不動産トピックス

クローズアップ 抗菌・除菌対策編

2011.06.06 15:17

 例年より早く訪れた今年の梅雨入り。この時期に気を付けたいのが細菌やカビの発生だ。温度25℃以上、湿度70%以上、栄養物や汚れ、酸素があれば細菌やカビの繁殖は活性化するのだが、梅雨は活発な繁殖時期にあたるため、清潔感から見たテナントの快適性の確保の一環として見ても抗菌・除菌対策は必須の課題である。雑菌発生を抑制する抗菌対策と雑菌を取り除く除菌対策。2つの方法を巧みに使い、梅雨特有の悩みに臨みたい。

ジェット 新型インフルエンザウイルスを99.9%消滅させる
 建築設備の総合メンテナンスを行うジェット(福島県郡山市)は、環境浄化や悪臭対策として除菌・消臭剤「除菌マン」を販売展開している。
 同製品は、他の香りで悪臭を隠すだけの消臭剤とは異なり、悪臭の元となる雑菌の細胞膜を酸化分解し、繁殖を阻止する「安定化二酸化塩素」を使用。新型インフルエンザウイルスも99・9%消滅させるという。さらに、人体に悪影響を及ばす発ガン物質やトリハロメタン類を生成しないため、安全性の高さから使用場所を問わない。
 「安定化二酸化塩素はWHO(世界保健機構)やFDA(米国食品薬品局)などで、安全性と有効性が認証されており、人体に影響がないため、病院の院内感染対策や飲食店の食中毒予防として主に使用されています。ビルの場合、オフィス内だけでなく、エントランスやエレベーターなどの共有スペース、天井裏や水まわり、トイレなど、あらゆる場所で高い効果を発揮します。継続的に除菌を行い、その効果は塩素の2・6倍、オゾンの1000倍、アルコールの50万倍を誇る除菌力の高さが自慢です」(日下氏)
 同製品は、気になる場所に直接噴射するスプレー製品と、空間全体に効果を発揮する設置用のゲル状製品と2タイプを用意。さらに、自動噴霧器を7月から販売する予定だ。

LIXIL 清潔なトイレ空間生み出すスタイリッシュな抗菌タイル
 LIXIL(東京都千代田区)のブランド「INAX」は、トイレ用抗菌床タイル「レストールキラミック」を4月から展開している。
 商業ビルの設備において、近年は集客力向上と他店との差別化を図る目安としてトイレの果たす役割は大きく、清潔感や使いやすさだけでなく、洗練されたレストルーム化へのニーズが高まっている。そんな中、同製品はトイレの床に発生しやすいヌメリやアンモニア臭、藻の発生を抑え、トイレ空間全体の防汚と抗菌化に貢献する。
 色合いはモノトーン系とベージュ系の2種類から選択できる。同社によると、モダンからナチュラルまで空間を選ばず、パブリック空間や住宅などの床に幅広く使用でき、水まわり用床タイルとしてはバリエーションの少なかった400mm角をアイテム化し、上質に仕上げるという。
 表面がガラス質のタイルは本来汚れのつきにくい建材だが、湿った状態の床などでは「細菌汚れ」が発生しやすい。同製品はISO基準に準拠した抗菌仕様となっており、雑菌の繁殖が活発な光のない場所でも変わらない抗菌効果を発揮し、使用場面を選ばない。パブリックな水まわり空間に求められる耐久性、メンテナンス低減に応える建材として、コスト削減効果も見込まれる建材である。

クリア・オフィス ホタテ貝殻を100%知央した天然由来の抗菌剤
 天然資源の有効活用によるバイオ関連企業であるクリア・オフィス(横浜市港北区)は、ホタテの貝殻を使用した抗菌剤「抗菌ミラクルパウダー貝化粉」を展開。同製品を用いて、各設備メーカーと共同で抗菌設備を開発している。
 同社の代表取締役を務める山田氏は通常の抗菌剤との違いをこう話す。
「鶏などの餌となるホタテの貝殻を100%使用している天然由来の安全性の高い抗菌剤です。当社では、網を使わず、海中で垂下養殖したホタテの貝殻のみを原材料として使用するため、貝殻に不純物が付着せず、高温焼成しやすいのが特徴です。そして、当社独自の特殊な方法で水和処理するため、高い抗菌力を実現しました。抗菌、抗ウイルス、防カビ、防臭・消臭、ダニアレルゲン除去などに高い効果を発揮します」
 同製品は“パウダー”の名称どおり、形状は白い粉末。使用方法は、直接粉末を塗布するのではなく、樹脂やゴムなどの材料そのものに配合したり、インクや塗料などに配合し、ドアノブや手すりなどに塗布して抗菌処理を行うなど、「調味料」のような使い方が基本となる。一例として、同社はフィルムに配合して、エレベーターのボタン部分に貼り付ける抗菌シートを開発・販売している。
 また、抗菌力が非常に高く、材料に配合する量も0・5~1%ほどで十分な効果が得られるため、材料に対する配合量が少なく済み、強度性の問題もクリアしている。
 「不特定多数の人が触れるエレベーターや、階段の手すり、ドアノブなど、清潔に保つことでテナントやビル利用者の快適性を向上することができます」(山田氏)
 今後は、他業界との提携を密にし、様々な抗菌設備の開発に取り組んでいくという。

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