不動産トピックス

商業ビル最前線

2006.01.16 10:06

<商業ビルオーナーインタビュー>シラツ 街づくりに楽天球団の応援歌を作成 2年前に耐震補強工事を実施 地権者をまとめ再開発も検討
-楽天ゴールデンイーグルスの公式応援歌を作成したそうですね。
白津 私は仙台商工会議所青年部会長を務めるとともに、青葉区一番町の商店街、虎屋横丁・稲荷小路の親交会事業部長として街づくりに携わっています。プロ野球に参入する企業が楽天に決まったのが一昨年の11月2日でしたが、その当日に他の商店街に先駆けて「楽天ゴールデンイーグルス」誕生の祝福キャンペーンを打ちました。事前情報もあり、ライブドアではなく楽天と決めてビラを刷っていたのです。それを契機に、楽天を祝う地元の商店街として象徴的に報道される機会が増えました。注目を集める中で商店街として何かできないかと考えた際に、私が本業で不動産事業とともに音楽スクールを運営していることから、楽天の応援歌の作成を考案したのです。CDを制作するためには資金が必要でしたが、フジテレビ系列の『クイズミリオネア』に出場し、賞金100万円を獲得して無事リリースすることができました。こうした取組みを楽天側も評価してくださり、公式ソングとして採用されたと思います。
-楽天効果をどのように実感しますか。
白津 新球団が誕生して1年が経過しました。楽天の本拠地がある仙台駅東側は目に見えて人通りが増えましたが、駅西側の商店街エリアに爆発的に人通りが増えたということはありません。また、一番町や隣接する国分町の賃料相場は1階店舗で坪約4万円と、比較的賃料の高いエリアで、楽天効果で明確に賃料が上昇したということもないでしょう。楽天効果とは別に、ファンドバブルが仙台にも押し寄せており、不動産売買市場は活況を呈しているようです。楽天効果という意味で一番実感するのは、例えば、飲食店で楽天の磯辺選手を見かけたといった話題が商店街で交わされることが増え、会話が豊かになったということではないでしょうか。経済効果とは言えないかもしれませんが、仙台の街にとってそれは大きい効果だったと考えています。
-ビル経営における取り組みは。
白津 所有する商業ビルでは、2年前に耐震補強工事を行いました。当ビルは旧耐震基準時に建設されました。耐震面にはかねてから不安があり、耐震診断を行ったところやはり耐震基準値を満たしていなかったので、工事に踏み切りました。昨年夏も震度6の宮城沖地震がありましたが、それに間に合って幸いでした。仙台周辺ではまた大規模な地震が起こることが確実視されており、ビルの安全には引き続き力を入れていきます。また、付近の地権者と組んで再開発を行いたいと考えています。まだ、発案段階で具体的な計画があるわけではありませんが、自分が主導していきたいという気持ちがあります。商店街では防犯カメラの設置や125店が加盟するスタンプラリーといったソフト面での街づくりに取り組んできましたが、再開発によって魅力的なハードを建設したいと思います。

<scニュース>イオンモール 約170億円を調達新規設備に投資予定 浜松のSCをSPCに売却
 イオンモール(千葉県千葉市)は、静岡県浜松市のイオン浜松志都呂ショッピングセンターを、SPCの浜松プロパティー(東京都千代田区)に売却することを決めた。今月30日に契約を締結し、来月16日に物件を引き渡す予定だ。
 契約は、イオンモールが所有する土地・建物を信託した上で、その信託受益権を浜松プロパティーに譲渡するという内容。譲渡予定価格は約170億円となっている。同社はその資金は新規設備投資に充てる予定であるという。
 イオンモールと浜松プロパティーには資本・人的な関係はないが、資産譲渡後もイオンモールは一括賃借人として、従来どおり同ショッピングセンターの運営を行うとのこと。
 イオン浜松志都呂ショッピングセンターは平成16年8月にオープンした。敷地面積約6万8126㎡、商業施設面積6万5322㎡、建物全長約420㎡、3500台収容可能な駐車場設備が備わっている。店舗はジャスコを中核に据え、150のバラエティ豊かな専門店を揃えているのが特徴だ。

三井不動産 オフィス・住宅市場と合わせ3分野揃う 商業施設が投資対象の子会社 投資信託委託業者の認可を取得
 三井不動産(東京都中央区)の100%子会社である三井不動産商業プロパティファンドマネジメントは、先月27日に、金融庁から「投資信託及び投資法人に関する法律(投信法)」に基づく投資信託委託業者の認可を得ることになった。
 新会社は今後、投信法上の設立企画人として商業施設を主たる投資対象とする投資法人を設立し、東京証券取引所への上場に向けて準備を進めていく予定だ。
 三井不動産はオフィスビルを投資対象とした不動産投資信託の日本ビルファンド投資法人の設立を主導し、また、賃貸住宅を主たる投資対象とする三井不動産アコモデーションファンドマネジメントが、昨年9月に投資信託委託業者の認可を受けている。
 今回、商業施設を主たる投資対象とする投資法人の設立・上場を企画することで、三井不動産グループは投資対象の異なる3つの不動産投資法人を通じて、投資家のニーズにあわせた多様な不動産投資の機会を提供するとともに、不動産投資信託市場の活性化を図ることを狙いとしている。

<商店街だより>空き店舗でコミュニティビジネス 最大7万円の経費補助
 市民から地域の課題解決をめざしたビジネスアイデアを募ってその事業化を支援しようとするのが、板橋区の「空き店舗活用コンテスト」だ。区内外の企業や個人から19件の応募が寄せられ、昨年11月19日の「いたばし産業見本市」会場で、そのうち6企画に各賞が贈呈された。審査基準はアイデア性、地域性、課題解決性、そしてビジネス性。大賞には地元会社員が企画した昭和レトロなゲームを多数取り揃えた「ゲーム博物館」が受賞した。今回の事業で特徴的なのが、アイデアから事業化までトータルに支援するインキュベート機能を提供している点である。今年度中に開店する受賞者は、最大40時間までの専門家による開業サポートと、最大7万円までのオープン当日のイベント経費補助などが受けられる。今年度に入り、各受賞者の企画と区内の商店街側とのマッチングが開始しており、間もなくオープンする予定だ。

<商業施設サポート企業AED編>フクダ電子 法改正で一般人も使用可能に 心停止を救い施設のイメージダウンを回避
 突然の心停止に有効な救命機器、AED(自動体外式除細動器)の導入事例が増えている。背景には昨年7月の法改正がある。AEDの使用は、これまで医師や救急救命士だけに認められていたが、厚生労働省の通知により、一般の人間にもその使用が認められることになった。それにより、不特定多数の集る商業施設などへの導入が積極的に行われることになった。AEDを販売するフクダ電子マーケティング部プロモーショングループ山本直子氏は話す。
 「心臓突然死を防ぐには、AEDが身近に存在し、それが簡易に素早く使用される環境が望まれます。法改正はその要請に応えたものと言えますが、既に一般市民への普及が浸透している欧米に比べ、日本はその取組みが遅れた感は否めません」
 AEDは停止した心臓に電気ショックを与え、蘇生させる救命機器である。心臓突然死は年間約2000件とも言われ、これは交通事故による死者数の3〜4倍となっている。心停止から蘇生する確率は個人差もあるが1分間に約10%ずつ減少し、10分後には100%の死亡が予測され、通常6分以内の処置が必要とされる。施設にAEDが増えれば増えるほど、人命が救われることになる。また、施設内で死者が出るというのは、深刻なイメージダウンとなり経営的なデメリットが起こる可能性が高い。AED設置は、緊急時の身体的救済を目的とすると同時に、経営的なリスクマネジメントの一環、あるいは、付加価値向上のためと見ることもできる。
 メーカー小売希望価格は1つにつき45万円から80万円となっている。価格の差は、心電図表示画面や使用法の音声解説など付随する機能の有無により異なるものだ。

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