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建築物のZEB化推進、温暖化抑止効果に新技術

2019.06.17 18:16

ラディクールジャパンが設立記者発表会を開催
日本法人代表に元カルビーの松本晃氏

 2017年、コロラド大学ボルダー校の楊栄貴教授を中心とする研究チームが「放射冷却メタマテリアル技術」をサイエンス誌に発表し、世界中から大きな注目を集めた。その革新的技術が地球環境改善に貢献し、ビジネスとしても大きな可能性を持つと確信したのが、日本を代表する経営者の一人である松本晃氏だ。カルビー元会長として長年経営に携わってきたが、自ら起業するのは今回が初めてという同氏。2019年2月にラディクールジャパン(東京都中央区)を設立。開発者である同社取締役でもある楊栄貴氏と共に、設立記者発表会に登壇した。

 「世のため、人のために役立つことやるのが私の経営ポリシー」と語り始めたのは、ラディクールジャパン取締役会長・CEOである松本晃氏。2018年初秋、松本氏は後に同社代表取締役社長COOとなる何軍氏から画期的な技術があるとの情報を得ていた。その後、中国で生産されていた「Radi―Cool」製品に実際に触れ、「これは地球環境を守るために役立ち、ビジネスとしての可能性も大きい」と確信したという。
 いったい何が革新的なのか。松本氏の言葉を借りると「ラディエーション(放射)を使って、地球を冷やせる技術」となる。わかりやすくするために、晴れた日の翌朝に気温が下がる放射冷却現象を見てみよう。温められた地表が電磁波を放出して温度を下げるわけだが、放出された電磁波の多くは大気によって吸収・反射・乱射されるため、上空に熱が残った状態になる。
 しかし、波長が8~13マイクロメートルの赤外線に限っては、大気を通り抜け宇宙空間に放射される。この波長域が大気の窓と呼ばれるが、楊栄貴氏らの研究グループが発表した「放射冷却メタマテリアル技術」は、物体からの熱放射をその8~13マイクロメートルの赤外線に集約して宇宙空間へ放出させる技術。大気中に熱を残さず放出するため、地球環境により優しく画期的と言えるわけだ。
 この技術が生かされた「Radi―Cool」製品は、例えば住宅の屋根に用いれば、屋根の温度はもちろん室温も下げることでエアコンの稼働を抑えることができる。ビルや建築物、工場、倉庫、農業ハウス、太陽光発電、自動車等、その用途は広い。塗料も開発されたことから、形状を選ばずに幅広く使われるようになる。松本、何の両氏も「お客様がここに使いたい、こう応用したいと言ってくれるはず」と販路開拓に自信を覗かせる。最先端の技術力と揺るぎない経営力。二つを併せ持つ同社の未来に期待したい。


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