不動産トピックス

クローズアップ 防音設備編

2007.09.10 17:11

 防音設備ビルなどの建設時に、防音・消音設備が導入されていれば、テナント誘致の際にも大きなアドバンテージとなる。しかし、竣工後であっても、また既にテナントの入居後であっても、効果的な防音設備を整えることは可能だ。今回はそれらの設備類を紹介する。

東邦亜鉛 既存の壁を壊さずに 鉛複合板を用いて遮音改修
 東邦亜鉛(東京都中央区)では、遮音性能に優れた鉛板と、各種建材を貼合わせた鉛複合板「ソフトカーム」を販売している。
 一般的にフロアを仕切る間仕切壁には、石膏ボードなどの建材が用いられるが、音が周囲に漏れトラブルなどの原因になることがある。このような場合、薄く高密度の鉛複合板「ソフトカーム」を壁に増し張りすることにより、遮音性能を改善できる。
 グラスウールの両側に強化石膏ボードを2重張りした、厚さ125㎜ほどの一般的な耐火間仕切壁は、住宅・ホテル等の外壁として、日本建築学会の定める遮音性能の3級にランクされる。これは、遮音性能上で劣っている部類に入る。ところが、石膏ボード9・5㎜と鉛板1・0㎜を貼り合わせた「ソフトカームP―5」を、間仕切壁の片側に貼り付けることにより、遮音性能は標準的とされる2級になる。さらに、両側に貼り付けた場合には、遮音性能上優れているとされる1級までランクが上がる。
 ソフトカーム事業部開発営業担当課長の田伏昭義氏は「増し張りによる遮音改修工法は、壁を壊しません。そのため、ゴミやほこりがほとんど出ず、工事期間が短くなることで、入居テナントの業務への支障を、最小限に食い止めることができます。また、壁だけでなくドアから音漏れが生じているケースもありますが、この場合防音ドアの併用が効果的です。防音通気口の付いた換気防音ドア(開発中)に交換することで、換気を損なわずに遮音性能を改善します」と語る。

消音技研 消音と外気の導入を同時に実現 特殊構造のルーバーで雨もカット オフィスや住宅等適用範囲も広い
 消音技研(埼玉県所沢市)では、「消音・換気くん」を販売している。ビルや住宅では、外気を取り入れるために例えば換気扇や空調ダクトなどが用意されているが、それらはいずれもある程度の音を出すものであり、人によっては耳障りに聞こえる場合もある。空気交換には窓を開けるというシンプルな方法もあるが、外の騒音が入り込む可能性も否定できない。つまり、天井や壁を防音仕様にしたとしても、これら換気口からの音までは消せないのである。
 「消音・換気くん」は動力を使わない換気システムで、換気口に吸音材を設け、外気を取り入れつつも騒音を防ぐことができる。また、防じんフィルターで室内の空気を常に清潔に保つ。
 同社の井上社長は「この換気製品には、IKルーバーもセットになっています。雨の侵入を防ぐためのものですが、通常のルーバーなら、外気の流入を優先すれば結果的に雨が入りやすくなるのが普通でした。しかし当社のIKルーバーは特殊な構造によって開口率を70〜80%としながらも、雨をほぼ完全に遮断します」と語る。同製品はビル用や住宅用など、建築物に合わせ選択することも可能だ。

コクヨ 大がかりな工事をせずに防音が可能 工期短くテナントの負担は軽微
 コクヨ(大阪市東成区)では、オフィスにおける音環境の改善のために「サウンドマスキング」を販売している。
 オフィス内で防音や遮音を実現しようとすれば、堅牢な固定間仕切りを天井スラブまで通して設置するなど、大がかりな工事が必要である。サウンドマスキングとは、こうした間仕切りを設置することなく、手軽に、かつ効果的に防音・遮音を実現する
 システムの原理は、天井に吊り下げられたスピーカーが空調音に類似した背景音をオフィス内に流し、騒音を聞こえにくくするものである。例えば今まで隣室の会議室から聞こえていた話し声が、設置後、声らしき音は聞こえるが、内容までは判別できない、という状態になる。
 同社の松崎伸樹氏は「声を別の音でマスキングするといっても、スピーカーから聞こえる音は僅かで、気になる範囲ではありません。また、BGM機能もありますので、落ち着いたオフィス空間やロビーを演出することができます」と語る。
 このシステムでは騒音の大きさの変化に合わせ、マスキング音量の自動調整を行うセンサーもオプションで設置可能だ。工期は通常1〜2日間ほどで、テナントの休日中に終えることができる。導入費用は600で約350万円から。

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