不動産トピックス

クローズアップ 防災用品編

2008.06.09 15:09

非常時、ビルの防災において役立つとされる製品は多いが、近年ではその差別化が進んでいる。関連商品が展開する中でも、個性を打ち出した製品には、過去の被災時をモデルケースに作り出されたものが多い。非常時に役立つ防災用品を見てみる。

エクセルシア し尿を粉末状に変化させる薬剤 においや腐敗もなく保管が可能
 エクセルシア(東京都世田谷区)が開発した「Powderelet(パウダレット)」は、し尿をパウダー状に化学変化させる災害用トイレである。
 この製品の使用方法は、専用のパウダレットに薬剤を投入し、かくはんするだけ。水分を含んだ便等を90℃に発熱して殺菌し、粉末状にする。この製品には、活性炭を大量に使用したフタが付属している。
 し尿を入れたボトル上の「パウダレット」本体にこのフタを被せ、かくはん後、処理槽の赤いレバーを回し、耐熱ビニール袋をかけてある下の缶に落として、袋詰めする。し尿を分解する際に発生するアンモニア臭などは活性炭が吸着する仕組みだ。
 「発熱段階でノロウィルスを含む細菌やウィルスの大半が死滅しますので、腐敗することもなく、またにおいを発生させることはありません。そのまま便を袋詰めなどしていると、細菌によって発生したガス等で爆発することがあるのですが、『パウダレット』はそういった心配もなく、被災時の後始末に貢献します」
 また、集めた粉末はそのまま燃えるゴミとして焼却処分が可能で、ゴミ焼却炉を傷めることなくダイオキシンの発生も抑えるとのこと。回収後は梱包箱に入れ、災害復旧までの間、においや腐敗もないため衛生的に保管することができる。現在、海上自衛隊基地や大手製薬会社等に納入されている。

日本フェンオール 配電盤等に設置可能な小型検知器 発熱・発煙を検知して火災を防止
 日本フェンオール(東京都千代田区)が開発した装置専用異常検知システム「Fシリーズ」は、装置内の煙・熱の検知器である。これらの検知器の大きさは、通常の検知器の約12分の1。熱検知器よりも、煙検知器のほうが構造上長くなるが、機械の隙間に設置が可能な大きさとなっている。
 「Fシリーズ」はサーバー内や配電盤の中に取り付けられる小型検知器で、絶縁劣化やショート、フリーアクセスフロア内の過熱による発煙や発熱をいち早く検知する。
 また、ビルに付属する配電盤では負荷による発煙・発熱にも対応しており、一般の煙感知器が感知するより、いち早く重要なポイントでの異常を感知して、建物ばかりでなく、各テナントの持つ資料や情報をはじめ、甚大な被害をもたらすビル内火災を未然に防ごうというものだ。
 「サーバーの中や制御盤は、ビルやテナントにおいても重要なポイントとなっています。一般の煙感知器が感応する頃には、その重要な設備が焼けてしまっている状態です。そのため、火事を防ぐことはできてもその後の事業の立直しにも大きな被害をもたらすことになります」
こうしたことを防ぐために開発された「Fシリーズ」は、1台の制御ユニットに対し、最大で31台の検知器を接続することが可能だ。そのため、サーバールーム等精密機器が多く置かれる場所に有効であるという。

東京商工社 抗菌ポリマーが吸水・凝固する非常用トイレ 洋式便器にネットと便袋をかけて使用が可能
 東京商工社(東京都大田区)で扱う「サニタクリーン」は、既存の洋式トイレがそのまま利用できる緊急トイレである。
 抗菌ポリマー入りの凝固シートと一体化した収納袋を、洋式トイレの便座に被せるだけで使用することが可能。また、脱臭剤と除菌ウェットタオルが一緒に梱包されており、被災時に問題となる衛生環境への負荷を軽減する。
 「オフィスで被災した場合、問題となるのはトイレに水が流れないことです。その点、この『サニタクリーン』は被せるだけで使用が可能なため、避難所に設置されるテント状の仮設トイレにできる長蛇の列に並ばなくても良いのです」
 セット内容は緊急トイレ便袋と受けネット及び脱臭剤と除菌ウェットタオルなど。約3日間の使用を目安に、5人用と20人用をラインアップしている。これらのセットは、オフィスに備蓄ができるよう、オフィスに置かれる書庫のサイズに合わせて梱包されており、倉庫にしまいこんで非常時に使用できないなどといったトラブルを避けることができる。
 「サニタクリーン」シリーズの関連商品には携帯用のコンパクトサイズをはじめ、防災訓練やノベルティにも使用できる1枚入り、組み立て型簡易トイレもセットされたポータブルトイレなどのラインアップが用意されており、オフィスの人数や用途に合わせて選択が可能だ。

モリタ ピンクと黄色の花がユニークな消化薬剤 投入するだけの使用法が非常時に役立つ
 モリタ(東京都港区)が開発した消化薬剤「消火フラワー」は、火元に花を差し込むだけで鎮火させる消火器である。てんぷら油火災に対応しており、花びらの中に隠された消化剤が投入と同時に消化するというものだ。
 「火災が起きると、大半の人は消火器を使いこなせません。というのも、パニックになって消火器そのものを火元に投げ込んでしまうといった行動に出てしまうことが今までの火災現場からわかっているのです」
 従来品の消火器を使うステップは3つ。ピンを抜き、ホースをはずして発射するという作業が、非常時にはうまくできないのだという。その点、「消化フラワー」は、小規模なてんぷら火災であれば瞬時に消し止めることができる。2 本セットで使用し、投入後は火元から離れて消化を確認する。
 この製品には磁石が付属しており、キッチンの冷蔵庫等に貼り付けて使用できる。ただし、中華料理に使用するような大量の業務油については対応していないため、商業ビル等では注意が必要だ。
 花の色はピンクと黄色があり、持ち手は30㎝。火元に近づきたくないという心理に合わせて設定されている。また、重さは約100gと非常に軽量であるため、女性や子供でも簡単に使用することができるのも特徴だ。

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