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多機能でコンパクトな非常用電源装置 中小テナントビルのBCP対策に必須

2020.03.02 16:39

 台湾C-LiFe社のリン酸鉄リチウムイオン電池総輸入元であるコタック(神奈川県茅ケ崎市)が、「多機能コンパクト150wh非常用電源装置」を開発したのは2017年。以来、販売の牽引役を担っているのがセットアップ横浜(横浜市港北区)。ビルオーナーなどへ積極的に営業を行っている。
 その名の通り、多機能かつコンパクトサイズな非常用の蓄電池。寿命の長いリン酸鉄リチウムイオン電池を採用。放電深度100%(完全に使い果たしてから満タンに充電する)で2000回以上のサイクル寿命を持つ。自己放電率は月1%以下で、3年後も約70%の電力が残る。熱分解による発火の心配もなく安全性も高い。また大型LEDパネル照明やAC出力コンセント、USB出力ポート等を付属しており、ブースターケーブルの接続やシガーソケットの接続なども可能だ。
セットアップ横浜の営業部長・山田紀雄氏は「非常用電源装置は災害時や非常時に活躍します。いかに放電せず長く電力が残るか、何度でも使用できるのかが重要です。この製品は電池容量が150 whあり、更に照明としても利用可能。この非常用電源装置につきましては、3・8kgと軽量のため非常時にもポータブルで使用できる点が好まれて、テナントビルや商業施設、昨今では老健施設やクリニックなどでもニーズが高まっています」と語る。
 またコンセントに繋いでおけば、電力の供給のストップと同時に停電灯としても機能する。非常口近くに置いておけば非常口への案内役(目印)も可能だ。
実は認識が低い問題に「非常灯の切れ」がある。停電時に明るさを確保できるが、一定時間を超えると内蔵電源が切れてしまう。電力の供給が止まると約30分~1時間で消える物が多い。そうした際に、停電灯機能を使用しておけば、約24時間の点灯も可能となる。
 中小テナントビルのBCP対策としても必要である。大規模オフィスビルやデベロッパーが注力する中規模オフィスでも2回線もしくは3回線の受電方式を採用。別途テナント用に非常用電源(バックアップ用)を備えているケースも多く、48時間から72時間継続して電力供給が可能。中には街区内一帯の電力供給を担うエネルギープラントから供給される事例もある。東日本大震災以降、企業はBCP対策が施されているビルを好む傾向が増加。リーシング力で負けないビルをつくるためには、もはやテナント用の非常用電源装置は必須である。
 山田氏は「一昨年の北海道地震や昨年の台風15号による被害が大きい地域では、電力の確保に苦労する企業がいたる所で見られました。中には倉庫に非常用電源装置は置いてあったが『使ったことがない』や『電源の残量僅か』といった具合に、宝の持ち腐れという事例も聞いております。ビルオーナーの場合は、自身・自社だけでなくテナントの事業継続性についても考慮しなければなりません。事前に購入し、半年に1回はチェックすることでテナントを守る意識も持つことが大切です」とオーナーの心構えについても言及した。

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