不動産トピックス

クローズアップ 水質改善編

2007.04.23 10:50

 ビルの維持管理を行う上で、水道管のメンテナンスを適切に行うことは、非常に大切な業務である。特に築年数の経過したビルのなどの水道水で、赤水や錆・汚などれが発生している報告は最近多い。ビル内で多くのワーカーが水道水を利用している以上、ビルオーナーには、水をきれいに安全に保つ義務がある。今週は水質を維持するためのサービスをいくつか紹介する。

オルガノ 薬剤を注入して赤水を防止味にも影響なく高い安全性 皮膜形成で防食どの配管も対応
 オルガノ(東京都江東区)が製造・販売する給水・給湯用赤水防止剤「オルキレート」は、配管のさびなどで赤水がでてしまった配管に、注入することで配管に皮膜を生成する。これによって配管の腐食を防止し、赤水の発生を食い止めるという仕組みだ。
 「オルキレートの主成分が鉄との反応により配管に皮膜を生成する」という同製品の主成分と鉄との反応による効果はすでに一般的に立証されているという。また水質の変動によっても安定した効果を得ることができることから使用条件を選ばない。またどのような配管にも対応できる。もう一つの特徴は安全性が高いことだ。
 「水の中に入っている成分の濃度を上げているので、化学物質は入っておりません。このため、厚生労働省の品質規格適合品となっており、飲料水として飲むことができます。安全であると同時に味にも影響がありません」(経営企画部堀池誠氏)
 赤水が発生してからの依頼がほとんどで、そこ時点からの処置でも赤水を改善することができる。導入には、薬層、そこから注入ポンプまでの配管に穴をあけるなどの工事を行う。ポンプで、常に薬剤を一定の濃度に保てるよう調整することで給水管を長期間保全する。
 価格は同シリーズで一番人気のNAL10kgで1万5000円。初期工事は大きさなどにより異なる。また、通常1万5000円程度かかる水質分析を年2回以上程度、サービスしているという。

ボーゲンファイル 赤水とさびとスケールを防止安全性の高い食品添加物を使用廉価なランニングコストを実現
 ボーゲンファイル(東京都港区)は、赤水、サビ、スケールを防止する「シリホスBFシステム」を販売している。
 「BFディスペンサー」と呼ばれる機器を水道配管に設置して給水用防錆剤「シリホス」を、配管内に投入するシステムである。同社は、日本におけるシリホス販売のパイオニアとして、過去30余年の使用実績をもつ。
 シリホスは、ドイツのギウリニ社で製造された給水用の防さび剤。白色または透明な球状をしており、表面積が一定であるため、溶解量が安定し、濃度管理がしやすいという特徴を有している。球状であるために、ディスペンサー内で固まることがない。
 また、シリホスは、カルシウムマグネシウム、シリカを含むポリリン酸ナトリウムを主成分とするガラス状化合物であるが、ポリリン酸ナトリウムは、ラーメン、アイスクリーム、チーズ、ハム、ソーセージなどにも利用される食品添加物の一種で、安全性の高さが立証されている物質であるとのことである。
 「既存の給水設備をそのまま使用し、防さび剤の注入装置を新たに購入して設置するだけなので工期も短く、断水も短時間で済みます。コストは、初期費用60万円に、ランニングコストが年間7万円程度ですが、配管の取り替え工事や各種ライニング工事、化学洗浄を行う方法などに比べると、非常に低コストです」(山本氏)
 なお、レジオネラ対策などにも有効であるという。

五常産業 鉄分だけでなく有機物も分解 一度の工事で10年程度の耐久 オゾンの酸化力で汚れを分解
 五常産業(東京都新宿区)では、オゾンの力を活用して水道管を洗浄する「オゾンアクア殺菌洗浄工法」の販売を昨年から開始、昨年度50件程度の工事を実施した。
 オゾン発生装置でオゾンを発生させ、さらに水と混合し、オゾン水を建物の給水管に流す。赤水の中には配管の鉄分だけだはなく、有機物が多く含まれている。オゾン・オゾン水には強力な酸化作用があり、鉄分だけではなく、こうした有機物質も酸化作用で分解し、赤水をきれいにしたうえ、殺菌作用も働く。またオゾン水には消臭効果もあり、赤水発生時の臭いをなくすことができる。
 「工事時間はおおよそ1時間から1時間半程度と短時間です。工事実施後は、すぐに効果を目で確かめることができます。また一度メンテナンスすることで、7〜10年程度は効果が持続します」(五常産業アクア環境グループ高橋慶太氏)
 価格は1部屋あたり8万円〜9万円となっている。また、同社では、配管の間に磁気式の水処理装置「ピュラドーラ」をつなげて、赤水処理を行う防さび工法も販売している。ピュラドーラは1本100万円〜150万円、設置費用は30万円と初期費用は高いが、効果は持続するため、ランニングコストなどが不要だという。
 「一度設置すれば半永久的に使用できます。また、オゾン水での処理と磁気式の処理を両方実施することで、赤水対策を効果的に提案します」(同氏)

オーヤラックス 残留塩素の正確な検知・調節・記録を行う 全自動制御で無人運転水量変化にも迅速対応
 殺菌・消毒用の医薬品「ピューラックス」を製造販売し、食品衛生から公衆衛生までのトータルな衛生環境づくりを推進しているオーヤラックス(東京都千代田区)は、水道水を消毒する全自動減菌装置「OAC(オアック)」を製造・販売する。
 OACは、水中の残留塩素濃度を正確に、連続的に測定し、コントロールする残留塩素制御装置と減菌装置を組み合わせたシステムである。残留塩素の検知・調整・記録を自動的に行い、また、水量の変化に敏感に対応する。正確な残留塩素を保持するとともに、測定しつづけデータを常に記録する。浄水場などで水質基準を満たすために減菌することを「一次減菌」というが、同製品は、水道事業者から供給された水道水をビル施設内で再び減菌する「二次減菌」を行うシステムである。ビルやマンションなどの他、学校、工場、浄水場などに利用されるケースが多い。
 いったん貯水槽に水道水を貯めてからポンプで高置水槽に水をくみ上げそれを各階に給水する方式を採用している建物や、浄水場から遠くに建つ建物、ビルの築年数が長期間に及んでいる建物などは、浄水場で一次減菌された水道水の遊離残留塩素が消費され含有量が規定値を割っているケースが多いため、同システムが活躍する。
 残留塩素計で検地された残留濃度信号を、制御版と呼ばれるコントロールボックスが感知し、減菌機に指示を出す。減菌機は薬液槽と呼ばれる50Lタンクから、薬液を水に供給。なお、薬品には、食品や環境衛生の分野で長い歴史と実績を誇っているピューラックスを使用している。

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