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ビーロット 「港区ブランド」生かした商品化に注力

2018.09.03 17:42

 総合不動産コンサルティングのビーロット(東京都港区)は、今年6月に店舗・事務所ビル「虎ノ門SE」を竣工した。同ビルは地上8階地下1階建てで、貸床面積は延約123坪のコンパクトビル。同社は中古物件における不動産再生を得意分野としてきたが、近年、不動産開発事業も推進している。背景には、インバウンド投資の需要があり、同社は海外投資家が好む『港区ブランド』を商品化につなげていきたいという。

 ビーロットでは、港区という街をどのように捉えているのだろうか。不動産コンサルティング部・課長の田代靖明氏と不動産投資開発本部の羽鳥直希氏に聞いた。
 「弊社は、シンガポールに現地法人も構え、海外投資家からのインバウンド投資ニーズにワンストップで対応をしています。海外の投資家様は『港区ブランド』を高く評価されており、六本木や麻布という物件リクエストをいただくことが多い。しかし現在マーケットにある物件は築古が多く、利回りが低いという現実があります」(田代氏)
 結果的にはキャッシュフローを重視し、都心ではないエリアや、札幌の物件を買われる方もいる。港区の売り物件における需要ばかりが高まり、圧倒的に足りないという。海外の投資家にとっては、地団駄を踏むような状況だ。
 同社が建築した「虎ノ門SE」もいずれは売却する計画であるが、国内のみならず海外の投資家ニーズを見込んでの商品ラインアップだという。
 「港区の築浅物件の買い手候補としては、保守的かつ長期的な視点から値段が落ちにくいエリア・アセットを投資対象と考えるお客様。これから日本の不動産は上昇余地があると予測し、プライベートバンカーがついていらっしゃるような投資家様が一つのターゲットと考えています」(羽鳥氏)
 リーシングの募集賃料も、1坪あたり約2万5000円程度。4~5年前より1・2~1・5倍は、相場が上がっている。それでも都心エリアでは、テナントニーズがあるのではないかと話す。
 「弊社の『虎ノ門SE』は、エントランスを敢えて裏側に設置し、路面から見て外観が上層階まで美しいフォルムになるように設計されています。エントランスを奥にすることで美しい長方形の間取りになり、外観上の『デザイン性』と間取りや設備の『機能性』の双方にご満足いただけているようです。おかげさまで順調に、賃貸テナントが決定しております」(羽鳥氏)  エントランスのアプローチを広くとり、路面側を全面ガラス張りにする。黒か白かのコントラストで、建物を印象づける。そして効率的な機能性を兼ね備える。こういった工夫で、ハイグレード感を醸していくのだという。
 今後、同社は港区でどのような展開を図っていくのだろうか。
 「当社にとって、港区は当社の創業の地であり、とても思い入れの強いエリアです。地域の発展につながる事業に積極的に取り組み価値創造を図っていきたいと考えています」(田代氏)

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