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駅から徒歩1分 30分100円が魅力のコワーキングスペース

2018.11.12 14:56

カフェ運営者と利用者とのジレンマに着目して開始

 「渋谷」駅宮益坂口から徒歩1分の好立地に、リーズナブルな料金設定が魅力のワークスペースがある。その名は「konochikara(コノチカラ)」。今年9月に開設した、ドロップインで利用できる無人運営コワーキングスペースだ。
 「konochikara」はJR「渋谷」駅から徒歩1分、東京メトロの10番出口からは30秒以内で辿り着ける「渋谷宮下パークビル」の地下1階にある。営業時間は7時~22時で、年中無休でオープン。初期費用は無料で、かかる費用は利用した時の場所代のみ。料金は30分100円(税込)で、5~10時間の利用となると1000円均一の割引となり最大60分100円となる。フリーアドレス制の月額プランも用意。低価格で駅近、無人店舗のため気兼ねなく利用できることが評価され、開設から間もないにも関わらず利用者は日を追って増えている。
 また全席に電源(1席あたり2口)を完備し、高速Wi―Fiや月極ロッカーも用意。アルコール以外のドリンクや軽食も持ち込み可能。カフェでワークするよりも割安で快適な環境である。
 同スペースを展開する千両(東京都港区)代表取締役社長の奈良武郎氏は「ガヤガヤ賑やかで混雑しているチェーン店舗のカフェとは違い、会話などはOKですが程良く静かで快適なため集中しやすくワークがはかどると思います。かつ無人運営式のため、自分の第三のワークスペースとして気兼ねなくいつでも使える点も『konochikara』の魅力の1つです。また数名で行う仕事や作業、グループでの勉強、読書やネットサーフィンなどでも活用できます」と語り、柔軟性の高さも伺える。
 そもそも奈良氏は、カフェ運営者と利用者とのジレンマに着目して同事業を開始した。利用者は「本当はカフェではなくて、もっと安くて快適なワークスペースがほしい」といったニーズがあり、一方カフェ運営者は「利用客の回転率を上げたい。カフェ目的とワーク目的の利用客が混在することに頭を悩ませる」などの悩みがある。だが、いまではカフェでワークをすることが当たり前になり、カフェ運営者も利用客の回転率を上げるためとはいえワーカーを追い出すことは難しい。双方ともに決定的な打開策がない混沌とした状況に奈良氏は着目し、それらのニーズに応えたワークスペースとして、ワーク目的専用のカフェ空間「konochikara」を発案した。
 奈良氏は「誰でも気軽に利用できるとはいえ、セキュリティには気を付けております。初めての利用者は事前申し込みが必要です。申し込みが完了後、ご本人専用の鍵案内メールを送ります。この鍵案内メールを使用して、ワークスペースの入り口に取り付けたスマートロックを解除して利用する仕組みです。ちなみに、この鍵は事前準備不要で、スマホか携帯があればどなたでも簡単に開錠できます。そのため事前の登録が無ければ、無断で立ち入ることはできません」と語る。
 デスクワークなどに快適な環境を構築しつつ、セキュリティにも注力した結果だ。普段カフェで仕事している利用客に是非知ってほしいサービスである。

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