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スノーフレイクス 工事中不動産を有効活用!?新たな屋外広告

2018.04.02 16:22

 ビル市況が好調のなかで有効活用の手立てが少なくなっている。だが建替えや修繕の際の有効活用に関しては、実は「手つかず」。そこに目をつけたのが昨年12月に起業したばかりの25歳の青年実業家だ。「保守的」な業界を変える一手となるか。

 「保守的」な不動産業界に新たな風を吹き込ませるのは、異業種からの果敢なチャレンジかもしれない。
 2017年12月に設立したばかりのスノーフレイクス(東京都新宿区)では屋外広告による「工事中不動産」の有効活用を勧めている。
 代表の和田有丞氏は25歳の青年起業家。同氏が着目したのは建替えや修繕などの工事を行う、いわゆる「工事中不動産」だ。
 「そもそもは学生時代のことでした。高速道路を運転していると屋外広告が目につきますが、隣のビルが工事中で防塵シートに覆われているケースが少なくなかったのです。『あのスペースを活用することはできるのではないか』と思って、事業を開始しました」(和田氏)
 昨年10月に前職を退職し上京。複数の企業が興味を示した。そこで本格的な事業展開を目指して会社を設立したという。
 工事中不動産の活用は「オーナー側にも広告企業側にもメリットが大きい」と話す和田氏。「オーナーにとっては初期費用なく、工事中でも不動産から収益を得ることができます。また広告企業側も従来の屋外広告よりも割安に出稿することが可能です」と説明する。足元では建設費用が高騰している最中。建替え費用の一部を賄う意味でも有効に機能しそうだ。
 サービスは不動産オーナーから申し込みを受けて広告企業とのマッチング、各種法令の確認や行政上の手続きをスノーフレイクスが進めていく。広告料金は「基本的に当社が『適正』と考える価格をオーナーに提示する」(和田氏)。
 こうしたサービスはこれまでなかった。それだけに「不動産オーナーをはじめとして、業界の人への説明も一苦労」だという。しかし「当たる」という感触が出始めてもいる。
 「実はあるオーナーからは関心を示してもらっています。まだ正式な契約にはなっていませんが、4月以降に初の実績が生まれるかもしれません」(和田氏)
 将来的には「マッチングのプラットフォーマーを目指したい」という和田氏は今、足で稼いでいる。「10件の成約」を今年の目標に据える。工事中でも不動産を「金のなる木」にするかもしれないサービス。シートをかぶせているだけでは一文にもならない。

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