不動産トピックス

不動産ソリューションフェア人気セミナー紙上再現

2015.12.21 12:45

強豪少ない投資先は「地方・新築アパート・シェアハウス」等
富裕層との価格競争に巻き込まれない「ニッチ」を攻めろ

テーマ・勝ち組投資家が実践する不動産投資戦略

一人前の不動産投資家になるために最低限必要なこと

三者三様の投資理論 入念なリサーチを
v 岡田 所有物件は大阪、神戸、和歌山、京都など。10年ほど前から関西を中心に不動産投資を始め、最初は競売物件をはじめ、区分や戸建といった小規模物件への投資を行っていましたが、賃貸より売却したほうが儲かることに気づいて取得・売却を繰り返していました。しかしリーマンショック後、不動産の価格が下がったことと、転売の実績によって地銀から融資を受けられるようになり1棟物件にシフトしました。いまは約40億円規模で不動産を保有しており、部屋数としては約600室です。毎月の収入は4200万円~4300万円ほど。返済が毎月1300万円ぐらいです。
五十嵐 女性不動産投資家・女性大家さんの交流会「エレガントオーナーズ」を主宰しています。自ら不動産投資を始めたのは4年ほど前。2年半で5棟購入して2棟売却しました。そして相続した築40年のS造物件を1棟フルリノベーションしました。現在、子供が3人います。最初は知識不足で地方にある高利回りの中古RC造物件を購入して失敗しました。それを教訓にして現在は手がかからずキャッシュが残りやすい新築アパートの購入を進めております。物件は横浜・川崎に5棟51室、さらに土地を購入して1棟9室のマンションを建築中です。投資総額は5億円。保有物件の年間収入が4000万円です。キャッシュフローは年間1800万円ほどです。
青山 もともと広告業界でマーケティングの仕事をしていましたが、15年ほど前に独立しました。平成22年頃から不動産投資を始めました。岡田さんのポジションはおそらく1棟アパート・マンション・ビルといった大型物件に投資する王道投資家といえますが、私の場合はシェアハウスを4棟、箱根の別荘を運用したり、ボロボロの区分マンションを買って事務所を開設できるようにリノベーションしたり、ゲリラ的な投資を行っています。最近取得したのは旧民宿や古民家。カフェに賃貸しています。箱根の別荘も取得し、最近話題になっている「民泊」等に活用しようと検討しています。シェアハウスは平成23年頃から投資・運営しており、ボロアパート投資も積極的に行っています。キャッシュフローは全体で3・6億円。年間の利益は5200万円程度です。岡田さんはメガ投資家、五十嵐さんは女性特有の投資手法を駆使され、私はゲリラ的な投資家。三者三様です。
―不動産投資を開始したきっかけ
岡田 大学を出てから特にやりたいこともなく、父の会社に入りましたが、様々な資格を取得していました。偶然宅建免許を取得したことで不動産投資に興味を持ってセミナーや投資ノウハウ本を読み漁り、勉強していきました。最初の投資資金は200万円程度の貯金でした。
青山 「オモロー不動産」というウェブサービスを開始したのが平成20年。一風変わった不動産に特化した情報サイトで不動産投資について知識が自然と身に付いていきました。2年ほど経った頃、不動産ビジネスはロジカルに行うと非常に手堅くリスクが低い「鉄板」だと感じ、自分でも投資をしました。平成21年頃は実需目的で取得しましたが、翌年から収益目的の投資です。最初は当時流行していた積算評価が出て利回りが10%以上見込める物件、当時の投資手法の主流ですが、それにあてはまるアパートが茅ヶ崎に存在し、1棟目を買いました。株式は自分と関係のないところで大きな影響を受けます。しかし不動産は一定の論理のもとに物事が動いているので、論理を勉強すると意外と手堅い。また災害リスクは保険の張り方で十分カバーできるので「手堅い」と感じています。
―現状の不動産投資市場をどう分析する
岡田 関西でも不動産が高騰し始めているので、正面から投資すると融資の担保評価が厳しく、現状取得しているのは地方を含めた郊外物件です。最近では富山の物件を取得した他、築40年以上の古い物件、オーナーが手を入れておらず多くの空室を抱える物件を取得しています。
五十嵐 私も物件価格が高騰していることについて同感でして、中古物件でも利回りが低くて買いにくい状況だと思います。新築と中古がほとんど同じ利回りで売られている中で、それならば手がかからない新築を取得しているのです。お買い得物件があれば中古もチャレンジしたいのですが、都内では利回りが低すぎてキャッシュフローも出ないこともありますので、今買われるのなら東京五輪に向けたキャピタルゲイン狙い、もしくはお買い得な物件を買ってキャッシュフローが出る方法を自分で編み出していく形で購入するのが良いのではないでしょうか。それから新築の建売りは利回りが出にくくなっていますので、土地を購入して自分で安い施工業者を探して利回りが出る物件を建てるということもチャレンジしています。新築の「いい利回り」というのは9%前後あれば、金利が安いのでキャッシュが出やすいと思います。
青山 市況という意味では皆さん共通見解でしょう。価格が上がって買いにくいのはもちろん、不動産投資が定着してプレイヤーが急増しています。特に都心に関しては節税目的の富裕層が利回り3%でも投資するような状況です。数年前なら1棟アパマン投資は王道でしたが、現在は厳しい。そのためニッチで競合が少ない投資領域に3人ともに動かざるを得なくなっています。岡田さんはエリアを郊外に移しており、五十嵐さんも新築アパートという競合相手が少ないカテゴリーを狙っている。私の場合はシェアハウス。今年に関しては民泊ビジネス「Airbnb(エアービーアンドビー)」が流行っていることから見ても、普通にやっていても儲からなくなっています。ただ、20代の若い方が区分マンションを購入して民泊ビジネスをやるケースが増えていますが、管理組合の規約が変更されるなど取り締まりが厳しくなっています。有望なのは戸建てでしょう。ただ都内だと割高なので別荘として貸せる物件は良さそうです。また都心の小規模ビルも「アリ」だと思います。空前の起業ブームといわれる中、コワーキングスペースやレンタルオフィス需要が旺盛です。その延長で4~5人規模の会社向けの事務所かつ起業されるのはIT系企業が多いので、リノベーションテイストの内装デザインの事務所が人気が高く、お金をかけずに改修できます。みんなと同じ事をやっていると富裕層の現金買いに絶対敵いませんし、利回りも下がりますので、競合が少ないところを狙っていくべきでしょう。
―不動産投資で気をつけている点
五十嵐 やはりキャッシュフローがきちっと出る物件を買うことと、購入してから発生するリスクを購入前にきちっと把握しておくことが必要です。私自身、小さい子供を抱えて不動産投資をしているのでキャッシュが取れる物件でないといけませんし、何かあった時に子供たちにリスクが及ぶ物件は購入しません。地方で遠い物件も何かあった時に見にいけないので大きなリスクです。また古くて修繕費がかかる物件も突発的な支出に備える必要があるのでリスクが高いと見ています。自分で手に負えない物件はなるべく避けて、少しでも不安があると投資を諦めることも多いです。例えば階段接道や駅から遠いのに自転車が置けない物件は運営が難しそうですよね。
青山 五十嵐さんの話は興味深いですが、私はそういった物件をあえて買うようにしています。階段接道でもシェアハウスに入居される方は自動車をお持ちでなかったり、階段は自転車を担げば対応できるので何とかなります。一方、傾斜地物件は逆説的に眺望が良く、風通しがいい。そして評価の割に物件が安く、融資が組みやすくなりますよね。いま新築でやっているのも階段接道の物件です。
岡田 初心者の方は業者の口車に乗せられて割高な物件を購入してしまうことは気をつけるべきでしょう。また投資家の属性によりますが、融資が受けられなければ転売、シェアハウスや民泊など、事業性のあるやり方で収益を上げるべきでしょう。一方、融資を受けて収益を拡大するのならば金融機関に対しては事業性をアピールするよりも不動産の評価・価値で実績を上げているように説明したほうがよい場合もありますので戦略を練る必要があります。属性が高ければ金利が多少高くてもフルローンで物件を取得し、借り換えをしていけば、最初はキャッシュフローが少なくても事業が安定するようになります。中級者になると保有物件が多くなってくるので、いつまで保有するのか、賃貸需要が一定ではないのでニーズの推移や修繕のタイミングをみながらどこで売却をするのか物件の方向性を考えながら買い進めるのか、現状を維持するのか常に出口戦略を考えるべきでしょう。
五十嵐 女性だから金融機関や不動産会社から軽く見られ、門前払いになることもあれば、ご主人の属性を利用して割高物件を買わされたり、表面利回りしか見ない女性投資家がいるのも事実です。私も1棟目はリサーチ不足でした。積算評価は1億円あった物件を6500万円で買いました。表面利回りは16%。優良物件だと思いましたが、色んなリスクが隠されていました。大規模修繕が100万円で済むと聞いていましたが、1年後に管理会社から提示された修繕見積もりが1400万円でした。さらに境界線が明示されておらず、最終的に隣地と揉めて売るに売れない状態になりました。初めて不動産投資をされる方はどこまで注意すべきか経験してみないとわかりませんので、リサーチは徹底するべきでしょう。

PAGE TOPへ