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三井不動産 2025年度の物流開発計画を発表 

2025.08.11 11:22

累計開発施設数は78件、累計総投資額は約1兆3000億円に
 三井不動産(東京都中央区)は1日、ロジスティクス事業の2025年度開発計画を発表した。単なる施設の賃貸・分譲にとどまらず、「MFLP&LOGI」サービスの拡充やデータセンター、マルチユース機能を備えた複合施設の開発など、ヒト・コト・モノをつなげる事業を拡大する構えだ。
 2025年度は6物件の着工を予定。これにより国内外の開発施設は78件、総延床面積約610万㎡、累計総投資額は約1兆3000億円に拡大する。
 2023年に開始した物流ソリューションサービス「MFLP&LOGI」はシリーズ化する。これまで「MFLP&LOGI Solution」や、「MFLP&LOGI Sharing」などを提供しており、今年7月には「MFLP船橋」で荷役時間を自動で可視化する新サービス「(仮称)MFLP&LOGI Berth」の実証実験を開始。シリーズ化により、多様化・複雑化する物流課題を的確に抽出し解決へと導くとともに、今後の長期的な成長戦略策定まで伴走可能な体制を整備。物流サプライチェーン全体の改革、基盤強化を支援するとともに、複雑化した物流課題に対応していく。
 物流施設にとどまらず、オフィス・研究開発・ラボといったマルチユース機能を備えた複合業務施設の開発にも乗り出す。計画では関西でデータセンターの開発を決定し、データセンター事業への累計投資額は約3000億円に拡大。BTS型施設や冷凍冷蔵倉庫、複合用途施設、賃貸工場など、インダストリアル領域へも事業を広げていく。
 従来進めてきた「街づくり型物流施設」の開発を通じ、次世代まちづくりの実現にも取り組む。同社はこれまで物流施設を「物流+αの機能」を持つ場として再定義し、働きやすい空間や洗練された外観デザイン、物流インフラを支えるスペックを備え、地域に開かれたイベント開催による地域交流、レジリエンスへの取り組みなどに力を入れてきた。今後も地域の価値や利便性向上、企業の課題解決や価値創造を支援し、街や企業とともに成長していく方針だ。
 1日に行われた記者発表会には常務執行役員ロジスティクス本部長の篠塚寛之氏が登壇。「昨今の建築費高騰については施工会社との信頼関係のなかでコストを詳細に詰めており、加えてきめ細やかなマーケティングと事前のリーシングで対応している。首都圏などの物流施設ではコロナ後の新規供給増大の影響が見られ、空室率10%前後でリーシングのスピードも落ちてきているが、一方で供給も落ち着いてきている」とし、まだ需給バランスはとれているとの見方を示した。




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