不動産トピックス

過熱する投資市場の現場から

2006.03.13 13:51

<投資家の横顔>電子機械サービス 所有ビル11棟全て不動産競売にて購入 利回り10%以上が入札条件 長期保有を前提に資産を拡大
 「年明けに11棟目のビルを取得することができました」
 こう話すのは、電子機械サービス代表取締役の福永忠男氏だ。
 同社は、平成6年より、競売にて物件取得を開始。千代田区の「トリキンビル」、「松井ビル」、「千代田ビル」、「MSビル」、「ダイワビル」、中央区の「宝橋ビル」、「八光ビル」、台東区の「岡田ビル」、練馬区の「西武会館ビル」までは、年1棟のペースで順調に投資を行ってきていた。しかし、平成16年3月に9棟目を取得して以降、急激な不動産投資ブームからか、同社の見込む10%以上の利回りで入札しても、全く落札できない状況が続いていた。
 「物件に惚れ込んでしまうと、是が非でも落札しようとして、高値掴みしてしまうので、想定利回りで10%以上確保できる見込みがなければ、縁が無かったものと諦めます」
 同社の本業は、コンピュータ、周辺機器等のメンテナンスサービスであり、不動産事業の売全体に占める割合は25%となっている。本業が安定しているため、無理な取得に走る必要が無いことは強みの一つである。
 今回、同社が取得したのは、御徒町エリアの物件。落札価格は約2億5000万円であったが、10%以上の利回りを想定している。現在、占有者がいるため、賃貸物件として収益が見込める状況になるまでに半年から1年を要す見込みとのことだが、それ故に高利回りが確保できる価格で落札できた。
 同社が競売を開始したのはバブル崩壊後ということもあり、所有のビルの中には価格が5倍になっているものもある。しかし、キャピタルゲインは狙わず、長期保有を前提とした投資スタンスをとり続けていく方針である。

<ポートフォリオ拡大>クレッシェンド投資法人 オフィスビル・共同住宅の2物件を取得 総額32億2000万円中長期の安定需要見込む
 クレッシェンド投資法人(東京都港区)は、「日本橋第一ビル」の信託受益権、「アーバイルベルジェ明大前」を取得すると発表した。
 「日本橋第一ビル」は、東京メトロ日比谷線、「小伝馬町」駅徒歩1分に位置する、昭和63年3月竣工、地上9階建て、延床面積3455・35㎡のオフィスビルだ。
同投資法人は物件取得にあたり、JR総武本線「新日本橋」駅からも徒歩圏内であること等、徒歩で5駅5路線の利用が可能なアクセス性の良さ、また、天井高2500mm、OAフロア、個別空調等、標準的な設備水準を有していることを評価。物件取得先は、プレジャー・ハント(東京都千代田区)で、価格は21億5000万円だ。
 また「アーバイルベルジェ明大前」は、京王井の頭線「東松原」駅徒歩5分に位置する、平成17年6月竣工、地上8階建て、延床面積1374・87㎡の共同住宅だ。同物件については、カラーモニター付オートロック・宅配BOX、ダブルロック玄関キー、温水洗浄きつき暖房便座、浴室換気乾燥等、単身者向けとして充実した設備水準を備え、若年層単身者及び、学生等を中心に安定需要が見込めると評価した。物件取得先は平和不動産(東京都中央区)で、価格は10億7000万円となっている。

アドバンス・レジデンス投資法人 アルティス幡ヶ谷を取得 物件価格は11億3000万円ここまで伸ばす
 アドバンス・レジデンス投資法人(東京都千代田区)は、「アルティス幡ヶ谷」を取得すると発表した。
 同物件は、は京王新線「幡ヶ谷」駅徒歩5分に位置する、平成18年2月竣工、地上8階建て、延床面積1214・68 の店舗・共同住宅複合物件だ。
 「幡ヶ谷」駅から「新宿」駅まで2駅という交通利便性、物件周辺にあるスーパー等の生活利便施設の充実、デザイン性に優れた外観等から、中長期に安定したポートフォリオ拡充につながると判断した。新宿に拠点を置く企業、百貨店、大学、病院の従業員、または新宿付近の大学、専門学校に通う学生等からの需要が見込む。
 物件取得後は、伊藤忠コムネット(東京都中央区)との間でマスターリース契約を締結し、マスターリース兼プロパティ・マネジメント業務を伊藤忠コムネットに一括委託する。
 なお物件取得先は、野村不動産(東京都新宿区)で、取得価格は11億3000万円となっている。

ラサールインベストメントマネジメント 物流施設7物件を取得運用ファンドに組入れ セール&リースバック方式活用オフバランスニーズ化に応える
 ラサールインベストメントマネジメント(東京都千代田区)は、同社組成のSPC「FWプロパティー特定目的会社」を通じ、フットワークエクスプレス(大阪府大阪市)をテナントとする物流ターミナル施設7物件を取得した。
 今回取得した物件は、フットワークエクスプレスの路線便事業のターミナル施設である三島支店(静岡県三島市、延床面積1690・89㎡)、中部支店(愛知県海部郡、延床面積6021・42㎡)、豊川支店(愛知県豊川市、延床面積2715・47㎡)、京都支店(京都府京都市、延床面積4173・98㎡)、広島支店(広島県廿日市市、延床面積5092・35㎡)、北九州支店(福岡県北九州市、延床面積3571・53㎡)、福岡支店(福岡県福岡市、延床面積10799・8㎡)の7施設。取得物件についてはラサールインベストメントマネジメントが日本の物流施設の新規開発及びセール&リースバックを中心とする「ラサール日本ロジスティクスファンド」に組み入れる。
 同社は、今後も同様の案件に取り組み、物流企業のオフバランス化のニーズに応えていく。

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