不動産トピックス

クローズアップ 太陽光発電編

2012.10.15 17:45

 今年7月から始まった再生可能エネルギーの全量買取制度。買取価格が予想を上回り、採算性に合うため、工場や倉庫、ビル等への導入が進められている。しかし、課題となっているのが施工時の技術格差。施工後に漏水が発覚したというケースも見られる。そうした背景から現在は太陽光発電導入を安全かつ確実に行う様々な工法・設置器具が多数開発されている。今回は太陽光発電の設置工法を中心に紹介する。

メディオテック 30年ノーメンテナンスを実現したマグネット工法
 衛星放送のアンテナ工事を皮切りに、LEDやエアコン設置工事、電気自動車用充電器の販売・施工まで幅広い分野をこなす住宅施工会社のメディオテック(東京都新宿区)。現在、同社が注力しているのが太陽光発電事業だ、以前から、太陽光発電システムの販売・施工サイトを立ち上げ、啓蒙活動を行ってきたが、今年9月から陸屋根住宅に向けた太陽発電工事の専門サイト『棟梁ドットコム』を開設。同社独自の太陽光発電システムの普及に注力する。
 「今年7月から全量買取制度が始まり、より注目度が高まった太陽光発電ですが、陸屋根住宅は調査工程が複雑で、見積もりを取ることさえ断られるケースが多い。陸屋根は施工が難しく、調査を行った結果、施工できないケースもあり、施工業者が敬遠する要素が多いのがその理由と思われます」(同社事業開発チーム リーダー 古越幸太氏)
 また、陸屋根は施工難度が高く、慣れない業者が施工した場合、漏水等の問題も頻出しており、簡単に導入できないことも多い。このような太陽光発電を取り巻く環境改善を目的に立ち上げられたのが同サイトである。
 同サイトで提案しているのは「30年ノーメンテナンスの金属屋根防水」と「屋根に穴を開けないマグネット工法」を活用した施工方法だ。
 「耐久・防水性に優れたステンレス鋼版に表面保護塗膜加工を施し、防水対策は万全です。さらに従来の施工方法は屋根に穴を開ける工法が一般的ですが、永久磁石を架台として活用し、穴を開けない施工が可能になりました」(同氏)
 また、太陽光発電導入前に最高性能を引き出せるように屋根・発電診断を無料で実施しており、今後は住宅だけでなく、ビル等の産業用物件にも進出する予定だ。

グリーンテック ビル向けに開発された壁面設置工法
 会社設立から10周年の節目となった昨年度から、太陽光発電事業の更なる普及を目指し、新ブランド「XSOL(エクソル)」を立ち上げたグリーンテック(京都市中京区)。音楽家・坂本龍一氏のTVコマーシャルでもおなじみだ。製品開発・設計・施工・コンサルタントにいたるまで、太陽光発電に関するトータルプロデュースを実現する太陽光発電の専門企業である。
 同社が主にビル用に開発したのが「エクソル ドット ライトスルーモジュール」だ。同製品はガラス建材の意匠性を際立たせながら、太陽光発電の機能性を付与したハイブリッド型の太陽光発電設置工法だ。強化ガラス製のコーナー部に穴を開け、ボルトで建物にパネルを固定することで、壁面への垂直設置が可能になった。また、各ガラスのコーナー面に出てくるドットポイント金物がカーテンウォールに浮かぶ独特の意匠となり、透明感が強調された見た目を実現。従来型のビルは最も面積が広い壁面が未活用だったが、同製品を採用することで意匠性・機能性を両立することが可能になった。
 「最大の特徴は、接続端子をドットポイントに内蔵することで、配線コードを支柱に収め、美しい見た目を追求したことです」(同社経営企画部広報課 小山氏)
 また、太陽光発電システムをビルに導入する場合、設置場所に制限があるが、同製品は壁面を活用することでスケールメリットを得られ、さらにCSRの観点から環境対策を広く周知させることにも貢献する。
 「ビルだけではなくその他の建物、高速道路のサービスエリアやサイクルポート、バス停などにも適しています」(同氏)

元旦ビューティ工業 金具でパネルを固定する簡単施工を実現
 20年前に日本初の屋根一体型ソーラーシステム「サンシステム元旦」を展開した元旦ビューティ工業(神奈川県藤沢市)。ソーター発電屋根やトップライト等の環境対応製品を多数手がける同社は、電設資材商社や電気工事会社向けに、今年10月からハゼ式折板屋根をはじめ、重ね式折板屋根、瓦棒屋根、立平葺き屋根に対応するソーラーパネル取付金具の販売を開始した。今年7月から始まった再生可能エネルギーの全量固定買取制度によって、施工面積が広く、影ができる遮蔽物が少ない倉庫や工場などで多用されている屋根を中心に幅広く活用できる優れものだ。
 同製品の最大の特徴は施工の簡略化にある。通常、太陽光パネルを屋根に設置する際、大掛かりな工事が必要になったり、荷重のある架台を導入するなど、コストと施工期間が必要となり、太陽光発電導入の障害となっていた。しかし、同製品は日本の倉庫や工場で広く普及している屋根の形状に合わせてあり、金具を設置するだけでパネル設置が可能となる。大掛かりな工事が不要のため、屋根を傷めず、漏水等の心配もない。
 同社は普及が進む産業用の屋根置き型太陽光発電に対してパネルの設置を金具のみで簡単に施工できる設置工法「サンピカ」も展開しており、ニーズに合った製品・サービスを取り揃えることで太陽光発電の更なる普及に尽力している。

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