不動産トピックス

クローズアップ サブリース編

2009.07.06 10:42

 ビルを一括して借り上げ、テナントに転貸するサブリース。かつてバブル期にはトラブルになるケースすらあったが、現在、各社共に透明性の高い事業を展開している。不動産市況の停滞を受け、空室リスクを回避する上ではサブリースの活用も選択肢の一つとなるだろう。今回は、各サブリース業者の取り組みをお伝えする。

サブリース 物件に応じオーダーメードで対応する幅広いコンサルティングメニュー
 サブリース(東京都中央区)は都心を中心に約50棟のサブリースを受託しているオフィス専門のサブリース会社だ。
 サブリースを中心として改修やPM、資金コンサルティングなど、物件特性によってオーダーメードで幅広いサービスを提供している。
 「昨今の景気後退を受けて、問合わせは増えています。特に大手デベロッパーからの計画案件もあり、当社によるサブリースが付加価値として市場で認知されている結果と感じています」(取締役羽部浩志氏)
 サブリースは基本的にはビルを一括で借り上げ、ビルの運営を通じて付加価値を高めることで稼働率を向上させる固定賃料型のサブリースを平成4年から展開している。
 単に運営のみを行うPMとの一番の違いはテナントの貸し倒れするリスクを回避できることだ。加えて、同社が長年の運営で得たリーシング力と、賃貸市場の動向を常にキャッチする事で高い稼働率を維持することが可能になる。
 物件の魅力を高めるための改修については、同社が借り上げた際の保証金の活用など資金面でのコンサルティングを行う体制が整っている。また、改修工事の際にも並行してリーシングを行うため空室期間を短くすることが可能だ。
 「当社では、一棟の物件はすべて1人の専任担当者が担当し、オーナー様はじめテナント様の窓口も一本化しています。
 物件をお預かりするからには、長期での契約を前提に、高いクオリティの運営をご提供したいと考えています」(羽部氏)

イマス 30余年にわたり全国でサブリースを展開 稼働率を向上させる独自のリーシング力
 昭和51年よりオフィスのサブリースを中心に全国で展開しているイマス(大阪市中央区)に話を聞いた。
 「全国的な空室の増加を受けて、昨今、問い合わせは非常に多くなっています。当社では基本的には相場賃料の80%程度で5~10年間の賃貸契約をご提案しますが、オーナー様のご希望や物件の状況により、固定賃料、変動賃料など幅広いご提案が可能です」(東京支店 課長 齋藤真一氏)
 同社の受託物件でも直近の不況を受けて稼働率は下がったというが、東京で受託している役45棟では97%、全国でも90%越の稼働率を維持している。これは30余年に渡りサブリースを行ってきた中で培った、リーシング面における独自のネットワークと行動力によるものだという。
 「全国で物件をお預かりしていますので、全国的に見ても不動産市況における先行きの不透明感はまだ続くと考えています。こうした市況下では、状況を見定めて早め早めに対応することが必要だと考えます」(齋藤氏)
 また、同社では物件の管理をこまめに行う事で日頃からテナントと関係を強くしており、長期の関係を維持している。これにより、増床や縮小の情報を早期にキャッチし、テナント退出のリスクを軽減するという。
 「オーナー様にとっては抵抗感のある方もいらっしゃると思いますが、所有と使用のぶんりによるメリットは非常に高いと考えます。サブリースによってフレキシブルな経営が可能になり、結果としてビルの収益力を高めることができるからです」(齋藤氏)

地遊社 下がり相場にこそ強いサブリース 小規模なオフィスにも柔軟に対応
 地遊社(東京都中央区)は賃貸委託と家賃保証による変動型のサブリース契約を行っている。これは物件特性から査定した稼働率を上回った分を同社のフィーとするシステムで、東京都内を中心に多数の物件を受託している。
 「当社は仲介を主としていますのでリーシング目線でのノウハウがあり、お預かりした物件について、稼働率の向上を図る様々な工夫を行うことができます。現在のような下がり相場でこそ、強みの発揮できるビジネスだと思います」(代表取締役 細谷敏春氏)
 同社の受託物件が稼働率向上を実現できるのは、新規テナントをつけるだけではなく、会議室や小規模オフィスにするなどの稼働率向上を図る工夫だという。また、このような工夫ゆえ小規模なオフィスビルに対応できるのが同社の特徴である。フロア単位から一棟単位での相談が増加しているのを受け、同社では一層、サブリース事業に力を入れていく予定だという。不況の影響を受けてオーナーからは、サブリース以外にもリスク回避の要求が強く、家賃滞納などのトラブル保証付き賃貸仲介を今後強化していくという。
 「サブリースは一回きりの賃貸仲介とは違い、委託いただいているオーナー様とは5年程度の長期のお付合いとなるのが通常です。物件を管理する立場としてはテナントにも発展してほしいという考え方で物件に接しています。今後は、テナントの集客や利便性を高めるため、物件情報を含めた地域ポータルサイトの開設などを予定しています。これによって物件の魅力を強く発信できると考えています」(細谷氏)  

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