不動産トピックス

クローズアップ ITシステム編

2015.04.27 13:48

 不動産とIT。今までなかなか進まなかった分野だが、不動産にもとうとうITの流れが押し寄せてきている。オリンピックによるインバウンド需要の増加も、Wi―Fiがビルや商業施設、商店街で使えるような環境整備が進んでいるようだ。新たな付加価値、業務の効率化、応用…これらと切っても切り離せないITシステムを今回は紹介していきたい。

情報セキュリティ・マネジメント オリンピック・インバウンド需要を取り込む商店街やビルに情報発信も可能なWi-Fi展開

 ビルの設備として欠かせないのがWi―Fiだ。オフィスへの導入はもちろんのこと、ビルのエントランス空間や、貸し会議室などでの利用、また2020年のオリンピックに向けてインバウンド需要が高まることから、商業施設などでも需要が高まっている。
 情報セキュリティ・マネジメント(東京都豊島区)ではWi―Fi機器「POPCHAT」を展開している。元々はホテル専用として開発されてきたが、近年ではホテルに限らず、幅広い建物への導入が進んでいるという。同社の最高経営責任者・代表取締役の佐々木賢司氏は「特にインバウンド需要などの絡みから、商店街などでの需要が高まっております」と話す。
 同機器の特長は接続の安定性、セキュリティ、情報配信サービスの3点が挙げられる。Wi―Fi機器として接続の安定性は不可欠のものだ。しかしながら、佐々木氏によれば「パブリックスペースでは多くの人がWi―Fiに接続するため、限界を突破してしまい、まったく接続できなくなってしまうケースが多くあります」と話す。その対策として同機器では接続回数と接続時間が設定されていて、それを超えての接続は出来ないようにするとともに、万が一許容量を超えてしまった場合には制限することによって常時安定稼働を実現させている。このシステムには、たとえばWi―Fiに接続してスパムメールを送る人がいた場合にも、その異常行動をキャッチしてその人の接続を切断してしまうといった対応が可能だ。これはセキュリティとしての特徴でもある。
 セキュリティのもうひとつの特徴はWi―Fiに接続する際に、「OPEN―ID認証」として大手ポータルサイトやSNSサイトとの連携で簡単に認証を済ませることが可能となっている。これ以外にもアンケートによる認証や、既存のメンバーシステムと連携することによるメンバー認証など豊富だ。アンケートでは性別や、どこから来たお客さんなのかがわかるため、商店街、ビルのサービス向上に役立てることもできる。
 3つ目の特徴として挙げられるのは、情報配信サービスだ。
 「たとえば、飲食店を探す際に、あらかじめ決まっていることよりかは、現地に集まって『さあ、どこにしようか』とその場で探す場合のほうが多いと思います。当社の機器ではリアルタイムで情報を配信することが可能で、たとえば『本日のおすすめ』などを配信することも可能です。また、広告を流すことも可能ですので、利用者側はこの広告面を利用して、収益をあげることも可能となります」(佐々木氏)
 見込まれるインバウンド需要を前に、都内の商店街などでは導入が進んでいるという同機器。パソコンやスマートフォンなどで設定されている言語に自動的に切り替えることも可能となっていることは、まさにこれからの時代に必要なWi―Fi機器だといえるだろう。商業ビルや商店街にビルを所有しているオーナーは、この機会に導入を考えてもいいのではないだろうか。

あさかわシステム テナント管理の煩雑な業務を効率化
 テナントに請求する賃料、電気料金などの各種公共料金。その請求書の作成という煩雑な業務はビルオーナーにとって効率化したい部分だろう。その効率化を行うことのできるシステムがある。あさかわシステムズ(大阪府泉佐野市)では、大型のテナント複合ビルから小規模商業施設までに適用可能なビル運用管理・テナント契約管理システム「こちら管理事務所」を展開している。  同システムはビル運用管理に不可欠な「テナント契約管理」、「請求業務」、「売掛管理」を行うシステムだ。またエネルギー監視装置、PBX電話交換機と連動することでビル管理業務をトータルでサポートすることが可能となっている。テナント契約管理では入居テナントの契約から解約までの異動履歴管理ができる。また請求業務においては、一定期間の定額請求のみであれば契約登録を一度行えば請求書発行までを完全自動で行うことができるほか、スポット請求する場合でも、請求書発行までにスポット請求登録を行い定額請求に加算することが可能となっている。これらの請求書発行を補助するのが、エネルギー監視装置とPBX電話交換機との連携。連携を行うことによって、エネルギー(電気・水道・空調)の請求処理や電話料金の請求処理の煩雑な作業が効率化される。またデータは蓄積されていくため、今後の経営のなかで役立てていくことも可能だ。  ビル・建物の規模を問わない同システム。煩雑な作業にかかりっきりになっている時間を、今後のビル経営の指針を決めるための時間にしたいオーナーは導入を検討しても良いのではないだろうか。

リ・プロダクツ 清掃システムを構築することで精度の高い清掃業務を展開
 清掃メンテナンスを行っているリ・プロダクツ(滋賀県大津市)ではITシステムを活用した科学的で効率的な清掃サービスで品質向上とコスト削減を実現する「清掃見積りシステム」を展開している。
 同システムでは施設の与件情報や利用度(汚染度)、またビルオーナーの求める清掃仕上がりレベルを基に、施設にあった最も効率的な清掃プログラムを自動で作成する。これまで長年の経験や、そこから培ったカンで行われてきて、ビルオーナーの求めるレベルとの差が問題になってきたが、同社のシステムにより、科学的かつ効率的に清掃をすることが可能となる。
 内容としてはWEBによる作業の進捗管理、実績報告システムを導入。顧客とスムーズな情報共有を行う。また蓄積したデータを利用して、合理的な仕様書見直しを通じて、継続的な品質向上とコスト削減を行っていく。是正すべき箇所についても早期に発見・改善し、品質レベルを維持していくとともに、この是正結果については同システムを通じて、タイムリーに報告するものとなっている。
 同社は商業施設・ビルなどの清掃を行う際に、このようなシステムを併せて導入することで、より満足度の高い清掃メンテナンスサービスを提供していく。

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