週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

クルトン リノベや設備更新不要、低コストで始められる空室活用サービス「share ‘be」

2017.12.25 10:40

半年余りで40件超をコンサルティング、「収益力」がポイントに

 遊休不動産活用などのコンサルティングを行うクルトンはビルやマンションなどの空室活用事業「share,be」を開始した。この事業は空室を貸し会議室やレンタルオフィス、自習室、イベントスペースなどに活用して再生を行うものだ。

 同社は2016年の会社設立以来、民泊セミナーの開催や民泊総合情報メディアを展開。民泊の最新情報を提供するとともに、民泊を始めようと検討している人にとっての入口にもなってきた。
 ただ代表取締役の青山豪輝氏は「年初頃から潮目の変化を強く感じている」と話す。そのきっかけとなったのが、住宅宿泊事業法において「180日」が制限になると報道されたことだ。
 「これまでセミナー参加者は既に民泊を始めることを前提にしている人が多かった。しかし最近ではセミナー参加者でも民泊への参入意識はすっかり下火です」(青山氏)
そこで同社では旅館業法の簡易宿所許認可を取得したホテル、他のシェアリングエコノミーでの空室活用にシフトを決断するに至った。そのサービス展開となったのが今回の「share,be」だ。
 既に都内を中心として48件の運営を行い、直近で新たに4件の運営を開始するという。同社が実験的に運用を始めたのが5月、そこから半年余りでの急成長。その理由のひとつは安価な費用にありそうだ。
 「運用を行う貸主からはコンサルティング料金として5000円、その他、内装のデザイン費用や家具・備品の設置費用などはありますが、それぞれ10万円前後。すでに物件を所有されている方、あるいは事業用であることの承認をもらっている物件を借りていれば、これくらいの資金ですぐに開業することができます」(青山氏)
 実際に出ている収益は目を見張るものがある。渋谷区鶯谷町のある物件の1部屋では貸会議室としての運用を行っている。そこは通常、家賃収入で得られる金額の3倍近くの売上をあげています。「『share,be』は無人運営を基本とするため、人件費もかからない。家賃を抜いた分だけ手元に残るが、これは比較的うまくいった事例」だと青山氏は言う。
 現在は首都圏を主に事業を展開しているが、今後は名古屋、大阪、福岡など大都市圏を中心に広めていくことを検討している。
 「これまでは空室を埋めるためにリノベーションや設備更新によって物件の価値を高めようとするものが一般的でした。しかし最近ではシェアリングエコノミーの利用が世間に浸透しつつあり、リノベなどの大きな費用をかけずとも、シェアリングエコノミーを取り入れるだけでも大きく収益を改善することが可能になってきています。今後は会議室やレンタルオフィス、イベントスペースだけでなく、新たな使い方を提案する空室活用も提案していきたいと考えています」と青山氏。全く新しい空室活用のあり方を発明できるか、期待がかかる。

PAGE TOPへ