不動産トピックス

クローズアップ 蓄電システム編

2011.05.30 16:40

 従来の太陽光発電機は外部から電力を供給しないと稼動しないという欠点があったが、「蓄電システム」は電力を蓄え、好きな時間帯に使用でき、節電だけでなく、緊急時の非常用電源に活用できる利点がある。電力不足が予想される今後、「蓄電システム」で個別に電気を管理・運用する時代が到来しそうだ。

中遠電気 被災地での電力確保に貢献
 中遠電気(静岡県掛川市)及び蓄電提携企業は、家庭用蓄電システム「ディーパワー」を4月から展開している。同社は東日本大震災時の津波で変電所が無くなり、ライフラインである電気の復旧の目途がついていなかった宮城県南三陸町の避難所に「ディーパワー」と太陽光パネルの設置を行うなど、すでに災害支援で実績を残している企業である。
 同製品の蓄電システムはコントローラーとバッテリーボックスの2つのユニットで構成される。分電盤から直接接続し、バッテリーボックスに蓄電、コントローラー部で電力の接続と制御を行う。蓄電池は3~4時間で満充電となり、使用可能電力は8kWで、目安として25型テレビが約66時間使える計算。さらに、貯めた電気を好きな時間帯に使用できるようにするなど、初期設置時にパソコンから運転メニューに応じた細かな設定も可能だという。
「震災や停電など、電力確保がままならない緊急時の代替電力だけでなく、昼間の電気代と比べて半額以下の深夜電力を蓄電して昼の時間帯に使用することで、身近な部分から電気代を節約できます」(菅沼氏)
 太陽光発電など、新エネルギーから直接蓄電する事ができ、環境にも配慮しながら長期にわたり停電が続いても毎日電気が使え、さらに防災対策としても貢献できる。

桐生 安全性と耐久性を兼ね備えるニーズに合わせた改良も可能
 「電力不足が予測される今後、電気を自分で管理する『蓄電社会』の到来は避けられません。電力供給が十分にある時に蓄電し、需要が供給を上回った時に蓄電した電気を使うようになります。また、災害時の非常用電源として蓄電設備が必須となるでしょう」
 そう語るのは、自然エネルギーを活用した独立蓄電機器を製造・販売する桐生(東京都中央区)の代表取締役を務める中沢史郎氏。同社は、家庭用として使用できるポータブル蓄電システム「TDSー1205」を開発。5月からインターネットでの予約販売を展開している。
 同製品の特徴は、発火や液漏れの危険性が低い「AGM方式安全弁付電解液吸収型シールド構造」を持ち、放電深度50%で約650回の充放電が可能な「ディープサイクルAGM密閉型鉛蓄電池」を採用。耐久性と安全性を兼ね備えている点である。
 蓄電能力は1200Whで展開し、家庭用TVなら約10時間の連続使用が可能。停電時には蓄電池への自動切換えを行い、継続した電源供給を確保できる。また、同製品は内蔵バッテリーを増設することができ、予算や使用用途、設置場所の規模によって様々な改良ができるのも魅力だ。
 「ビルの場合、各テナントに1台設置するほか、エントランスなどの共用部分に非常用電源として設置しておくと、テナントの安心を担保できます。また、自然エネルギーによる巨大蓄電システムの開発に取り組んできた当社のノウハウを生かし、ビル向けの大型蓄電システムへのカスタマイズも可能です」(中沢氏)

アクセス 手軽に持ち運びができるコンパクトさ
 アクセス(石川県金沢市)は、家庭用蓄電システム「リプソーラーミニ」を展開している。
 同製品は元々、屋外イベントやキャンプなど、アウトドアシーンで電気を使用したいというニーズに応えて開発されたが、さきの大震災発生以降、問い合わせが急増。それまで月間で5台ほどしか売れなかったが、現在は数百台単位で販売。生産が追いつかず、予約待ちだという。
 非常電源として必要最低限の電力確保に焦点を絞った結果、電源部本体は高さ28・5cm、幅32cm、奥行10・5cm、本体重量は7kgというコンパクトさを実現。女性でも簡単に持ち運べるのが最大の魅力となっている。さらに、LEDライトが付属されており。電源が確保できない狭い場所での作業にも利便性を発揮する。
 充電方法はソーラーパネルと家庭用コンセントのどちらからでも可能。満充電では、ノートパソコン(12W)で約8時間を目安に使用できる。

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