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森ビル 都会のビル屋上でぶどう収穫

2021.08.23 14:56

 森ビル(東京都港区)が管理運営している地上25階の「赤坂溜池タワー」屋上庭園では、今年も地上約100mの高さにぶどう「巨峰」が実り、19日に収穫作業を開始した。
 「環境・緑」を都市づくりの重要テーマの1つに掲げる同社では、様々な緑化プロジェクトに積極的に取り組んでいる。「赤坂溜池タワー」のぶどうは竣工間もない2000年頃に植えられ、以来約20年、同社が管理をしている。森ビルよりぶどうを含む屋上庭園の管理受託する「風のみどり塾」石本亜矢子氏は、「ぶどうの管理は毎年、試行錯誤しております。農家の方に指導していただいて、基本的な管理から季節ごとのポイントなどを教えて頂いています。地上100mの屋上では、鳥や虫などの害は少なくなりますが、過酷な直射日光などの厳しさもあります。この数年、自然条件は一層厳しいようで、梅雨が短かったり、酷暑であったりなど、ブドウにとってストレスだったようです。本来はたくさん枝を伸ばし蔓が出て、長梢剪定(ちょうしょうせんてい)という、芽を多く残す剪定法を行うのですが、今年はなかなか枝が広がりませんでしたので、剪定では強く切ることができませんでした。そのため、少々弱めに剪定し、ブドウ自体にエネルギーを多くつかわせないようにしています。さらに昨年同様、寒冷紗をかけることで強い直射日光から守り、枝の乾燥を防ぐなどの工夫をし、ここならではの管理方法を試みながら農薬を一切使うことなく、今年も巨峰が実りました」と語る。たわわに実ったぶどうは、この季節の風物詩でもあり、同タワーのテナントオフィスやレジデンスには楽しみにしている人々も多いようだ。
 ビルも竣工後には修繕が必要になるが、屋上庭園も同様。「約20年、この屋上庭園は同じ土壌でした。植物の育成のため、今後は土壌の入れ替えなども検討して、更に豊かな緑を作っていきたいと思います」(石本氏)。

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