不動産トピックス

クローズアップ 貸会議室編

2015.05.18 10:05

 ビルの空室活用としてスタートした貸会議室だが、その需要はとどまるところを知らず、今や新築大規模ビルにおける定番機能として開設される等、その事業内容は不動産業界で広く認知られるようになった。不動産会社が新たに貸会議室事業に参入した他、大手駐車場会社が貸会議室検索サイト運営会社を子会社化。異業種からの事業参入も増えている。また貸会議室事業の大手はホテルと貸会議室を融合した施設を作り、ハイブリッド化が進んでいる。

サンフロンティア不動産 開始会議室等の運営事業に参入 研修施設・ホテル運営等に繋げる
 東京都心部で不動産再生事業を展開するサンフロンティア不動産(東京都千代田区)が貸会議室等のオペレーション(施設運営)に乗り出した。
 先月22日に東京・八重洲にある「ケイアイ興産東京ビル」の5フロア、約600坪の空間を活用してイベントスペース・貸会議室「ビジョンセンター東京」の営業を開始した。同施設は「東京」駅八重洲南口から徒歩2分に位置し、最小6名程度に対応した小会議室や300人収容できる140坪の大会議室、さらに円卓テーブルを配置した特別会議室など、収容人数・目的に合わせて様々なタイプの貸会議室を用意。加えて6階にはレンタルオフィススペース、地下フロアにはイベントスペースもある。同社のスペースレンタル事業課課長の音道慶太郎氏は「今後も自社運営施設を増やしていきたい」と意気込みを語る。
 同社が貸会議室等のオペレーションに参入したのは「既存のサービス事業にオペレーション力を組み合わせることで、不動産の付加価値の最大化を図る」(音道氏)ことが狙いだ。事業用不動産の仲介・管理・工事・賃貸・売買まで一貫したサービスをワンストップで提供している同社だが、貸会議室のオペレーションと既存事業を連携させることで生まれるシナジー効果を期待している。貸会議室事業の経験豊富なビジョンオフィス(東京都千代田区)と業務提携し、当面は共同で施設運営を行っていく。
 すでに先行業者が多い貸会議室事業だが、仲介業務や管理業務でビルオーナーとの良好な関係性を構築しており、物件情報も豊富に抱えている同社にとって「物件探しで大きなアドバンテージがあり、よりよい条件で当社が賃貸借することも可能」(音道氏)だという。 今後はオペレーションのノウハウを磨き、研修施設やホテル運営等を展開していくことも視野に入れているという。
ティーケーピー 貸会議室を有するビジネスホテルを開発
 ビジネスホテルと合体した新たな形の貸会議室が東京に誕生する。
 ティーケーピー(東京都新宿区)は東京都荒川区の「日暮里」駅前にビジネスホテル出店を計画。今後は会議室を備えたビジネスホテル事業への参入を本格化させる。
 開発計画地はJR山手線・京浜東北線・常磐線・京成本線・日暮里舎人ライナーの5路線が乗り入れる「日暮里」駅から徒歩3分に位置し、京成スカイライナーで成田空港から最短36分という立地を生かし、成田空港からの訪日外国人の受け入れを積極的に進めていく予定だ。建物規模は地上15階建て、延床面積4326・57㎡。275室の客室を設け、主にMICE需要・ビジネス用途を想定している。1階には貸会議室および、朝食用のレストランを配置する予定。施設詳細・開業時期においては現在検討中だ。 
 同社では昨年8月に北海道札幌市のビジネスホテル「旧チサンイン札幌」をリニューアルし、ビジネス需要に対応する次世代型の会議室併設型ハイブリッドホテルを開業している。同社によると、今後も「日本の会議を良くしたい」をテーマに、各主要都市や未出店地域において、利便性の高い機能的なオフィスビルやランドマークとなるビル、ホテルへの出店を積極的に進めることで、国内ネットワークの更なる拡充を図るとしている。


日本駐車場開発 駐車場大手が貸会議室検索サイトを子会社化 シナジー効果で事業拡大を目指す

 日本駐車場開発(大阪市北区)は先月16日に開催した取締役会において、国内最大級の貸会議室検索ポータルサイト「JMA貸会議室サーチ」を運営しているジェイ・エム・エー(東京都港区)の株式を取得し子会社化することについて決議した。 
 日本駐車場開発は創業以来、駐車場事業を中心とし、スキー場事業、カーシェアリング事業等、時代の変化の中で生まれた新たな需要やギャップを埋める新規事業への投資により、事業の多角化に成功してきた。
 今回、株式を取得するジェイ・エム・エーは、全国約3000件の貸会議室へのネットワークを有しており、国内最大級の貸会議室検索ポータルサイトを運営している。また、専任担当者制を導入することで、利用者様へのきめ細やかなサービスを特徴とした会場手配代行サービスも提供しているのが特徴だ。ジェイ・エム・エーが有する不動産オーナー・法人ユーザーとの関係性と、日本駐車場開発が有する駐車場オーナー・法人ユーザーとの関係性を活用することで、両社が提供するサービスがより付加価値の高いものとなり、営業面においても相乗効果が得られると判断した。
 今後は、日本駐車場開発が運営する月極駐車場検索ポータルサイト「日本駐車場検索」と貸会議室検索ポータルサイトの連携体制を構築し、企業の総務部をはじめとするサイト利用者に付加価値の高いサービスの提供を実現することで、アクセス数を増やし、更なる事業の拡大を目指す。

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