不動産トピックス

クローズアップ 内見改善サービス編

2019.10.15 12:14

 不動産事業者向けの内見改善サービスの普及が進む中、競争過熱による淘汰も始まった。特定の分野に秀でたサービスのみが生き残り、反対に可もなく不可もない内容では生き残りは難しい。だからこそ魅力的なサービスは注目を集める。
バーチャル上でのインテリアコーディネートを可能
不動産向けのプラットフォーム「REPMP」
 動画管理システムやCG制作などの事業を手掛けるPeeVee(ピーヴィー、東京都中野区)は、不動産業界向けのプラットフォーム「REPMP(リプンプ)」の提供も行う。
 「リプンプ」は、バーチャル上でのインテリアコーディネートを可能にしたサービス。バーチャル技術やCGを駆使して、入居前の空き部屋に家具・家電などを配置したイメージ空間を同社のプラットフォーム上で観ることができる。新築・中古・賃貸・リフォーム物件などジャンルを問わず、室内空間を高画質のCGで再現した。結果、新築物件においてはモデルルームを数部屋用意する必要もない。モデルルーム用のコストを抑えることができ、入居希望者は現地に行っての内覧も解消した。加えて、室内のデザインも希望にあわせて変更可能。カーテンやカーペット、壁紙などのデザインやカラーを変えて、入居前のインテリアを楽しむことができる。
 また360度のパノラマサービスを用いて、室内イメージを目で見て体験できるサービス「リプンプパノラマサービス」も提供開始した。家具・家電を置いた部屋、まだ置いていない空きの状態をそれぞれ360度のパノラマビューで確認。同サービスは不動産流通業を行う事業者に好評で、スマートフォンやタブレット端末などを用いても室内を拝見可能だ。新たな入居先や売買物件・投資物件の様子を確認したいクライアントに対して、何時でも部屋の様子を提供できる点が好まれている。
 制作本部部長の岡田信哉氏は「『リプンプ』のサービス開始は2017年。試験運転を開始したのはもう少し先になります。CGでモデルルームのようなお部屋が制作できるよう、制作プラットフォームを自社開発してきました。不動産流通向けのVRを活用したお部屋が内覧できるサービスは同社が先駆けと自負しています。弊社は、多くの不動産物件で本サービスをご利用いただけるよう制作技術と制作効率を追求しており、自社開発の歪みが少ないパノラマプレイヤーと本物のようなCGクオリティーを安価にご提供しています。リプンプのサービスは、今まで見ることができなかった室内空間やインテリアコーディネートをCGで可視化し、購入・入居希望者の『室内を見たい』の声にお応えした、大変ご好評のサービスです」と語る。サービスの利用価格は月額2万円(税別)だ。
 実際、不動産流通事業社ではIT化による業務及びサービス内容の変化が加速している。「リプンプ」に限らず、インテリアコーディネートを可能にしたサービスや360度のパノラマサービスを導入する企業は増加傾向にある。だが未だネット環境に疎い、ITリテラシーの低い事業者やクライアント、ユーザーなどもいる。同社は他社のサービスを調査しつつ、差別化として今後は「使いやすさ」や「手軽さ」を構築していくという。
 また賃貸物件、特に飲食店や服飾店向けのインテリアコーディネートサービスにも今後取り組む予定だ。予定では、スケルトンの状態にキッチンスペースやカウンターなどをCGで配置し、更にはインテリアも決めることができる。住居以上に店主やオーナーなどのこだわりが強いため、まだ賃貸物件への普及は少ない。が、先駆けこそが今後の競争に勝てる秘訣だ。

スマホ1つで同行無しで内見可能 セルフ内見型サイト開設
 テクノロジーで不動産賃貸取引の効率化を推進するイタンジ(東京都港区)は先月24日より、セルフ内見型の部屋探しサイト「OHEYAGO(オヘヤゴー)」を開始した。スマートロック等を活用することで、入居希望者はスマートフォン1つで物件探しから入居申し込み、契約までの一連の手続きを最短で即日完了することができる。
 「OHEYAGO」は一般的な賃貸ポータルサイトと異なり、同社が不動産管理会社に提供する、賃貸住宅の入居申し込みWEB受付システム「申込受付くん」から最新の募集状況を反映。申し込み可能な物件しか掲載されておらず、「掲載されている物件が既に埋まっていた」というトラブルもない。入居希望者は、スマートフォンからワンクリックで内見予約ができ、不動産会社スタッフの同行なしで、好きな時間に自分のペースでセルフ内見が可能。内見した物件を気に入れば、その場でスマートフォンから入居申し込みができ、保証会社の審査も連携して進められる。複数の書類を記入して送付する必要もない。賃貸借契約においては「IT重説(テレビ電話等のITを活用した重要事項説明)」を活用すれば、不動産会社へ来店することなく完了。手間が省かれ、仲介手数料は一般的な価格よりも安価になる。
 また不動産管理会社においては、内見付き添いの労力を削減可能。付き添い型でないからこそ内見可能時間が広がり、集客数も増加。物件見学時の器物損壊に備えて、補償できる内見保険も用意する。

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