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市中心部の空室率は低下傾向を継続 コリアーズが大阪の賃貸オフィスマーケットレポート発表

2025.05.19 10:58

 コリアーズ・インターナショナル・ジャパン(東京都千代田区)は13日、大阪市中心部のグレードAオフィス(基準階面積が概ね100坪以上の、主に賃貸に供されるオフィスビル)のマーケットレポートを発表した。このレポートは四半期に1度発表されるもので、今回は2025年第1四半期のレポートとなる。
 大阪では昨年、「グラングリーン大阪」をはじめとして梅田エリアで大型の新規供給が相次いだものの、東京と同様に移転需要は旺盛で空室率・賃料ともに極端な悪化傾向はみられなかった。2025年は「淀屋橋ステーションワン」などの大型物件が竣工を控え、新規供給の重心が梅田エリアから御堂筋沿いの淀屋橋・本町エリアに移行する。
 空室率は、梅田駅周辺エリアで前期比マイナス1・1ポイントの4・0%、淀屋橋エリアで前期比マイナス0・4ポイントの2・3%、なんばエリアで前期比マイナス0・6ポイントの0・9%であった。市中心部のオフィスエリアはいずれも空室率の低下傾向を継続している。中之島エリアのみ前期比でプラスとなったが、これは一部大型テナントの移転による一時的なもので、長期的な空室率上昇の兆候はみられていない。賃料はエリアによって小幅な上昇・下落があるものの、全体として安定した状況が続いている。
 マーケットが堅調に推移する背景としては事業拡大や人材確保を目的とした戦略的なオフィス移転の需要の存在が挙げられる。人材獲得競争は企業間で激しさを増しており、従業員が働きやすいオフィス環境の構築は重要な経営課題として認知されている。これにより底堅いオフィス需要がある点は東京と共通しているという。
 リサーチのシニアディレクター&ヘッドの川井康平氏は「梅田エリアがグローバルに事業を展開する企業の集積地である一方で、淀屋橋・本町エリアは大阪に地盤を置く企業がより好立地で質の高いオフィスを求めて移転を行う地域としての需要が高まっており、企業の属性には若干の違いがみられます。両エリアでそれぞれの競争力を高めながら、2025年いっぱいは空室率・賃料ともに緩やかな改善傾向が継続すると予測します」と述べている。




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