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東京・田町と札幌・大通西4の大規模再開発「優良な民間都市再生事業」に認定

2025.11.03 11:44

「森永プラザ」跡地に24階オフィスビル
 国土交通省は10月29日、東京都港区で進められている「田町駅西口駅前地区開発事業」と、札幌市中央区で推進中の「大通西4南地区第一種市街地再開発事業」を「優良な民間都市再生事業計画」として認定した。
 「田町駅西口駅前地区開発事業」は「特定都市再生緊急整備地域(品川駅・田町駅周辺地域)」内での大開発として行われるもので、開発地は東京都港区芝五丁目。JR「田町」駅西口駅前にある「森永プラザビル」の跡地を中心とした約0・6haに、敷地面積約6615・40㎡、延床面積約9万8570・17㎡、地上24階地下2階のビルを建設。オフィス、商業施設、産業支援施設、駐車場などを整備する。
 再開発を実施する三井不動産(東京都中央区)、森永乳業(東京都港区)、東日本旅客鉄道(東京都渋谷区)は、民間都市開発推進機構による金融支援や税制上の特例措置を受けることができる。
 国土交通省では、今回の開発により駅まち一体の都市基盤整備による安全性・快適性の向上や、国際交流拠点にふさわしい多様な都市機能の導入、帰宅困難者支援等による防災対応力強化が図られ、都市再生への貢献が期待されるとしている。
 具体的な施策としては、地上レベルで交通広場の拡張整備による歩道部の拡幅、バスやタクシーの乗降場の引き込みや、交差点の改良、2階レベルで「田町」駅構内の東西自由通路拡幅、駅前デッキ広場の整備による歩行者ネットワークの改善を行い、駅まち一体の都市基盤整備を図る。
 また、社会課題解決に取り組むスタートアップを育成する産業支援施設を新設し、エリア一帯におけるイノベーションのエコシステム形成に取り組むことで、国際交流拠点にふさわしい多様な都市機能を導入。一時滞在施設や防災備蓄倉庫等の帰宅困難者支援、自立・分散型のエネルギーシステムの構築により地域の防災対応力強化を図るとともに、環境負荷低減に向けた取組により、先進的な環境都市づくりを行う。
 建物は10月1日に着工しており、2029年3月31日に建物完成・供用開始。緑地広場なども含めた全体竣工は2034年3月31日の予定。

札幌・大通公園に面した「大通西4」はホテルも
 「大通西4南地区第一種市街地再開発事業」の開発地は北海道札幌市中央区大通西4丁目。大通公園に面し、札幌市営地下鉄「大通」駅直結。市電「西四丁目」駅に近接する。「特定都市再生緊急整備地域(札幌都心地域)」における「優良な民間都市再生事業計画」に認定されたことで、事業者である大通西4南地区市街地再開発組合は民間都市開発推進機構による金融支援を受けることができる。また、事業には平和不動産(東京都中央区)が参画している。
 事業は敷地面積約5029・㎡、延床面積約9万9778・67㎡、地上36階、地下3階のビルを建設。オフィス、商業施設、ホテル、駐車場、地域冷暖房施設などとする計画。
 ホテルはハイアット ホテルズ コーポレーション(米国・シカゴ)が展開するラグジュアリーホテル「パーク ハイアット」が開業を予定。4階と27~35階に、客室数157室、レストラン、宴会場、スパ、屋内プールなどを備える計画だ。
 また、大通交流拠点地下広場の拡張、大通公園の魅力向上に資する整備や、地下広場と一体的な滞留空間を実現する建物内でのアトリウム・屋外テラス、歩道沿い空地なども整備。市営地下鉄への接続やバリアフリーEV等も設置し、地上・地下における歩行環境の改善・利便性向上を図るとともに、国際水準のホテルや高機能オフィスの整備により、国際競争力の強化を図る。
 さらに、大通以南へのエネルギーネットワークの構築を見据えた地域冷暖房プラントや、帰宅困難者受入れ施設等の整備により、環境負荷低減および防災機能の強化を図る。
 国土交通省では、札幌都心地域において、魅力向上につながる空間の形成、国際競争力を高める機能および環境負荷低減・災害に配慮した機能の整備を通じ、札幌都心の価値向上が図られ、持続可能で魅力ある札幌都心をけん引する都市再生への貢献が期待されるとしている。
 建物は10月1日に着工し、竣工予定は2029年8月31日。




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