不動産トピックス

クローズアップ 風力発電編

2015.06.15 11:54

 環境に優しい自然エネルギーとして、かねてより注目が集まっていた風力を利用しての発電手法。気象条件に左右される等の課題は残されているものの、洋上や海岸線等に設置された大型の風力発電機だけではなく、現在は我々の日常生活においても小型の風力発電機を目にする機会が増えてきた。建築分野との親和性が高い風力発電機の最新事情を紹介していく。

FUITAビジネス・パートナーズ ハイブリッド発電で、街路灯に新たな魅力と可能性を
 FUJITAビジネス・パートナーズ(東京都港区)は、ハイブリッド街路灯「灯(あかり)」を販売している。
 ハイブリッド街路灯「灯(あかり)」は、垂直タービン型風力発電機「望(のぞみ)DS300」に太陽光パネルを組み合わせたもので、風力発電と太陽光発電のダブルで発電するため自然エネルギーを効率良く、気軽に電気を発電することができるというものだ。
 一般的に太陽光発電は気象状況や季節によって左右されるという点があること、風力発電は風さえあれば24時間発電するが風が無ければ発電は見込めないという点があり、どちらも一長一短あることから、興味はあるが設置には踏み込めないという人も少なくないだろう。
 しかし同製品のようなハイブリッド発電は、風か日照かどちらかに頼るということがないため、曇りの日や夜間でも発電が可能であること、さらに、無風でも日照があれば、日照がなくても風があれば発電が可能であるのだ。そのため、単独の太陽光発電や風力発電と比べて天候や時間の影響による発電量の変動が小さく、互いの機能で補うことが出来、高効率が期待されるものとなっている。
 同製品の特長としては、ディープサイクル(シリコンパワー)蓄電池を4つ内蔵しているため、フル充電されていれば無風無光の状態でも約7日間(10時間照光/日)の照光が可能となっている(実際、無風無光の状態が7日間続く日は想定されないため、より照光時間の伸びが期待される)。また、独立電源システムであることから、電気配線のインフラの無い場所での照明が可能であり、コンセントとUSB差込口がそれぞれ一つずつ備えられているため、災害時の非常用電源としても活用できる安心の高性能となっている。
 照明にはLED照明を用いているため、消費電力が少なく長寿命・高照度が期待できるという点、風力発電機には低騒音設計で環境に配慮した垂直タービン型風力発電機「望(のぞみ)」を使用しているため、従来のプロペラ型の風力発電機にみられる低周波音などの問題が起こりにくいという点、さらにあらゆる場所に美しく映える優れたデザイン性でもある同製品は、支柱の塗装色の変更なども調整可能であり設置場所の要望を聞き入れ、景観を重視した対応ができるという点も特長となっている。
 同社エネルギー事業本部長の後藤田美幸氏は「当製品は非常時の明かりを確保することを目的としています。普段は街の美観や安全に貢献し、災害時など万一の際には人々の安心を支えるというものであり、地域の人々の暮らしを支えたいという想いが根源にあります」と話す。最近は売電目的に働く自然エネルギー機器が増えているが、同製品は地域に根ざし地域の人々の生活を支えていくことを目的に設置されており、街路灯による地域への貢献を推進しているのだ。
 現在同製品は日本各地に設置されており、学校、商業施設、公共施設などで広く活躍している。風車のデザインが珍しく、デコレーションライトのカラーが7色に変化して目立つことからシンボル的に利用するケースも多い。同氏は「現在日本各地、多種多様な場所に設置しておりますが、災害時の避難場所に指定されている施設などに率先して設置していただければ、PRにもなり普及率も高くなると思います」と話し、周知していく方法にも目を向け事業推進を図り、資源の有効活用と地域振興への意気込みを示した。

ゼファー 小型の風力発電システムZephyr9000 for J-FITをモデルチェンジ
 ゼファー(東京都港区)は、小型の風力発電システムZephyr9000 for J―FITをモデルチェンジし、2月25日から販売を開始した。
 同社は、小型風力発電の固定価格買取制度における適用機種として、これまで国内認証第一号機種である「Airdolphin」、同第二号機種「Zephyr9000」を市場に投入してきたが、買取対象となった設備導入件数は10件未満となっており導入が進まなかった。その大きな理由の一つとして、小形の風力発電機に使用するパワーコンディショナがあげられる。そこで、電気用品安全法等を基にしたJET規格対象製品である太陽光発電のPCSと同一のハードを有する小形風力発電機用のPCS「Enewell―WIN」を搭載させ、同時に風力発電機Zephyr9000の本体や周辺機器の改良を行った。加えて、昨年から取り組んでいた本製品システムによる一部電力会社との個別連系協議の承諾を得たことから、この度Zephyr9000 for J―FITをモデルチェンジし、販売を開始した。 尚、新Zephyr9000 forJ―FITの風力発電機本体は、白色ボディーを標準とし、搭載されたPCSは耐重塩害の屋外仕様を標準装備としている。また、オプションで発電量表示モニターが装備できるほか、風速や風向が計測可能な機器の導入を予定している。

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