不動産トピックス

クローズアップ 外壁コーティング編

2008.11.17 16:29

ビルの外壁は、竣工したその時から常に風雨などの脅威にさらされている。さらに空気中にはカビ、菌など、劣化を進行させる要因が多く浮遊し、体躯の維持、美観の向上のためにも、外壁の定期的なメンテナンスは欠かせない。今回は外壁の延命に役立つコーティング剤を紹介する。

テムスケミカル 汚れの種類に応じた保護材で外壁をコーティング
テムスケミカル(東京都品川区)では、建築物の内外に付着したカビ・汚れを根元から分解し、防菌・防カビに効果を発揮する特殊洗浄剤を製造・開発し、「MOS工法」として提案している。
従来、外壁のカビ汚れを落とすために高圧洗浄や、酸性の溶剤で洗うといった方法がとられてきた。しかしこれらは表面を研磨するもので躯体を細め、傷つける原因にもなる。「MOS工法」は汚れの種類に応じた洗浄剤を表面に吹きつけ、その後保護剤をコーティングすることでカビや汚れを防ぐことができるのだ。外壁汚れの原因として多いカビに対しては「MOS-A」を、また、水アカや煤煙などに対しては「MOSF」を使用し、汚れを分解させる。この他にも、油汚れ用の「MOS-O」や木部のカビを落とす「MOSI」があり、施工対象はビル・マンションなどのコンクリート建築物、木造の住宅・寺社、金属パネル、ガラスなど非常に幅が広い。なお、「MOS工法」は室内でも施工可能である。洗浄後に使用する保護剤についても用途に応じて4種類がラインアップされており、最適な洗浄・防汚を行うことができる取。
締役副社長の大澤氏は「『MOS工法』の最大の特徴は、建物の美観を維持しつつ防菌・防汚ができることです。さらに従来工法と比較して短期間・少人数で施工が可能なため、コストダウンにおいても貢献するでしょう」と語る。

富士化学 石灰と反応したケイ酸カルシウムがコンクリート内部の隙間を埋め強化 ひび割を中心に塗布し建物の劣化を防ぐ
コンクリートの建築物は時間が経過するとともにクラック(ひび割れ)が発生し、そこに水などが浸入することにより躯体の劣化が進行する。富士化学(大阪市都島区)の「ウォータードリーム」と「ポルトグラス」は、このようなクラックの浸水を防ぐ浸透性コンクリート強化防水材である。
この2製品はケイ酸塩を主成分とし、外壁や屋上にコーティングすることでコンクリート中の石灰とケイ酸塩が化学反応を起こし、ケイ酸カルシウムを生成する。営業開発部の住友氏によると、「生成されたケイ酸カルシウムは、コンクリート内部のクラックに入りこみ、隙間をすみずみまで埋めて外部からの水の浸入を防ぐのです」とのこと。製品を施工することで、コンクリートの劣化・中性化の原因となる雨水・炭酸ガス・塩化 物イオンを防ぎ、強度を向上させてコンクリートの延命化に役立つのである。
なお「ウォータードリーム」は粉体型、「ポルトグラス」は液体型で、前者は先付け工法に、後者は耐摩耗性が特に要求される箇所において有効となっている。

YOOコーポレーション 新しい触媒「リン酸チタニア」が外壁を守る 紫外線を必要とする酸化チタンに比べ暗所においても抗菌・防汚に効果発揮
酸化チタンを原料とする光触媒は、原則として太陽光の紫外線を照射されて抗菌・消臭といった効果を発揮する。YOOコーポレーション(大阪府藤井寺市)の「エコキメラ」シリーズは、暗所においても光触媒と同様の効果を持つ新触媒、リン酸チタニアを原料とするコーティング剤である。この「エコキメラ」は用途によって使用する製品を使い分ける。消臭・抗菌用の「Sシリーズ」は、壁面に塗布すると微細な粒子により強力な膜を形成、この膜が空気中を浮遊するガスや菌を吸着し、分解する。
防汚用の「Cシリーズ」については、塗膜が親水性・静電気の帯電防止作用を有しているため、汚れが付着しにくく、付着しても雨水などで簡単に流れ落ちる仕組みとなっている。また、カビの防止には「Fシリーズ」が有効である。
いずれの製品も紫外線の照射を必要とせず、光触媒に比べ安価で高い耐久性といったメリットもある。同社によると、リン酸チタニアが持つ抗菌・消臭のメカニズムについては、未だ解明されていない部分もあるため、さらなる効果が期待されているそうだ。

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