不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2019.11.11 12:08

アイリッジ 温泉旅館に「音声AIフロントコンシェルジュ」 インバウンド客サービス向上の一助に
 アイリッジ(東京都港区)は、同社が提供するAlexaスキル開発運用クラウド「NOID(ノイド)」を活用し、福島県会津東山温泉の老舗旅館「いろりの宿 芦名」の音声AIフロントコンシェルジュサービスの開発支援を行った。
 これは「いろりの宿 芦名」のフロントに置かれたAmazonのスマートスピーカーに話しかけることで利用できるAlexaスキル。チェックイン手続きや施設情報、観光情報、バスやタクシーの時刻表などに対応しており、英語や中国語での案内が必要な宿泊者の接客時に、旅館のスタッフが伝えたいことを話しかけると、指定した言語で代わりに説明する。
 また、夕方以降など、スタッフが料理の配膳や食事会場での接客に集中しフロントが手薄になりがちなタイミングや、スタッフとの密なコミュニケーションを望まない宿泊客が直接使用するケースも想定している。
 東北地方の外国人延べ宿泊者数は昨年過去最高の121万人泊を上回り、福島県に関しては伸び率全国2位を記録するなど、確実に客数が伸びてきている。
 一方、外国人観光客に対応できる人材は非常に乏しく、優先度やコストの問題からもなかなか対応が進まない。
 今回の取り組みでは、必要事項の説明を確実に行いトラブルを未然に防ぐ体制を整えるとともに、会津の魅力である日本酒の飲み方や温泉の入り方、武家の歴史案内などおもてなしの要素も取り入れ、東北・福島への年間外国人観光客来訪数のピークを迎える10月から11月にかけて、満足度の高い体験の提供を目指していく。
   Alexaスキルとは、Amazon社のスマートスピーカー「Echo」シリーズ等で動くアプリを指し、スマホアプリと同様、サードパーティーの事業者や個人が開発・制作することが可能だ。
 作成したAlexaスキルは、Amazon側の審査を通過するとAmazon Alexaスキルストアに公開され、Alexaを搭載したデバイスに「アレクサ、○○(作成したスキル名)を起動して」などと呼びかけて使えるようになる。
 同社が開発したAlexaスキル開発運用クラウド「NOID(ノイド)」とは、アイリッジが提供する、プログラミング不要で簡単にAlexaスキルが作れるクラウドサービス。 
 WebブラウザからNOID管理画面にアクセスし、画面に従って「ユーザーのどんな呼びかけに対して(input)」「音声アシスタントに何をさせるか(output)」をマウス操作、あるいはテキスト入力していくだけで、スキルの制作からストア公開まで直感的にワンストップで行うことが可能だ。現在、自分用のアプリを作りたい個人から商用にアプリ開発を行いたいプロクリエイターや法人まで幅広く利用されているという。
 アイリッジは、スマートフォンを活用した企業のO2O(Online to Offline)支援を軸に、フィンテック、不動産テック、VUI(音声インターフェース)等、幅広い領域で事業を展開している。

TVインフォメーションサービス開始 凸版印刷とトランザスが共同で
 凸版印刷(東京都千代田区)と、トランザス(神奈川県横浜市)は、テレビにスティック型端末を挿入するだけで、施設インフォメーションや、周辺観光情報、クーポンなどの提供が可能なホテル向けインフォメーションサービスの提供を開始した。  凸版印刷の「旅道プラットフォーム」と、STB(セットトップボックス)トップメーカーであるトランザスの技術を連携。ホテルの客室テレビにスティック型端末を挿入するだけで、施設インフォメーションや、周辺観光情報、クーポン、施設やアクティビティ予約、動画・雑誌・漫画といったエンタメコンテンツなどの提供を可能にした。 
 同サービスは、ホテル内インフォメーションと動画コンテンツの提供に機能を特化させ、日本国内のホテルへ、提供開始。機能の拡充や多言語対応も順次行っていく。  2020年に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックでインバウンド需要が高まりを見せる中、人手不足や言語対応が大きな社会課題になっており、その中で市場が急速に拡大するホテル業界は、選ばれるホテルになるため、より高いホスピタリティが求められている。 
 このような課題に対して、両社はサービスの提供を通じて、ホテル業界全体の省力化や、特色あるホスピタリティ提供を支援していく。 
 導入するホテルは、客室テレビのHDMI端子にスティック型端末を挿入するだけで、簡単にコンシェルジュサービスを提供することが可能になる。画面のデザインや提供するサービスは、導入するホテル毎に設定することができる。また、実装する機能は取捨選択が可能で、情報をカスタマイズして配信することが可能だ。このため独自サービスの案内や期間限定プラン、スペシャルイベントの紹介など、ホテルの特色を活かしたホスピタリティを提供することができるようになる。
 同サービスは「旅道プラットフォーム」と連携しており、ホテルをハブにして様々な地域情報を発信する。利用者は、地域に最適化されたご当地グルメ情報、近隣観光地の見所やクーポンを「旅道(アプリ」がインストールされた自身の端末で持ち歩くことができる。 
 両社はホテル業界を起点に、このサービスを旅館や民泊はじめとするホスピタリティ業界全体へ拡販。コンテンツや提供サービスの拡充、機能のブラッシュアップを推進し、2023年までに3万室以上の導入を目指していく。
 同時に、情報発信から予約・送客・観光消費促進まで、人と経済が循環する新たな地域活性基盤として、このプラットフォームの活用を全国規模で推進していく。

変なホテルがロボット掃除機を導入
 アイロボットジャパン(東京都千代田区)では、同社が販売するロボット掃除機「ルンバ」が、11月1日に開業した「変なホテル 関西空港」の客室や共有施設を清掃するロボットとして導入された。
 今回、このホテルに導入されるアイロボットの「ルンバi7+」は、ルンバ史上最高の性能を誇るフラッグシップモデル。Imprintスマートマッピングを導入し、ロボットがフロア全体の間取りを正確に把握し学習しながら記憶することで、掃除をする場所を自在に選ぶことができる。
 また同機に付帯されるクリーンベースは、ダスト容器内のゴミを自動で収集するため、溜まったゴミの回収頻度が少なく、数週間以上、掃除を気にかける必要もない。
 「変なホテル」を運営するH.I.S.ホテルホールディングス(東京都新宿区)は、最新鋭の技術やロボットをホテルの運営に導入し業務の効率化を図っている。ここ数年の清掃コストの高騰、またホテル開業ラッシュを受けて今後清掃員の不足が深刻になる予測の元、ホテル業界にとって重点課題となる「効率的な清掃業務」への新たなチャレンジとして、今回ロボット掃除機を試験的に導入することとなった。
 人とロボットの協働、清掃業務の一部をロボットが担うことによる省人化に同社が取り組む中で、機能性やサイズの観点から「ルンバi7+」が採用されることとなった。「変なホテル 関西空港」の客室は、バリアフリーでベッド下にルンバが走行可能なスペースを設けるなど、ロボットがより働きやすい環境が整っている。
 アイロボットではロボット技術で人々の生活をより豊かにすることをミッションとしている。今回の変なホテルでのルンバ導入は、ロボットが働くという物理的なサポートはもちろんのこと、ルンバが人に代わって掃除することによって生まれる時間を有効活用してもらい、サービス向上の一助にしていきたいという。
 アイロボットは世界有数の家庭用ロボットカンパニー。2002年にロボット掃除機「ルンバ」を発売し、以来全世界で2500万台以上のロボットの販売実績を誇る。

ホテルニューオータニ博多 多言語チャットボット採用
 多言語コミュニケーションツールを開発しているアクティバリューズ(東京都渋谷区)では、多言語AIチャットボット「talkappi(トーカッピ)」をニューオータニ九州(福岡県福岡市)が運営するホテルニューオータニ博多(同)に導入した。
 2017年12月に販売を開始したこのシステムは、AIによる多言語での問合せへの自動応答、マーケティング支援などの機能を備えたチャットボット。旅行者が普段利用しているスマートフォンから、Webブラウザーに加えてLINE、Facebook messenger、WeChatといった国内外のメッセージアプリでも使うことができるため、ユーザーとの接点を旅前~旅後にわたり維持できるという。
 日本語、英語、中国語(簡体)、中国語(繁体)、韓国語に標準対応しており、日本人はもちろんインバウンドの9割以上をカバーできる。同システムは「Hotel Village」、「グランドニッコー東京 台場」、地域DMOの「草津温泉観光協会」、自治体の「高知市」などで既に導入されている。「問合せへの自動応答率が高いということで好評をいただいています」(同社)。 
 同社は、多言語コミュニケーションツールを提供することで、インバウンド誘致に取り組む自治体、宿泊施設、観光リゾートなどのサービス提供施設とともに、インバウンド誘致による地域活性化に貢献していきたいという。今後、「talkappi」は、多言語での予約機能を増強し、オンラインでの事前決済と合わせて提供予定で、施設の自社サイトでの予約率の向上をサポートしていく計画だ。

東京 EV空間活用情報放送
  東京(東京都千代田区)では、エレベーターホール空間活用サービスの「東京エレビGO」をホテルに提案している。
 同サービスは、エレベーターホールに展開する「無人コンシェルジュ」。消費者向けサービスのようなインターフェースで誰でも簡単にコンテンツ配信・管理ができる、付加的な設備や長時間にわたる工事不要での設置を可能にする技術により、エレベーターホールの景色を変える。
 同社では、「東京エレビGO」を通じ、テナント満足度向上や運用物件の更なるバリューアップに貢献していきたいという。

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