不動産トピックス

クローズアップ エコ用品編

2015.06.22 11:04

 1年の内で最もエネルギーを消費する季節が近づいている。世間では省エネ・エコの意識が高まって行く中、ビルにおいても機能性や快適性を維持しながらエコを実現する製品が存在している。今回はビルにおいて活躍するエコ用品を紹介する。

シャープ 自然光を利用して照明電力を削減する「採光フィルム」を開発
 シャープ(大阪市阿倍野区)は液晶ディスプレイの開発で培った光学制御技術を応用した「採光フィルム」を開発した。 オフィスの窓の内側に設置することで自然光を取り込み、照明用電力を削減、オフィスの省エネ化に貢献する。通常、オフィスに入ってくる自然光は部屋の一部にしか光が届かない。また、季節や、天候、時間帯によっては眩しすぎる場合があり、カーテンやブラインドにより遮光し、照明をつける必要があった。しかし、自然光を合理的に利用するべく、同社は長年液晶ディスプレイによって培ってきた技術を活用し「採光フィルム」を開発した。
 「液晶の技術をもったシャープだからできた製品と自負しています。3年ほど前から開発をはじめ、『窓から入ってくる自然光を天井に向けて直射を避け、その反射した光を活用して空間を明るく照らす』というコンセプトで開発してきました」と同社研究開発本部副所長の津田裕介氏は話す。
 同製品は表面に微細加工を施すことで、フィルムの片側に様々な角度から入る光を反対側から一定の角度で出すことが可能。これにより、不快なグレア(みえづらさを感じるまぶしさ)を軽減し、効率的に室内全体を明るくすることができる。昨年9月から同社で行っている実証実験では、オフィス内の照明の使用時間を軽減。およそ4割の照明用電力の削減効果が確認された。
 「『採光フィルム』をサッシに納めた『自然採光システム』が、ヒューリック(東京都中央区)の『ヒューリック虎ノ門ビル』に設置されました。約25%の照明電力使用量削減効果を見込んでいます。今後、この『採光フィルム』を応用した製品の開発を進めていきます。将来的には学校や病院、店舗等への展開も考えていきたいです」と津田氏は話す。


東芝/東芝マテリアル 半永久的に消臭・抗菌
 東芝(東京都港区)と東芝マテリアル(横浜市磯子区)では、従来の酸化チタン系光触媒とは異なる酸化タングステンを用いた光触媒「ルネキャット」を展開している。
 光を当てることによって触媒が活性化し、接触する有機物を分解する作用は「光触媒反応」と呼ばれている。 一般的に、光触媒に用いられる触媒は酸化チタンがよく知られているが、その場合には紫外線域の波長の光が当たる必要があり、屋内、特に現在オフィス内での普及が推進されているLED照明の下では効果を発揮しにくかった。「ルネキャット」ではその点が改善され可視光域の光が当たることにより光触媒反応が発揮される「可視光応答型光触媒」となっているため、室内での使用に適している。また、酸化チタンによる光触媒反応に比べ約30倍のガス分解性能を持つため、室内環境の改善に役立つ。  ムラなく塗布することで最も効果を発揮するので認定施工会社による施工が最も有効となるが、手軽に塗布のできるスプレーも市販されている。 また、ガス分解能力や抗菌性能をさらに高めた「ルネキャット高性能材」もあり、同様に施工、使用することができる。
 「ルネキャット」の触媒が残留する限り半永久的に有害物質を除去し続けクリーンな室内を保つことができるため、エコロジーかつ費用対効果の高い製品となっている。


トレインジャパン 一元管理でエコを実現 複数ビルの遠隔管理も
 トレイン(英国)は創業から100年にわたり、100カ国以上へ空調機器を展開している世界的空調メーカーである。日本法人であるトレインジャパン(東京都品川区)ではエネルギー使用合理化事業も共に推進しており、平成26年度エネマネ事業者に選ばれている。
 同社の展開する「Traser ES(トレーサー・イー・エス)」は、ビルの空調設備や照明設備の監視、制御を行う事の出来る一元管理システムだ。導入すれば使用している設備のエネルギー使用状況をリアルタイムで監視し、ウェブブラウザ上から常に参照することができる。クラウドサービスに対応しており、複数の設備はもちろん他のビルの遠隔監視、遠隔操作も行う事もできる。エネルギーの見える化、遠隔操作による消灯忘れの防止などを行う事で節電を実現、エネルギーのロスを防ぐことができるようになりエコに貢献する設備となっている。

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