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フロンティアコンサルティング 工事終了時に5フロア成約済み 「日本橋ノーススクエア」の資産価値向上術
2025.09.22 11:04
3フロアごとに分けて6フロアをセットアップ
ワークプレイス構築やビルリニューアル、フレキシブルワークプレイスなどを展開するフロンティアコンサルティング(東京都千代田区)は、東京都中央区日本橋堀留町に立地するオフィスビル「日本橋ノーススクエア」のセットアップオフィスを手掛けた。
「日本橋ノーススクエア」は、JR西日本不動産開発(大阪市北区)が2024年6月11日に取得したオフィスビル。東京メトロ日比谷線「小伝馬町」駅から徒歩5分の日本橋堀留町1丁目に立地。竣工は1993年3月。SRC造の地上9階地下1階建て。延床面積は2028・99㎡。「小伝馬町」駅に加え、徒歩10分圏内で5駅6路線が利用可能。現在はグループ企業のJR西日本不動産マネジメント(大阪市北区)が管理・運用している。
フロンティアコンサルティングが携わることとなったきっかけは、同ビルの資産価値向上やリーシング力強化なども踏まえたバリューアップのコンペティション。同社の案が選ばれ、およそ半年かけて工事が行われた。工事内容は空室6フロアのセットアップオフィス化に加えて、空調や配管等の更新、照明のLED化、同フロアのトイレやキッチンも含めての改修・更新工事など。3フロアごとに1期、2期と分けて実施。1期工事は24年10月~25年1月前半まで。2期は2月中旬~4月下旬まで。一般的なセットアップオフィスの工事であれば長くて2カ月ほど。今回は念入りに計画しながら6フロアの改修を行い、またリーシングの反響を見つつセットアップを進めたため、全体で半年もの期間になった。
執務室とラウンジ双方の空間考慮し構築
セットアップオフィスの特徴は、6フロア全てのデザインが異なること。特にカラースキームが異なり、企業は自社の雰囲気やコーポレートカラーなどに合わせて選択できる。またオフィスのコンセプトは、その場所にいるだけで社内でのコミュニティ形成や交流が活発化される「メイクプレイス」であること。今回のセットアップオフィスは、基準階貸室面積約58坪内に会議室や共用ラウンジのみをつくったハーフセットアップ。限られたスペースの中で、コミュニティ形成につながる大きめのラウンジを作らなければならず、同社の設計担当も苦労したとのこと。
BSC事業部 BSC第1ユニット 第2チーム リーダーの山田祐衣氏は「求められるラウンジの機能・役割から大きくスペースを確保しつつ、片や執務室もできる限り席数を確保できるようにバランスや効率も考えてレイアウトを整えました。加えて昨今求められる設備として、各階2台のウェブブースを設置。会議室は6名用と8名用の2部屋を確保しました。リーシング対象は成長著しいシステム開発などのIT系やコンサル等です。同じ日本橋界隈や周辺地域にオフィスを構える、20~30代の比較的若い社員の多い企業をターゲットにしています。2期工事終了時には6フロア中、5フロアが成約済みと手応えも感じました」と述べた。
また同社の設計・施工により、「日本橋ノーススクエア」はBELSの5つ星(エネルギー消費性能40%以上50%未満)も取得。BELS取得につながる改修計画を念頭に置きながら進めたことも、同工事の特徴と言える。ちなみに同社としては初のBELS取得につながったプロジェクト。資産価値向上につながった事例の1つとして、今後は東京だけでなく名古屋・大阪・福岡とBSC事業部の拠点があるエリアを中心に、他のビルオーナーや不動産事業者にも勧めていく。