不動産トピックス

クローズアップ 防水シート編

2011.08.22 11:10

 防水には様々な工法や製品があるが、中でも技術革新が進んでいるのが「防水シート」だ。本来の目的である「漏水を防ぐ」だけでなく、従来のシート防水工法の問題点を解消する新機軸の製品が続々と登場している。今回は防水シートの最先端を紹介する。

田島ルーフィング 防水シートと太陽電池が一体化
 田島ルーフィング(東京都足立区)は90年以上にわたり、建物に必要な防水材を提供している総合防水メーカーである。昨今、ビルの屋上に太陽光発電システムを設置する事例が増えているが、安易な設置は漏水事故を引き起こす可能性があることから、同社では防水とソーラーの共生をテーマに、防水と太陽電池を一体化させた「プルーフソーラー」を展開している。
 「このシステムは厚さ2mmの塩ビシートの表面に、厚さ1mmのフィルム型アモルファスシリコン太陽電池を一体化させたもので、重量は防水層を含めて約4kg/㎡と圧倒的な薄さと軽さを実現しました。フィルムタイプの太陽電池を採用しているため、曲面への設置も容易で、ボールト形の屋根にも対応可能です。太陽光発電システムを設置するには、建物の状況に合った最適な設置方法の選定が重要です。一般的な結晶系太陽光発電モジュールを設置する場合は、耐風圧を考慮して大掛かりな基礎・架台を設置する必要があり、重量物が載るためビルの屋上に大きな負担がかかります。『プルーフソーラー』なら、専用防水シート『ブライトシート』に穴を開けずに直接太陽電池を貼り付け一体化させるので基礎・架台が不要であり、漏水の心配もありません。さらに、太陽光発電システムと防水シートとの耐用年数を揃えているので、改修工事がスムーズにできます。『プルーフソーラー』は防水とソーラーが共生する、ビルにおける太陽光発電システム導入の障害をクリアした画期的なシステムです」(同社 利根山氏)

カスタージャパン 長期保証を実現しコスト面で優位に
 カスタージャパン(横浜市中区)が展開する屋上防水シート「ポリフィン(POLYFIN3016)」は耐久性の高さで知られるポリオレフィン樹脂を原料とし、紫外線や熱、水の影響を受けず、25年長期保証を実現(ノボタン防水は30年保証)。同社代表取締役の尾崎氏に同製品の品質について聞いた。
 「シート内部はグラスファイバーで補強しているため、高い強度を誇り、機械固定カバー工法によって既存防水層の状態を問わず、数度の改修歴のあるビルやマンションの屋上でも下地の状態を問わず半永久的に防水できます。従来の防水材には可塑剤が含まれており、時間とともに可塑剤が抜けていき、シートが収縮することによってクラックや剥離を引き起こしますが、可塑剤を含まない当製品は経年劣化によってシートの弾性が低下することがありません。これは、37年間実際に屋上で防水材として使用されたシートの引張試験において、まったく劣化のないことが確認されております。また、シートの状態を10年おきに当社が確認し、必要部分にのみ小規模補修を行い、防水保証の延長を行うシステムを採用しています。不良部分は無償で補修し、発生する費用は併用するシール及びウレタン防水の再施工の実費のみです。長期的に見た場合、従来品と比べてコスト面で大きな優位性を誇ります」

ロンシール工業 一般の防水シートに比べて日射反射率が向上 躯体に伝わる熱を遮熱する防水シートを展開
 昭和3年に創業して以来、防水シートのパイオニアとして業界を牽引してきたロンシール工業(東京都墨田区)は、様々な防水ルーフィングや工法を開発してきたが、「ベストプルーフシャネツ」もそのひとつだ。同社防水事業部の志塚氏は、同製品の特徴をこう話す。
 「当製品はシート防水業界で当社が初めて開発した遮熱ルーフィングであり、一般ルーフィングに比べて日射反射率が最大約70%と飛躍的に向上し、強力な反射率によって建物の躯体に伝わる熱変動や蓄熱を低減させることができます。屋上の表面温度上昇を低減させることでヒートアイランド現象の抑制効果が期待できる他、室内への熱の流入を抑え、冷房負荷を軽減し、節電効果を発揮します。さらに、下地に断熱材を張り、その上からルーフィングを張る「断熱防水工法」と組み合わせることで、さらなる冷房効率アップも期待できます。また、ルーフィングにかかる温度が低減するため、耐久性能も大幅に向上し、改修サイクルが飛躍的に伸び、補修費用の節約も図れます。しかし、シート防水の保証年数は製品の品質だけでなく、施工業者の手腕にかかる部分が大きいのが現状です。そのため、当社では、製品性能を最大限に発揮できるように防水事業協同組合を組織。定期的に講習会を開催し、安定した施工品質の確保・向上に努めています。さらに、ロンプルーフSP防水保証システムでは、当社が認定した認定施工管理者や施工技能士による施工の条件下、最長15年の長期保証を行っています」

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