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ママを助けるシェアオフィス 子育てと仕事を両立させる新しい働き方を提供

2018.06.04 18:01

 働き方の形態はライフスタイルの多様化と比例し、近年急速な広がりを見せている。より自由性が求められるようになった昨今ではシェアオフィスを利用するニーズが増え続け、施設ごとに独自の環境を整えた個性ある店舗が登場している。今回紹介するシェアオフィスは子育てをしながらも仕事をしたい女性を助けるシェアオフィスである。

子供と働く親をつなぐワークスタイルを構築
 渋谷区千駄ヶ谷、多種多様な人々が行き交う「北参道」駅からほど近い立地に今年4月オープンした「マフィス北参道」は、保育サービス付きのシェアオフィスである。運営を行なうオクシイ(東京都渋谷区)は昨年春、横浜市にも「マフィス横濱元町」をオープンした。
 北参道店は2階にオフィス、3階に保育施設を併設。オフィスは24時間利用可能でフリーデスクは20席あるほか、ミーティングルーム2室や個室のスモールオフィス5室、ラウンジが設けられている。同施設が北参道に設けられた背景には元々、世田谷区馬事公苑にあった1号店が移転した形で、最寄りの東京メトロ副都心線「北参道」駅をはじめJR・都営大江戸線「千駄ヶ谷」駅や「原宿」駅からのアクセスが良い点が挙げられる。そのため沿線に住む利用者が多く渋谷区はもちろん、目黒区や世田谷区、遠方は江東区や杉並区からも通う人もいるという。またオフィス環境という点においても交通の利便性だけでなく、銀行や郵便局などの便利施設や飲食店などが徒歩圏内にあるため、ビジネスの拠点としての優位性も高い。
 「マフィス北参道」のオフィス内部に入ると、いたる所に植栽が施されているのが印象的である。同社の代表取締役・高田麻衣子氏はデザインについて「カフェのような居心地の良い場所をコンセプトに案を出しました。普段の生活に忙しい方は色々と雑多になりがちで、在宅ワークではデスク周りの片づけから開始することも多々あると思います。当オフィスの機能として、利用者がお越しになられた瞬間から仕事モードに切り替われる空間構成を心がけており、デスクの広さや椅子の座り心地はもちろん、各所にアロマを焚いて五感に働きかける環境づくりを行っています」と語る。
 一方3階の保育施設は、国から企業主導型保育事業に認定され助成金が活用されている。あくまで都市部におけるビル内保育施設だが、同社では日常的に近所の公園への散歩を行ない、折れない心を育てるレジリエンス教育を取り入れるなど良質な保育にこだわっている。そのほか年齢が異なる子ども同士が触れ合う環境を用意し、人を思いやる力を育み、豊かな人間関係を構築する素地につなげている。給食には1級フードアナリスト・とけいじ千絵氏が監修し甘味・苦味・酸味・塩味・うま味など五味を意識した「味覚を育てる給食」が提供される。保育においてもしっかりとした理念を持つ「マフィス北参道」。利用者にはフリーランスや起業家で、育休がなく出産後すぐに仕事復帰した女性も多い。今後の展開について高田氏は「来年には新たな拠点を増やしたいと考えております。立地の条件は多くの人が暮らし、複数路線が乗り入れている街です。生活に取り入れやすい場所に施設を作ることによって、ライフスタイルに合わせてワークスタイルを変化させたい人たちを応援していきます」と語る。子どもと働く親をつなぎ、新しいワークスタイルを提供している同シェアオフィス。一億人活躍社会の実現に向けて、今後ますます需要が増えそうだ。

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