不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2017.09.25 17:45

「宿泊施設」+「貸会議室」で法人需要狙う リロ・グループが「ビジネストラベル」進出へ

 企業の研修や会議と宿泊を組み合わせた、いわゆる「ビジネストラベル」は、ここ数年で市場が拡大している。企業がコスト削減の一環として、オフィス内での会議室や、保養所を所有しなくなったことが、新たなビジネスチャンスを創出しているのだ。企業向けに福利厚生・社宅管理代行を展開している東証一部上場企業のリロ・ホールディング(東京都新宿区)は、2014年に傘下に収めたスペースマネジメント(東京都新宿区)を通じて貸し会議室事業を本格化。同じグループで宿泊施設運営のワールドリゾートオペレーション(東京都新宿区、以下WRO)との相乗効果で「ビジネストラベル」の需要獲得を狙っている。

「コンフォート新橋」9月20日にオープン
 去る9月20日、スペースマネジメントはレンタルスペース「リロの会議室 コンフォート新宿」(東京都新宿区)をオープンさせた。同施設は新宿駅から徒歩4分に位置。スクール形式で最大195名収容可能で、利用者の多彩なニーズに対応できる高機能な設備が特徴だ。  スタイリッシュなデザインと、広い空間での利用が可能な可動式間仕切りや、120インチ幅の2面スクリーンで構成される7200ルーメンにも及ぶ高機能の映像機器を駆使しているため、高画質が求められるセミナーや展示会にも対応する。
 また、専任のコーディネーターによって、企画から当日の運営まで同社がサポートするため、煩雑な会議も安心して利用できる体制を整えている。ケータリングや機器のレンタルも用意し、同社は記者発表会、イベントやパーティ、展示会はもちろん、土・日の開放によってイベントや試験など幅広い利用を期待している。
 スぺースマネジメントは、リロ・ホールディングのグループ会社として、約1000万人の会員ネットワークをベースにした独自の送客ネットワークやコンテンツを最大限に活用していく。
 「そのため、単なる場所を貸すだけの運営に留まることなく、セミナー集客のサポートから、イベント・展示会の演出まで幅広いサービスの提供が可能です」(同社)。
 同社は他にも、都内に飯田橋・田町・銀座を運営している。今後も「コンフォート」ブランドを中心に、「ザ・スペース」、「プレミア」といった3パターンの貸し会議室・研修室を展開していく計画だ。また、イールドコントロールを採用し、繁忙期と閑散期の料金形態を変化させることで安定した稼働を維持させていきたいという。
スペースマネジメントWROがアライアンス
 「今後は、スぺ―スマネジメントとWROとの協業で、企業の研修旅行なども提案していきたいと考えています」。
 WROの田村佳克社長は、新たなビジネスモデル確立を目指している。
 企業の宿泊を伴う会議・研修、いわゆる「ビジネストラベル」は、一般的には「MICE」と呼ばれる。これはMeeting(会議・研修・セミナー)、Incentive tour(報奨旅行)、Conference(大会・学会・国際会議)、Exhibition(展示会)の頭文字をとったもの。大人数の参加者が見込まれ、大きな収益が期待できることから、プリンスホテルなど大型ホテルは「MICE」誘致に力を入れている。福岡市に代表される自治体も、インバウンド誘致活動の一環として誘致活動に積極的だ。
 WROは「MICE」のような大規模なものではなく、自社運営の旅館・リゾートホテルを利用した法人需要の獲得だ。
 企業は近年、優良な人材を確保・育成するために、宿泊を伴う研修に力を入れている。こうした需要は安定してあり、今後も市場拡大が期待されている。
 WROは2009年設立。企業や健保組合などの財務負担になっている保養所などの再生案件を中心に、全国約20カ所で旅館、リゾートホテルを取得、運営してきた。同社は新たに「ゆとりろ(YU-TO-RELO)」ブランドとして、箱根を皮切りに西伊豆、熱海、軽井沢の4エリアにグループ展開を図り、10月1日には、「洞爺山水ホテル和風(かふう)」(北海道虻田郡洞爺町)を、「ゆとりろ洞爺湖」としてリブランドオープンさせる。
 同ホテルは、JR「洞爺」駅より道南バスで約20分に位置、部屋数全61室、大浴場、露天風呂、エステティックサロン、宴会場などを併設する。こうした施設は「ビジネストラベル」の需要獲得が期待できる。
 同社は今後も、積極的にリゾート施設の取得・受託運営事業を行っていく計画だ。
 スペースマネジメントが持つ貸し会議室運営のノウハウを活用し、WROの自社施設はもちろん、他の宿泊施設が持つ会議室を運営受託する。リロ・グループとしても福利厚生代行事業等を通じて多くの企業とのパイプがあり、両社の協業によるメリットは大きい。
 WROとしては、運営している宿泊施設の新たなビジネスチャンスとして期待している。
ティーケーピーもホテル運営に注力
 同様に「ビジネストラベル」を展開している貸し会議室大手 ティーケーピー(以下TKP、東京都新宿区)は、会議室運営を通じて、月に延べ1万5000社以上の企業との取引を背景に積極的に宿泊施設運営に乗り出している。
 同社はホテル&リゾート事業として、「レクトーレ」ブランドで箱根・熱海・軽井沢で、アパホテルやファーストキャビンとの連携による会議室併設ホテルを運営、成果を上げている。例えば「TKP伊豆長岡 石のや」は、温泉はもちろん、2000坪の庭園、19の客室、大中宴会場、会議室などからなる同社初の高級旅館として一般はもちろん、法人の利用も多いという。いずれも既存物件の再生事業にあたり、同社は新たなビジネスの柱として期待している。
 TKPは今後も、宿泊施設運営を積極的に行っていく予定。中でも厨房を持つホテルは、近隣の運営会議室へのケータリング需要も見込めることから、相乗効果は大きいと見ている。
 各主要都市や未出店地域で、利便性の高い機能的なオフィスビルやランドマークとなるビル、ホテルへの出店を積極的に進めることで、国内ネットワークの更なる拡充を図っていくという。

JR西日本Gが新たに3店舗目
 「ヴィアイン」ブランドを中心にホテル事業を展開しているJR西日本グループのジェイアール西日本デイリーサービスネット(大阪府大阪市)は、新たに3カ所での出店を発表した。2019年に福岡県福岡市博多区、大阪府大阪市西区、東京都中央区で、宿泊特化型ホテル「ヴィアイン博多(仮称)」、「ヴィアイン心斎橋西(仮称)」、「ヴィアイン東京日本橋(仮称)」を出店する。
 「ヴィアイン博多(仮称)」はJR「博多」駅から徒歩約5分、「ヴィアイン心斎橋西(仮称)」は地下鉄「四ツ橋」駅から徒歩約1分、「ヴィアイン東京日本橋(仮称)」は地下鉄「人形町」駅から徒歩約4分に位置。国内のビジネス、レジャー客はもちろん、インバウンドの需要も期待している。「ヴィアイン博多(仮称)」は、JR西日本グループのホテル事業として初の九州出店となる。この3ホテルの新規出店で、ヴィアインホテルチェーンは、2019年には全26棟、客室数約6400室になる。
 JR西日本グループでは、中期経営計画で、生活関連サービス事業を拡大し、快適なくらしの実現をサポートすることを重点戦略の1つとして掲げ、宿泊特化型ホテルの出店拡大を通じて、沿線外・エリア外を含めたエリアへの積極展開を進めている。

グランビスタが新ブランド
 グランビスタ ホテル&リゾート(東京都千代田区)は、新ホテルブランド「INTERGATE HOTELS」の第1号として「ホテルインターゲート京都 四条新町」(京都府京都市)を2018年3月に、「ホテルインターゲート東京 京橋」を2018年4月に開業することを発表した。
 同ブランドは旅慣れた「こだわり」のある利用客をターゲットとしており、「『最高の朝をお届けするホテル』をコンセプトとし、お客様と地域をつなぐ様々なサービスを取り入れてまいります」(同社)。
 近年の訪日外国人増加などに伴う宿泊需要の顕著な伸びを背景に、国内各地域でも新規ホテルの開業が相次いでいる。同社はこのような市場背景から「他ホテルとの差別化」、「付加価値の提供」が利用客に選択されるための大きな要素と考え、開発を進めてきた。
 グランビスタ ホテル&リゾートは、北海道で初めての本格的洋式ホテルとして誕生した北の迎賓館・札幌グランドホテルを有している。


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