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ビル内無人コンビニの普及に貢献 無人決済店舗システムと多機能セルフレジ
2025.09.22 10:52
2019年7月設立のTOUCH TO GO(東京都港区)は、無人決済店舗システム「TTG-SENSE」と多機能セルフレジ「TTG-MONSTAR」を展開している。店舗の人手不足や営業時間問題を、DX化により大幅に改善できるサービスとして注目されている。
TTG-SENSEは、AIカメラと重量センサーを活用した次世代型の無人決済システム。店舗の利用客が棚に置かれている商品を手に取ると、AIカメラがその行動を認識。加えて棚の下に取り付けた重量センサーも商品が手に取られたことを重量で感知する。双方の情報から購入する商品を正確に把握。レジにも通達。結果、商品のバーコードをスキャンすることなく、スムーズに会計・購入へと進む。店舗内に会計待ちの列が発生することはほとんどない。ストレスなく買い物ができ、店舗面積も列待ちを想定した広い空間も必要なく、小規模で済む。
店舗オペレーションの効率化や出店コストの削減も魅力だ。スキャン等のレジ業務が解消されると、店舗スタッフの業務は品出しや清掃業務のみとなる。品出し・商品補充は1日2~3回ほど。清掃業務やその他メンテナンスも時間はかからない。スタッフも常駐する必要はない。これまで人手不足に悩んできた店舗は、無人化・省人化が実現。店舗も24時間営業が可能となる。常駐スタッフの人件費に加え、スタッフの採用・教育業務、教育コストも解消される。従前の店舗運営コストから比較すると、最大で人件費を75%削減可能。大幅な収益性向上につながる。
業務企画部 Assistant Managerの益岡良行氏は「レジ業務がなくなるとともに、レジ締めや精算業務も解消されます。難しい業務をスタッフが覚える必要はなくなり、売上等に関する『安全性』も確保されました。TTG-SENSEはAIカメラや重量センサー等の初期費用が発生するのみで、後は低額な月額料金だけ。様々なコスト削減に協力できることが強みと思います」と無人決済システムの魅力を述べた。
導入の流れとしては最初に、TTG-SENSEを導入する目的や最終目標、設置場所などをクライアントと確認することから始まる。その次が事業者の選定。自社で店舗運営を行うクライアントもいるが、大半は店舗を運営する事業者を探すことが多い。その際は同社が運営事業者の選定・契約に協力。双方の間を取り持つ、企画・プロデュースも担当する。運営事業者が決まると、後は店舗開始に向けたスケジュール調整や施工業務のみ。不動産オーナー・ビルオーナーがクライアントの場合、コンビニ等が運営事業者として携わるケースが多い。施工費用は運営事業者が負担する代わりに、場所代(賃料)を割安・軽減するオーナーが多数。
「TTG-SENSEは、ビル内の空いた空間や狭小スペースにコンビニなどの小売り店舗を誘致できます。最少面積は2㎡からで、最大は約100㎡まで対応可能です。多いのは20~60㎡です。入居テナントの就業者は建物外の店舗に買い物へ行く必要はなく、24時間利用できます。特に高層ビルや大規模複合ビルで働く就業者に適しており、高層フロア・高層バンクに無人店舗をつくることで、利便性や資産価値に寄与できると思います」(益岡氏)
今後同社は運営の内製化と店舗における販売促進を行っていく。これまで同社は運営事業者を探して不動産オーナーとマッチングしていたが、今後は同社が運営・配送・陳列まで実施。事業者としての取り組みを行う構想だ。またAIカメラと重量センサーで取得した情報を基に、陳列レイアウトを最適化する機能と、音声を使って利用客に商品をレコメンドしていく機能も追加予定。2017年12月に大宮での実証実験で始まった同サービスは、現在導入店舗が250店舗を超えた。今後も導入店舗数を伸ばしていく方針として、様々な取り組みを行っていく。