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「世界の都市総合力ランキング2020」発表 東京3位維持も「経済」分野立て直し課題

2020.12.14 10:57

 森記念財団(東京都港区)都市戦略研究所は「世界の都市総合力ランキング2020」を発表した。今月8日、オンラインで記者向けの説明会を実施した。
 冒頭、都市戦略研究所長の竹中平蔵氏は「コロナ禍の影響は統計としてまだ捉え切れていない」としたものの「1位ロンドン、2位ニューヨーク、3位東京という順位は変わらなかったが、上位の2都市に比べて東京が経済を理由に差がついてきている」と指摘した。
 このランキングは2008年から毎年発表していて、世界の都市が有する総合的な力によって都市の「磁力」が生み出されるという考えに基づいて作成されたもの。都市の「総合力」として、経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの6分野で複眼的に評価し、ランキングしている。
 順位ではトップ3の都市に変動はなかった。ロンドンは9年連続の1位となった。東京は3位を維持したものの、居住の分野で「働き方の柔軟性」や「社会の自由度・平等さ」でスコアを落とした。調査結果の説明を行った明治大学名誉教授で理事の市川宏雄氏が「ランキングのなかで目立った上昇」として挙げたのが上海だ。背景として「ワークプレイス充実度や観光地としての魅力、また居住でも評価上昇が大きい」とした。
 東京の経済分野の強みはGDPの全体量、証券取引所の株式時価総額、世界トップ500企業の立地などが挙げられる。その一方で弱みとなっているのはGDP成長率や優秀な人材確保の容易性、法人税率の高さなどが並んだ。このほかの分野でも東京は平均的にスコアを獲得したものの、強みと弱みが入り混じる結果となった。またコロナ禍の影響についても見るため、流行前と今年8月時点での働き方の変化に関するアンケートも実施している。
 市川氏は東京について「長く低迷している経済をどのように上げていくか、そして来年開催予定の東京オリンピックの効果」が焦点になるとした。

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