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普及が進むオフィス・店舗受けのVR内覧サービス 遠方のテナントにも提案可能

2020.06.01 15:45

 Lexi(レキシ、東京都渋谷区)は、不動産オーナー向けのWEB制作やプロモーションツールの制作会社。2016年からVRを活用した物件の内覧サービス「360pict(サブロクピクト)」を展開している。
 VR(バーチャルリアリティ)を活用した「360pict」は、不動産オーナーやデベロッパー、不動産の売買・仲介事業を行う事業者向けに開発。専門のカメラマンが撮影した室内空間の画像を映像処理し、360°で視聴できる「360°画像」に仕上げる。この360°画像が、遠隔地からネットを通して視聴できる。簡易的なVR制作ツールと比較し、高画質・高品質のクオリティが特長。サービスは、1物件あたり月額1万円から導入可能な「サブスク型」と、制作データを販売する「販売型(制作費用は上記とは別途で必要)」の2つを用意した。費用が割安な「サブスク型」の比率が高く、およそ7対3。昨今はWebを活用した募集を検討しているオーナーも増加傾向にあり、その場合は募集の有無に関わらずサイト上で物件のプロモーションを常時行うことが多いため、「販売型」を選択する企業も増えてきた。
 開発の経緯について、代表取締役の小堀恵一氏は「これまでオフィスや店舗物件の成約には内見が必須でした。しかし物件情報の提供は、未だにレインズや紙面(マイソク)での提供が主流。情報量が不足しており、テナント予備軍は多くの物件を内見する必要があります。また遠隔地の物件を確認するために、長距離移動が発生する事例も多い。内見を簡単にすることができればテナント側の利便性は向上。ビルオーナーもVRにしておくことで遠方の企業もリーシングの対象に繋がると思い、当サービスをリリースしました」と語る。
 順調に推移している。その一因が皮肉な話ではあるが、新型コロナウイルスによる外出の自粛と在宅・テレワークの普及だ。感染拡大の影響が出た後に、VR制作の需要は増加。テナント・ビルオーナーの双方で外出を自粛しており、リーシングにVRを活用しようというオーナーが急増している。また「360pict」は、当初からオフィスや商業店舗を主軸にサービスを展開。出来る限りVRのクオリティを重視したいオーナーから制作依頼が来ており、不動産デベロッパーのほとんどが活用している。競合他社(競合VR制作会社)の場合、主に住宅などに向けてサービスを実施しており大量生産を重視。その分、クオリティが十分に追及できていないことから、360pictを選択する事業者が多い。
 「『六本木ヒルズ』など、都内の大型物件などを中心に導入されています。地方や海外など遠方のテナントに対してスムーズに提案ができ、テナント側は内見後に自社内での情報共有や役員内見などもスムーズに展開できたと聞いております」(小堀氏)
 現在デベロッパーを中心に導入されているが、今後は中小規模のビルオーナーも活用できるプランを用意していきたいとしている。構想段階ではあるが、撮影方法などを工夫することで、現在の初期コストをより抑えた方策を考えている。

中小物件に導入事例あり シェアオフィス・コワーキングスペースにも
 大型オフィスでの採用実績が多い「360pict」ですが、過去には1フロア50坪程度(約150㎡)の中小物件に導入した事例があります。またシェアオフィスやコワーキングスペースで採用された事例もあり、その際は「販売型」による導入が多いです。契約の更新についてですが、「サブスク型」では最短期間を6カ月とし、以降1カ月ずつの更新が可能。ですが3カ月単位での延長や1年単位での延長の調整も可能です。利用期間を調整できることで、募集が終われば利用停止(その場合は0円)。再度募集する際は、再稼働させる柔軟性も持っております(Lexi 代表取締役 小堀恵一氏)

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