不動産トピックス

クローズアップ 地震対策編

2007.03.19 14:35

 地震の揺れには到達が早く揺れが小さい縦揺れ(P波)と、到達が遅く揺れが大きい横揺れ(S波)の2種類がある。この到達時間差を利用し、横揺れの発生を直前に知らせるのが緊急地震速報システム。エレベーター内などの危険な場所から脱出・避難する時間を確保する役に立つだろう。

三菱スペース・ソフトウェア 地震情報を事前にキャッチエレベーター閉じ込め防ぐ
 三菱スペース・ソフトウェア(東京都港区)は緊急地震情報配信サービス「MJ@lert」を開発・提供している。
 このシステムは、気象庁が配信する緊急地震情報を、同社の配信サーバーが専用回線で受信し、その情報を各地のビルおよびオフィスなどに設置された「緊急箱」と名付けた機器に配信。緊急箱が設置された地域で大きな揺れが発生するまでの時間と予想震度を告知するもの。緊急箱で受け取った情報を、付属の警告音を発するスピーカーや、光で地震を知らせる警告灯などと接続することで、館内に告知することができるのである。
 また、この情報を受けて、大きな揺れが来る前にエレベーターの運転をストップさせ、かごに閉じ込められることを防ぐといった制御も可能であり、ビル全体の安全性を高める上でも効果的なサービスである。
 サービス利用料は月額3万5000円(税別)。機器は緊急箱とスピーカー、警告灯のセットで21万円となっている。地震情報の配信には、同社が提供する法人専用のADSL回線「MBBNET」が用意されており、常時安定した回線が確保できる。
 三菱電機ビル事業部ビルシステム第三部システム企画課の水野邦一担当課長は「実際に地震が発生したときに利用するだけではなく、任意の時刻で警報を出すことができるため、防災訓練などにも使用できます」と話す。

中電シーティーアイ 信頼性高い地震情報配信サービス 地上と衛星で情報受信インフラ障害時も安心地震情報画面
 中電シーティーアイ(名古屋市中村区)は緊急地震速報配信サービス「ゆれく〜る」を提供している。
 このサービスは気象庁からの緊急地震速報を元に、契約者へ大きな揺れが到達する前に地震が来ることを知らせるもの。気象庁からのデータは地上回線と衛星回線の2ルートから受信するため、地上回線の混乱などの非常事態に遭遇した場合でも、確実に地震速報を受信し、契約者への情報配信を可能にしている。契約者に対する地震情報の配信は複数回にわたって行われるため、地震情報の受信ミスが発生しにくい点もポイントといえるだろう。
 基本サービスは、契約者のパソコンに予測される震度や到達時間といった地震情報を配信し、それを音声アナウンス端末で告知したり、事前に指定した3件以内のアドレスにメールを送って告知するというもの。このメール送付先は、オプションで30件まで増やすことができる。
 その他のオプションサービスとして、ネットワーク接続したパソコンへのポップアップによる告知表示サービスが利用できる。これに加えて、停電に備えて編集作業中のファイルを自動的に保存する機能や、パソコンをスタンバイ状態へ移行させるといった制御も可能。
 また、警告灯や地震情報の表示端末と接続して直接制御が可能なほか、接点スイッチを間に挟むことで、エレベーターなどさまざまな機器を制御することも可能である。

富士通 ローコストな地震速報システム 地震到達前に検知可能
 富士通エフ・アイ・ピー(東京都江東区)は気象庁の配信する地震速報を受信して、地震が到達する前に警報を発令するシステム「AlertStationEQ」を開発している。
 このシステムを導入することで、気象庁が配信する地震情報をもとに、地震発生の前に検知することができる。この検知から発生までの時間は、おおよそ数秒から数十秒前に検知が可能である。この情報を元に、震源地と到達予想時間、拠点における震度をパソコンの画面上に表示する。この地震情報の受信および表示に用いるパソコンは、市販のパソコンを使用可能なため、専用の高価なパソコンやサーバーを購入する必要がない。使用するソフトも廉価で、標準パッケージとして用意されているソフトの価格は8万円(税別)と、個人でも気軽に導入できる価格設定が魅力だ。付加機能も充実しており、メーンのパソコン以外に、ネットワークで接続されたほかのパソコンにも画面に地震の警告をポップアップ表示させることができる。オプションでパトライトや放送設備と連動させて、館内に告知もできるほか、エレベーターと連動して、地震発生前に自動で最寄階に停止するといったこともできるのだ。
「低コストながら、オプションの充実で地震対策としての効果も十分に期待できます」

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