不動産トピックス

クローズアップ デジタルサイネージ編

2019.10.28 11:22

 情報発信ツールとして定着したデジタルサイネージは、単なる情報発信から収益を生む装置へと進化を遂げている。わずかな待ち時間は建物内で意外と生じるもの。そのわずかな時間をお金に変えるアイディアを紹介したい。

mark&earth EV内の動画広告配信サービス開始 収益は設置台数に応じてシェア
 ディスプレイ上に画像や映像を表示するデジタルサイネージ。オフィスビルや商業施設では来館者向けの案内や情報提供、入居テナント向けの情報提供のツールとして導入例が広まっている。mark&earth(東京都渋谷区)では今月1日よりエレベーターのかご内にデジタルサイネージを設置しての動画広告配信サービスの提供を開始。ビルオーナー向けの営業を積極的に行っている。
 このビジネスモデルは、動画広告配信元である同社の広告収益の一定割合を導入台数に応じて継続的に還元する「レベニューシェア」を採用。デジタルサイネージの設置に関するビルオーナーの費用負担はなく、導入台数や広告収益に応じたインセンティブが毎月支払われる。配信される動画広告は、6秒間という短い時間で簡潔かつ印象的なメッセージを配信るうバンパー広告である。同社代表取締役の金子京史氏は「エレベーターを利用して目的の買いに到達するまでの時間は、平均で十数秒です。限られた時間で効率よく広告効果を出すためにはバンパー広告が有効だと考えています」と話す。建物利用者層の属性を分析し、ターゲットを絞り込んだ広告展開を図れるというのも同社サービスの大きな特長だ。また、広告の合間には建物ごとに個別の情報配信を差し込むことも可能となっている。
 金子氏は「まずは東京都内で1000カ所の導入を目指します」と述べており、不動産会社や管理会社、エレベーターメンテナンス会社などへの提案を推進。今月2日には、エレベーターメーカー大手のフジテック(滋賀県彦根市)を営業代理店契約を締結したと発表した。mark&earthでは自社ブランド名を活用したOEM戦略の提案を行っており、今般のフジテックとの提携は自社ブランド「ELE-pop」として保守契約先へ設置提案が行われている。
 情報発信ツールとして認知されているデジタルサイネージであるが、収益を生む装置としての認知はまだ低い。金子氏は「将来的にはエレベーターのかご内だけではなく、建物内の様々な場所が広告媒体として活用できるのではないかと思います」と今後の展望を述べている。

デジタルサイネージ向け小型・軽量BTS サイネージ配信サービスもあわせてリニューアル
 リコー(東京都大田区)は、同社が手掛けるクラウド型サイネージ配信サービス「RICOH Digital Signage(リコーデジタルサイネージ)」に対応した小型・軽量のセットトップボックス(STB)の新製品「RICOH Digital Signage STB Type1」を10月1日に発売。10月9日には「リコーデジタルサイネージ」もリニューアルした。
 STBとは映像などをディスプレイに送信する機器で、画像データが保存されたパソコンや映像を受信するAV機器、カメラなどとディスプレイをつなぐもの。  「STB Type1」は小型・軽量で、ディスプレイの背面や取り付け金具等に直接貼り付けられる。自動復旧や自動バージョンアップ、遠隔再起動などの機能にも対応し、安定稼働を実現した。
 「リコーデジタルサイネージ」のアップデートでは、操作画面を直感的なデザインに刷新し、初めての操作でも迷わないガイド設計に加え、設定したコンテンツを事前に確認できるプレビュー機能も強化。快適で使いやすいサービスを提供すし、より使いやすいサイネージサービスへと進化させた。
 「STB Type1」と「リコーデジタルサイネージ」を併用すれば、既存のディスプレイがデジタルサイネージになる。

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