不動産トピックス

クローズアップ 緑化編

2016.01.11 16:07

 近年のビル業界のトレンドとなっている環境配慮と働きやすさ。建物としての充実だけでなく、ソフト面でも充実していなければ、他のビルとの差異には結びつかない。では緑化の最新状況はどうなっているのだろうか。最新事情を得てビルのバリューアップにつなげよう。

◎ マツヤ(滋賀県甲賀市)では「スナゴケ屋上緑化COOLMOSS」
 マツヤ(滋賀県甲賀市)では「スナゴケ屋上緑化COOLMOSS」を展開している。同製品の売りであるのは「超軽量」で「メンテナンスフリー」だ。土を使用しないために、1m2あたり最大重量で12kgとなっており、水やりなども自然の降雨のみで生育可能であるために、導入するオーナーにとって手間がかからない。また防寒防熱も強みで、温度耐性がマイナス20度~70度まで対応することが可能だ。
 スナゴケの特性として水が溜まり太陽熱でコケが蒸れることで死滅する可能性も高くなる。そのため同製品ではユニットにも工夫を施している。立体ネットでスナゴケ本来の生息域である排水性の良い岩場や砂場を再現している。また厚さ約2mmの薄い不織布を使用することで最低限の保水を確保し、トレー背面には無数の排水溝を設けることで水はけを重視した設計となっている。  陸屋根、ハゼ式折板屋根、ボルト式折板屋根、瓦棒・縦平茸屋根、R形状屋根に対応しており、これまでビル、工場までにも導入されている。
 工夫を凝らした同社の製品で、手間のかからない緑化を進めるのもひとつの手段だ。

◎ 緑化隊(東京都品川区)では屋上緑化などのメンテナンスを行っている
 ビルオーナーにとって緑化は環境配慮の観点もさることながら、ビルのバリューアップにもつなげることができる。そして、その価値を長期的に維持し続けていくためにはメンテナンスを行っていかなければならない。そのような緑化のメンテナンスを専門している会社が存在する。 
 緑化隊(東京都品川区)では屋上緑化などのメンテナンスを行っている。
 同社のメンテナンスの内容は多岐に亘り、水やり、芝刈り、施肥、除草、除虫、清掃、高圧水洗浄、芝洗浄、給排水設備・自動潅水装置・塗装などの点検、枯れた植物で緑に穴が開いたときに新しい根を植えて緑を再生する枯れ補填、土質調査、土壌改良などを行う。これらの幅広い項目に対応していることが、トップクラスの緑化メンテナンスにつながっている。
 また同社のメンテナンスは様々な植物に対応しており、オーナーにとって緑化の選択肢が広まることも魅力的だ。
 緑化を施したにも関わらず、植物が生育できなければ意味がない。そのような事態を防ぐためにも、同社のメンテナンスは欠かすことができない。

◎ ビル・マンションの屋上緑化は様々な企業が製品・プランをリリース
 ビル・マンションの屋上緑化は様々な企業が製品・プランをリリースしているが、壁面緑化を提案する企業はまだ少ない。そのなかで、3年の試験期間を経て今後堂々とリリースを打っていく予定の企業がある。それが三佐和(東京都新宿区)だ。
 同社ではこれまで、ガーデンクリートなど建物の緑化のための製品・システムを提案しており、ビル・マンションの建物や寺院、公共施設などにも導入してきた。今回、同社がリリースするのは壁面緑化素材となる「フローラカスケード」だ。
 従来の壁面緑化のようなビルの壁に備え付けるものではなく、自立型のフレームに植物を設置するもの。これまで浅草寺で試験的に導入してきて試行錯誤を繰り返してきたが完成形となり、昨年の10月に実用新案登録も取得した。代表取締役の三佐和拡氏は同製品で緑化を行うメリットとして次のように話す。
 「これまで緑化の主流であった屋上緑化はビル・マンションの屋上ということもあって、『見える』緑化ができていなかったのが現状です。しかし、今回当社が開発した『フローラカスケード』は緑化をしながら、かつ、『見える』緑化を実現することができます。まちづくりの観点からもメリットがあると思いますし、ビルのバリューアップにもつながるのではないでしょうか」
 ビルには充実した設備などが求められるのはもちろんだが、働きやすさなどのソフト面も求められていることが近年のトレンドだ。そのソフト面には適切な植物の設置なども当然求められてくる項目となっている。今回の製品は大規模な工事を必要としない。また水やりシステムも備えており日々の植物の管理に関しても手間いらずだ。加えて、耐火性や耐候性なども備えており、オーナーにとって導入しやすいものとなっている。
 気になるのは価格面。三佐和氏によれば「価格設定はまだこれからになります」とのことだが、同製品の導入に対して行政から補助金が下りる可能性が高いことを指摘する。
 「区市町村の多くで接道緑化に対する補助金制度があります。補助金額は様々になりますが、多いところですと30万円のところもあるようです。こちらの補助金の申請業務は当社のほうで行うこともできますので、ご相談いただければと思います」(三佐和氏)
 見える緑化を施すことで、環境配慮とビルの美観のアップの両立が可能となる。ビルのバリューアップを考えているオーナーはこのような選択肢も考えてみてはいかがだろうか。

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