不動産トピックス

クローズアップ 機能性建材編

2010.04.12 16:36

ビルの価値を決める際の判断材料として、やはり見た目が占める割合は他の何よりも高いのではないだろうか。設備の充実したスペックの高いビルであったとしても、エントランスや共有部など、ビルの見た目が汚れてしまっていては、その本当の価値をも薄れて映ってしまうであろう。今回のクローズアップでは、ビルの美観を維持するうえで有用な手段となる、機能性建材に焦点を絞り特集する。

出光テクノファイン 372菌種以上に抑制効果を発揮する抗菌・防かび剤
 出光テクノファイン(東京都墨田区)と、塗料商社のオーウエル(大阪市西淀川区)は、看板の内面に発生するかびを抑制するナノコート剤「コーキンマスター(R)防カビスプレー」を共同で開発し、平成22年1月より販売を開始している。
 コーキンマスター(R)とは372菌種以上に抑制効果を発揮する抗菌・防かび・防藻剤。ハロゲンフリーで安全性に優れている。これまで日用品や建材、工業・農業用途など様々な方面への使用実績がある。
 ビルのエントランスや屋上に照明看板を取り付けているオーナーは多いが、例えば昨今流行しているLED照明は、看板に使うと消費電力および保守回数が減るという利点があるものの、蛍光灯照明に比べて低発熱のため看板内面の結露によってかびや藻の発生が生じやすくなる。発生したかびや藻は看板表面から見ると黒い影になるため、定期的な清掃などのメンテナンスが必要になることから、これを問題とするニーズが増えていた。
 このたび開発した「コーキンマスター(R)防かびスプレー」には、出光テクノファインの抗菌・防かび・防藻剤「コーキンマスター(R)」が配合されており、かびや藻の抑制に効果を発揮する。また、LED照明の看板だけでなく、蛍光灯仕様の看板にも顕著な効果が見られ、看板内面のメンテナンス頻度やコストを抑え、美観を損なうことを抑制できると期待されている。オーウェルでは、自社が販売しているLED照明と組み合わせてコーキンマスター(R)防かびスプレーを顧客へ提案。

九州大日精化 太陽熱反射塗料を開発・販売
 九州大日精化(福岡県福岡市)は、太陽熱反射塗料「クールライフDX」を開発・販売している。同製品は、室内環境の向上や冷房効率の改善を実現できる屋根用塗料である。
 太陽光の近赤外線を効率よく反射させる着色顔料を使用し、優れた遮熱性を発揮するという特長を持ち、また高耐候性の反応硬化型アクリルシリコン樹脂を使用することにより高い耐候性・耐汚染性を実現している。低VOCの水系塗料で、環境要因に配慮した塗料設計となっており、同社独自の設計配合により、優秀な防藻・防カビ性も発揮する。
 塗料の色が選べることも特長である。ホワイト、グリーン、ネイビーを10種の標準色がラインナップされており、屋上や建物の雰囲気に合わせて選択できる。
 「太陽の輻射熱の90%以上を遮断し、建物内部の温度上昇を防ぐ塗料ですが、夏期の熱暑の屋根表面の温度を10~25℃下げ、屋内環境の向上や冷房用のエネルギーの節約に貢献します。ビルの屋上防水層、工場、倉庫等の鋼板、スレート屋根など幅広い用途にご利用いただけます。光触媒作用によるセルフクリーニング効果により、汚れもつきにくく、遮熱効果が長期間持続可能です」

ビーアールエス 浸透強化型吸水劣化防止剤を販売
 「ビルやマンションに使われているコンクリートは、想像以上に水分が侵入し劣化しやすく脆弱なものである」、ビーアールエス(東京都台東区)は、浸透強化型吸水劣化防止剤「ハイパーロック」によるコンクリートの防水対策と劣化予防対策を提案している。
 「ハイパーロック」は、コンクリート、石材、タイル目地等、透水性機材に深く浸透し、化学変化によって外からの水分進入を防ぎ、内部の残留水分は蒸発させるという、基材の劣化防止に最も適した効果を発揮します。その効果は市販の撥水材とは異なり、耐候性や断熱性、防汚性にも優れ、さらに躯体の強度をアップさせます。また、すでに劣化が確認される基材に対しては劣化の進行を予防します」(大竹氏)
 また、限られた建設コストの中でビルを立てたり改修したりをする中で、「予防」のための処置をどうしても後回しにせざるをえない建設業者の立場も理解できないわけではないとも同氏は語る。
 「しかし、劣化が進行し手が付けられなくなってしまっているケースは非常に多く、ちょっとしたひび割れから浸水し、ある日気がつけばコンクリート内部の鉄骨が腐食しアルカリ反応が起き、外壁のあちこちでタイルの浮きや剥落が発生してしまっている建物をよく見かけますが、新築時や築浅時の早めの対応が重要となりますので、ぜひ賢明なご判断をと思います」

リック 光触媒酸化チタンで消臭・抗菌
 内装資材全般を扱うインテリア総合商社のリック(大阪市中央区)は、室内・室外を問わず建物をコーティングして消臭・抗菌・防汚加工する光触媒酸化チタン「チタンガード21」を販売している。
 同製品は、水と酸化チタンだけでできており、酸化チタンは食品添加物として認められている。歯磨き粉やホワイトチョコレート、石鹸、化粧品などに幅広く用いられている安全な物質である。短時間で手間なく仕上げられることも特長で、自然乾燥で塗装面にしっかり密着するので、作業は簡単にスピーディに済む。また、メンテナンス費用は大幅に削減される。室内では窓から降り注ぐ太陽や蛍光灯の紫外線により、付着した臭いや汚れを分解。室外では超親水性作用により、雨や水などで汚れを剥がし落とし、定期的なメンテナンスはほとんど必要なく、ランニングコストの面でメリットが高い。
 また、日常生活への支障は最小限に抑えることができる。
 既存建物へそのままコーティング塗装できる点が非常に便利である。室内・室外を問わず、既存の建物へのコーティングが可能であり、無色透明なので、外観を損なうこともない。耐熱性のない材料や熱処理できない部分にも対応可能であるまた同製品は中性なので、酸や薬品に弱い金属・プラスチックなどへのコーティングにも効果を発揮する。さらに、昨今問題になっているシックハウス症候群の原因となるVOCの軽減にも力を発揮する。  

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