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経営戦略としてのオフィス移転 大阪・JPタワーで描く企業の未来像
2025.08.04 17:03
近年企業の成長戦略と空間づくりは切り離せないものとなっており、移転時のオフィスづくりを「未来への投資」として考える企業が増えている。
ノットコーポレーション(大阪市中央区)はビルの外観やエントランス、共用部のリモデル(再構築)を得意にしているが、入居するテナント企業のオフィス設計、施工を行うことも増えている。依頼される内容の多くは単なる設計、施工ではなく、「オフィスワーカーの働き方や企業価値をどう高めるか」という視点での提案を求められることが多いとノットコーポレーションの河内社長は話す。
今回携わったのは、オフィスの総合ソリューションコンサルティング企業として、コピー機やエアコンなどのオフィスソリューションから不動産といった多種多様なサービスを展開するACNの本社移転プロジェクト。移転先は、大阪の新たなランドマーク「JPタワー」であり、急拡大する組織体制に対応するとともに、次の成長に向けた拠点づくりを見据えた戦略的移転であった。
ACNは今回の移転を「人的資本への投資」と位置付けており、約300坪にわたる広さを生かして部署間の連携をスムーズにする配置計画やオフィスワーカーの快適性、働きやすさの追求とともに、社外来訪者にとっても居心地の良い空間設計にしている。また、人材採用力の向上などを目的とした「空間の総合的な価値」を重視し、あわせてESGやウェルビーイングなどをキーワードに、オフィス空間が企業ブランドの一部として機能するようにもしている。
オフィス空間は「企業の意思を伝える場」であり、企業のアイデンティティーを反映した設計、デザインが求められる時代である。ノットコーポレーションでは、ビルオーナーから入居が決まった企業のオフィス設計、施工への相談も増えており、今後も積極的な提案を行っていく予定である。リーシング時の入居テナント企業への付加価値として、ビルオーナーの立場からオフィス設計、施工をノットコーポレーションへ相談する価値は大いにあるだろう。