不動産トピックス

クローズアップ トイレ編

2018.08.06 16:46

 トイレは我々の行く先々で必ず使用するもの。仕事中ならオフィスで、移動中なら乗り物内で、休日なら公園でも必要な時に清潔なトイレを使用したいものだ。今回は使用中が手元のスマホでチェックできるシステムと、「日本のキレイ」なトイレを追求した公園だ。トイレの使いやすさを追求する局面は様々。

トイレの使用状況を自席で確認可能
 ビル内のトイレの使用状況を在席のままスマホで確認できる使用状況表示システム「トイレの見張り番」が来月に発売される。センサーを利用した介護・防犯・音響機器のシステム開発・製造販売のエスト(静岡県浜松市)の新商品だ。
 人の動きにセンサーが反応しクラウドに送信。そのデータを分析しスマホに表示するシステムを応用した同社の「一人暮らしの見張り番」等に続くシリーズとして開発した。
 社長の白鳥進氏は、「IoTセンサーとクラウドを活用したシステムの応用として、トイレを効率よく回すことに使えないかと思い、開発しました」と語る。トイレの使用状況の表示システムは、新幹線の車中やサービスエリアなどで既に実用化されているが、当製品はオフィスビルにより適切に設計されている。
 「新幹線などで使われているシステムは、直接配線がつながっていて、新規の導入には設備工事が必要なことと、トイレ周辺の場所でしか表示できないものがほとんどです。オフィスビルではもう少し広い範囲で利用できれば便利でしょう。フロアの端にあるトイレの使用状況を自分の席でスマホで簡単に分かれば無駄に席を立つ必要はなく、業務の効率化にも繋がります」(同氏)。
 「トイレの見張り番」は小さな動きまで感知する人感センサーと特殊アルゴリズムを組み込んでいるので、個室ブースの実態をより正確に表示できる。「各トイレ清掃の効率化も見込め、表示も見やすく、設置もWi―Fi環境があればIoTセンサーをトイレのブース内に取り付けるだけです。ぜひオフィスビルに設置して業務効率に役立ててほしい」(同氏)。オフィス環境の小さな改革も大事な一歩だ。 

美大と共に「日本のキレイ」を追求 新宿中央公園のトイレで実現
 ワックスメーカーのリンレイ(東京都中央区)は、公共トイレのネーミングライツを取得し、外装・内装を再デザインのうえ先月にオープンした。
 多摩美術大学(東京都世田谷区)との産学共同研究プロジェクト「日本のキレイ」の一環で新宿区立新宿中央公園の2カ所のトイレを「日本のキレイ&TOKYO リンレイトイレ」の名称で3年間、「キレイ、楽しい、明るい、ワクワクするトイレ」を展開する。
 「日本のキレイ」プロジェクトとは、多摩美術大学とリンレイが連携し、「日本が誇るべき『キレイ文化』を家庭や社会でさせること」を目的に始め、今年3年目。産学連携PBLとしてリンレイの社員が実際に多摩美術大で「何をすれば『日本のキレイ』が実現できるか」のアイディアを、形式を限定せず提案する授業に参加。自由に生みだされた案はリンレイ社内で実用化が検討される。
 「なかなか公共物への働きかけの機会はありませんでしたが、今回ネーミング募集を知り、トイレ=汚いというイメージもあるでしょうけれど、もっとキレイなトイレを作れないかと応募しました。リンレイのブランドを知って頂くことにもつながりますし、リンレイトイレだったら清潔でキレイだろうという印象を持ってほしい」と語るのは総合企画開発部コンシューマー製品グループの岩田知佳氏。実用化までには、学生とリンレイの間で何度も案を練り直したという。同グループ林梨恵氏は学生の案に接し、「スタートした頃は『日本のキレイ』にそぐわない案も多々ありました。例えば『インスタ映えするトイレ』案。趣旨である『キレイを維持して体現していく』とは違うのではないかと学生と話をしました」と語る。そして3年目の今は「日本のキレイ」にふさわしいプロジェクトとして公園の中に実現された 同グループの主任・寺門未由氏は「このような取り組みは当社でも初めてです。スタートしたばかりですが手応えを感じており、ネーミングライツの有効期間であるこの3年間、精一杯努めてまいります。その後どのように展開していくかは未定ですが、今後のリンレイトイレの取り組みも楽しみにしていてください」と語る。

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