不動産トピックス

クローズアップ 働き方改革編

2018.10.22 14:09

働き方改革を考えるべき範囲は幅広い。働く人間すべてが等しくその改革の効果を得られることが理想だ。障がい者が「安心して」働ける場所を提供するサテライトオフィスがあればそこから様々な働き方が広がるだろう。障がい者以外にも有用になるはずだ。

障がい者の「働き方」を支援 スタートライン、三菱地所グループと提携し施設開設
 「働き方改革」の一環として必須の働く「場所」の整備が、障がい者向けにも進んでいる。
 スタートライン(東京都八王子市)は、三菱地所グループと提携し10月22日に「新国際ビル」5階に「インクルMARUNOUCHI」を開業した。障がい者の就労支援、かつ約4300の企業が集積する丸の内エリアでの情報発信拠点としての役割も担う。
 スタートラインは2009年の創業以来、障がい者の就職支援や企業向け障がい者雇用支援コンサルティングなどを展開。その一環として障がい者が安心して働ける環境を提供するサテライトオフィスを提供。また2017年からは屋内農園型障がい者雇用支援サービス「IBUKI」を開設し、2018年9月現在で3カ所を展開している。働く場所と農作業などの任せる業務がセットになっているため、法人側にとって使いやすいサービスとなっている。また、収穫されたハーブなどは希望に応じて契約企業のノベルティなどにもできるため好評。
これまで上場企業を中心に90社を超える法人と契約し、400名超の就労・定着支援の実績を残している。それだけに今回の丸の内エリアでの開業は、障がい者雇用の促進に向けた一段の高まりの契機となりそうだ。
2018年4月改正法施行 精神障がい者も対象に
 障がい者雇用の現場は変化の兆しを見せている。
 今年4月「障害者雇用促進法」の改正法が施行された。ポイントとなったのは障がいの範囲だ。これまで法定雇用率2・0%の算定は身体障がい者および知的障がい者だった。これに精神障がい者が加わったため、2018年4月から法定雇用率は2・2%に引き上げられた。
 スタートライン広報担当によると、これまでの障がい者雇用について「身体障がい者に偏っていたふしがあります」とする。その背景として精神障がい者が法律の算定に入っていなかったことはもちろんのこと、身体障がい者を雇用することが外部から見たときに「わかりやすさ」があったからともいえる。今回算定の基礎に加わったことに対する企業側の動きは早い。「いかに精神障がい者を安定的に雇用できるかがポイント。当社への相談件数も増えてきている」と広報担当は語る。
「インクル」が担う役割 需要はさらに拡大へ
 「インクルMARUNOUCHI」が担う役割は3つある。
 まずこれまでのサテライトオフィス同様、法人企業と契約して障がい者・企業双方のマッチングの場を提供していくこと。「当社のサテライトオフィスは当然、完全バリアフリーです。各施設に常駐スタッフがいて障がい者・企業双方への支援やサポートを行っています」とのこと。企業が集積する丸の内という地の利を生かして、障がい者雇用の底上げを視野にいれている。
 また、情報発信の場としても活用していく。障がい者雇用に向けたセミナーや個別相談会、企業同士の勉強会などを開催していく。加えて、すでに障がい者を雇用している企業や実際に働く障がい者に向けてITを活用した遠隔サポートを提供していく。より働きやすい環境の整備に向けた支援を行う。
 ワンストップのサポート体制を整えるスタートライン。創業10年未満のベンチャー企業だが、蓄積した知見・ノウハウが強み。
 「障がい者雇用支援を行う企業はいくつかありますが、当社のように障がい者の訓練・就職から雇用や定着、そして啓蒙まで幅広く展開している企業はありません。そのため、企業・障がい者双方からの引き合いが強まっています。現在は首都圏での展開を強化していますが、将来的には、首都圏以外での展開も視野にいれています」
 「働き方改革」と密接に絡まる「働く場所改革」。障がい者雇用がより増加していけば、当然ながらハード面での対応も迫られる。ビルオーナーはこのような流れに無関心でいるべきではない。

働き方パフォーマンス診断×業務改革サービス
 中小企業向け業務改善・業務改革サービスを提供するArinos(東京都千代田区)は、働き方パフォーマンス診断サービスを提供するティーズブレイン(東京都品川区)と戦略協業を行い、企業の本質的な課題を見える化し最適なソリューションを提供する。ソリューション提供の背景には、近年、「働き方改革」の重要性が高まっており、多くの企業が改革の実現を求められている一方で、「どこから見直せばよいか分からない」、「経営層と社員の間で温度差がある」「思うような成果が出ない」などの声が挙がっており、「働き方改革」の実現がうまくできていない企業が多い。そこでティーズブレインが提供する『働き方パフォーマンス診断』で、「行動・組織・環境」の3つの軸に分かれた設問を設けた診断を実施し、可視化された課題に対してArinosの『業務精査パッケージ』にて業務プロセスの見直しから最適なシステム・ツールのご提案、現場定着化など、働き方改革に向けた支援する。Arinosのコンサルティングサービス『業務精査パッケージ』では、業務精査を行うことにより、現状の業務の中から無駄な業務や、システムにより自動化すべき業務を発見することができる。更に、現場に業務が定着化するまでのサポートや、定期的に業務が形骸化していないかチェックするモニタリングも行っているため、導入後のフォローも可能。ティーズブレインが提供する『働き方パフォーマンス診断』は、東京大学大学院経済学研究科准教授の監修のもと、「働く人」と「働く場」に着目し開発したアセスメント。社員の現状と理想をデータとして把握することができ、働き方の傾向がみえるだけでなく、業務に応じた課題の改善方法が導きやすくなる。

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