作が可能になる。
 「起きる」「寝る」「リラックス」など6シーンで、居室内のIoTデバイスが作動し利用シーンに応じた快適環境を瞬時に整える。例えば「起きる」モードでは、カーテン、スマートスピーカー、照明、テレビ、空気清浄機の5デバイスが一斉に起動し、起床に適した環境を提供する。
 また、センシング技術やクラウドデータとの連携により、天候、防災情報の通知や、ラウンジの混雑状況、洗濯機の使用状況などリアルタイムな情報を提供する。

クジラ 地域住民巻き込んだサービス 利用者に「日常」を提供
 リノベーション事業を手がけるクジラ(大阪市北区)のグループ会社で、まちごとホテル「SEKAI HOTEL」を運営しているSEKAI HOTEL(同)では、これまで宿泊ゲストのみに販売していた地域周遊パスポート「SEKAI PASS(セカイパス)」の一般販売を開始した。
 これは地域の日常に溶け込み「日常体験」ができる地域周遊パスポートで、これを所持して地域へ繰り出せば、純喫茶でモーニングが食べられたり、銭湯に入浴できたり、居酒屋やお好み焼き屋などの飲食店で特典を受けたりすることができるという。
 これまでは、「SEKAI HOTEL」の宿泊ゲストのみに販売されていたが、周辺の別ホテルの宿泊ゲストや、旅程の途中でSEKAI HOTELエリアに立ち寄って日常に溶け込む体験を求めるゲストが増えてきたため、ゲスト以外への販売を開始することとなった。価格は2000円。
 SEKAI HOTEL(セカイホテル)は、従来のホテルが持つ機能をまちなかに分散させた「まちごとホテル」。   地域に点在する空き家をリノベーションして客室に転換。まち全体を宿と見立て、フロント・客室・飲食・大浴場などの機能を分散配置しているのが特徴だ。
 国内外から訪れる宿泊ゲストには、「銭湯上がりの一杯を飲みながら談笑」、「おばちゃんにおすすめされた商店街コロッケを食べる」、「居酒屋で隣に座ったおっちゃんと乾杯」というような「地域の日常="ORDINARY"」に溶け込む体験を提供する。
 「SEKAI HOTEL」は、ひとつのまちごとホテル化することで空き家問題の解決・地域活性化を目指していくもの。施設を運営するだけでなく、様々なコンテンツにより地域住民を巻き込んでいく。例えば小中学生のためのハロウィンなどの無料イベントや英語教室といった、ユーザーがより近い距離感でコミュニケーションを取ることで、地域の活性化にも繋げていこうというもの。
 2017年6月に開業した「Nishikujo」は13棟からなる最大収容人数は80名で年間利用客は約7000人といった実績を持つ。

「ホテルJALシティ羽田東京」全面改装へ
 オリックス不動産(東京都港区)ではこのほど、同社が運営する「ホテルJALシティ羽田 東京」(東京都大田区)の全客室リニューアルを実施することとなった。
 2005年4月の開業以来初めてとなる今回のリニューアルでは、2021年4月上旬の全10フロア、308室の工事完了を目指す。第一弾として、4月3日までに6階から9階の4フロア132室を、第二弾では、2021年1月~4月に他の6フロア176室の工事を行っていく。
 同ホテルは約6割がシングルルームで、ビジネスユースのニーズが高いことから、仕事や移動の間の滞在をさらに快適にするため、“まどろむ時間”をテーマとした空間デザインを採用する。
 ベッドでゆったりと読書やパソコン作業ができるよう、ヘッドボードを背もたれとしても使用できる人間工学に基づいた曲線を描いたものに変更するほか、小型の移動可能なサイドテーブルを用意する。客室全体は、落ち着いたブラウンやベージュのアースカラーを基調とし、家具は木目調でぬくもりを感じる空間となる予定。 
 一方、共用部分は、「羽田にあるホテルらしさ」として、空港や飛行機、風をテーマに、エレベーターホールから客室への廊下の床は、羽田空港の滑走路などをモチーフにしたオリジナルデザインのカーペットで演出。エレベーターホールには、木材で風を切る様子を表現したアートワークを設置する。
 同ホテルは、地上11階建て、客室数308室を有し、羽田空港から無料送迎バスや車で約10分、京浜急行空港線「穴守稲荷」駅より徒歩3分に位置する。客室は全室に、Wi―Fi・高速インターネット回線を無料で利用できる環境を備えている。  オリックス不動産では、同ホテルのほか、「ホテルJALシティ羽田 東京 ウエスト ウイング」と合わせて、現在411室を運営している。

HMIが事業承継施設買収
 ホテルマネージメントインターナショナル(HMIホテルグループ 東京都中央区)では、愛知県西尾市東幡豆町にある「グリーンホテル三ヶ根」を2020年4月1日付で事業承継し、ホテル名称を「三河湾ヒルズ・ホテル」として新たにオープンさせることとなった。
 同ホテルは、敷地面積13万2992・76㎡、ホテル延床面積9337・76㎡、地上6階、地下2階建て。客室は61室。愛知県三ヶ根スカイライン入口近くの山上に位置し、眼下に三河湾、遠くに渥美半島・知多半島を一望できるリゾート宿泊施設。 
 和・洋合わせて340名収容の客室と、展望露天風呂やサウナのある温泉大浴場、400名収容のコンベンションホールをはじめ大小あわせて6つの宴会場やレストラン、ラウンジの飲食施設、娯楽施設としてスカイプール、カラオケルーム、ゲームコーナーなどを有する。

新生銀Gがナインアワーズに5億円
 新生銀行(東京都中央区)と新生銀行グループの昭和リース(東京都文京区)は、ナインアワーズ(東京都千代田区)に対し、総額5億円の投資を行うこととなった。
 昭和リースは、2017年7月にナインアワーズとの間で締結したファイナンス支援に関する業務提携契約に基づき、カプセルホテルを開発・所有する特定目的会社5社に対して出資を行うとともに、地域金融機関を貸付人とするファイナンスを組成するなどしてサポートしてきた。
 新生銀行グループは、中期経営戦略「金融 リ・デザイン」で、外部のビジネスパートナーとの「価値共創による成長追求」を基本戦略の一つに位置づけている。
 これまでもグループが持つ金融ノウハウを結集して、時代の変化に対応した新しい金融イノベーションの創出と事業拡大に向けたサポートに取り組んできた。今回のナインアワーズへの投資はその一環。
 一方、ナインアワーズは、今後の国内展開の拡大に加え、海外進出、顧客サービス向上のためのシステム開発や研究開発などを通じて事業拡大を図っていくことを掲げている。そのため、新生銀行と昭和リースは、今般の出資を通じて引き続きナインアワーズの成長をファイナンスの側面からサポートしていく考えだ。 
 ナインアワーズは、「シャワー」+「睡眠」+「身支度」という、3つの基本行動に特化して最高品質を提供するというコンセプトを持った新たなカプセルホテルを展開。現在、ナインアワーズブランドを主とする17物件のカプセルホテルの開発・運営受託やコンサルティング事業を行っている。

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