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「空室率は2.1%で下げ止まりか」コリアーズが東京マーケットリポートを発表

2025.08.18 12:20

 コリアーズ・インターナショナル・ジャパン(東京都千代田区)は今月5日、東京主要5区のグレードAオフィス(基準階面積が概ね300坪以上の、主に賃貸に供されるオフィスビル)のマーケットレポートを発表した。このレポートは四半期に1度発表されるもので、今回は2025年第2四半期(4~6月)のレポートとなる。
 2025年の新規供給量は第1四半期に全体の約80%が固まっており、第2四半期の新規供給量は約1万2000坪と、前期から減少した。一方で需要は約1万3000坪で、わずかに需要が供給を上回った。空室率は2・1%で横ばいとなっており、シニアディレクター&ヘッドの川井康平氏は「主だった大型のオフィス移転はほぼ一巡した印象で、空室率は下げ止まってきているのではないか」と分析する。平均賃料は坪あたり3万3300円で、前期から0・9%上昇した。東京都心の目ぼしいグレードAオフィスは空室の在庫がほぼ無い状況で、これからオフィス移転を検討する企業は限られた選択肢から移転先を検討することになる。貸主優位なマーケット環境が継続していることもあり、企業はオフィス移転に伴って賃料の上昇を受け入れざるを得ない状況にあるといえる。近年は新築ビルにおいて成約から移転完了までの期間が長期化する傾向にあるが、直近で竣工した新築ビルへの移転は概ね完了したことで、湾岸エリアなどの周辺部で1000坪超の区画の募集が徐々に出てくるようになった。
 来年にかけては需要が徐々に落ち着いていくものと予測される。これは前述のように移転先となるオフィスビルの選択肢が狭まってきていることが要因として挙げられ、川井氏は「当面はタイトな需給関係が継続し、貸主優位な環境な状況が続くものとみられます。移転までの期間が長期化傾向にあるのもさることながら、少しでも条件の良い移転先を探すという意味においても、企業はこれまで以上にオフィス移転の検討を前倒しで進めることが重要となってくるでしょう」と述べている。




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