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築地再開発の基本計画が策定 5万人規模のマルチスタジアムなど整備へ

2025.09.01 11:21
東京都中央区の築地市場跡地再開発の基本方針が明らかになった。先月22日、再開発推進のために設立された特定目的会社・築地まちづくりが「築地地区まちづくり事業」推進のための考え方や整備方針などを示した基本計画を公開した。
築地まちづくりは、三井不動産(東京都中央区)を代表企業としてトヨタ不動産(東京都千代田区)や読売新聞グループ本社(東京都千代田区)を中心に、再開発の核として設立されたもの。計画では、約19万㎡の都有地に、大規模集客・交流施設(マルチスタジアム)、ライフサイエンス・商業複合棟、MICE・ホテル・レジデンス棟、舟運・シアターホール複合棟等合計9棟を開発。総延床面積は約126万㎡、総事業費は約9000億円。開業時期は2030年代前半以降を予定している。
基本計画のテーマは「ONE PARK×ONE TOWN(ワンパーク ワンタウン)」。「ONE PARK」では隅田川や浜離宮恩賜庭園と一体となった緑地・広場を整備し、水と緑豊かな空間を創造。「ONE TOWN」ではエリアの歴史的変遷や立地特性を踏まえ、大規模集客・交流機能、迎賓・ホスピタリティ機能、築地場外市場と連携した日本の食文化を継承・発展させる機能、周辺医療施設と連携したイノベーション創出機能など、「国際競争力の強化」に資するまちづくりを推進する。
大規模集客・交流機能としては、5万人収容の屋内型マルチスタジアムを計画。用途に応じてフィールドと客席の形状を変えることでスタジアム、アリーナ、劇場、展示場へと変化し、スポーツやコンサート、展示・コンベンション、エンタメショーなどが開催できる。
食文化の発展・にぎわい形成機能としては、フードホールやレストラン、日本の食を研究し発展させるフードラボなどを整備。また文化・芸術の発信拠点となるシアターホールも整備し、イベント等を実施し魅力向上に寄与する。
イノベーション創出機能は国立がん研究センター等の医療機関に隣接する立地特性を生かし、先端研究機能、イノベーション機能、ラボ&オフィス機能、関連企業集積の受け皿となるオフィス・レジデンス機能等の複合機能を集積。グローバルライフサイエンスコミュニティの中核拠点の形成を図る。
迎賓・ホスピタリティ機能としては、水辺に面して多様なグレードのホテル、MICE施設、居住施設を整備。短~中期滞在にも対応する。舟運ネットワークやナイトクルーズのほか周辺資源も活用し、築地ならではのアフターMICEも提供する。
水辺には隅田川スーパー堤防や築地川護岸の整備と一体的に広場や浜離宮恩賜庭園から連続する緑地空間の整備を計画。築地場外市場に隣接する場所には築地ゲート広場を中心にステップテラスや海幸橋広場、波除広場等の大規模オープンスペースを整備する。
また、地下鉄新駅、バス・タクシー等に加え次世代モビリティ、舟運、空飛ぶクルマやヘリポートなど陸・海・空の多様なモビリティをつなぐ広域交通結節点を形成。付加価値を高める機能を導入し、モビリティハブの形成を目指す。