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「プレリートファンド」登場 新・不動産特化型クラウドファンディング

2017.12.25 10:52

 新しい不動産投資の手法として広まりを見せているクラウドファンディング。これまでオフィスや住宅、不動産再生型まで様々なコンセプトを持つプラットフォームが誕生している。そのなかで国内成長分野の不動産に特化したサービスが出てきた。
 


主要な出口戦略はリートへの売却 プロ向け物件を一般投資家にも
 新しい不動産投資の形として注目を集めているクラウドファンディング。このビジネスに新星が登場した。
 国内の成長分野である観光、ヘルスケア、エネルギー、インフラ不動産に特化したクラウドファンディング・サービス「プレリートファンド」。プレリートファンド(東京都千代田区)が運営、今月11日に投資家募集を開始し、18日から案件の募集をスタートさせた。既に第1号ファンドとして3案件を、第2号ファンドとして2案件を組み込んだ「ヘルスケア・プレリートファンド」の募集を開始している。
 「『プレリートファンド』はこれまで機関投資家のようなプロ向けとなっていたホテルやヘルスケア施設などをより一般的な投資対象として広めていくことを第一の意義に据えています」
 このように語るのは代表取締役の木山憲一氏。12年にわたっての幅広い投資銀行業務の案件を統括した経験を有し、国内におけるヘルスケア・セクターへの投資実績は700億円に上る。その経験と培ったノウハウは「プレリートファンド」において存分に生かす。物件の目利きも「将来リートのポートフォリオに組めるレベルの物件」に絞る。
 そして同社が出口戦略として見据えるのは国内外のリートへの物件売却。
 「Jリートの資産規模を30兆円に倍増しようというのが国土交通省の方針としてあります。伝統的にオフィスやマンションはポートフォリオとして多いが、ホテルやヘルスケア、エネルギー、インフラはJリートにおいても歴史はまだ浅い。私は今後日本において成長性のある不動産のセクターはマクロ経済の成長ストーリーが描ける観光とヘルスケア分野が中心になると考えています。当社の物件をリートに供給し、需要に応えていきたい」(木山氏)
 リートへの物件売却を見据える「プレリートファンド」への期待は高い。
 木山氏によると投資家登録を開始したのは11日夜。そこから約1日半で500名にまで上った。瀧本憲治氏が代表を務め、投資家の募集媒介、システム構築の支援を行うmaneoマーケット(東京都千代田区)の存在も同社の信頼性を高めている。
 ただ木山氏は「アクティブな投資家をどれだけ引き付けることができるかがポイント」と話す。
 18日から初回募集開始された同社の「ヘルスケア・プレリートファンド」は、募集開始からわずか4日で既に成立ローン総額は1億1500万円(登録ユーザー数866人)となる(21日現在)。
 木山氏は「既に募集総額100億円分の案件がある」と言い、「続々と公開していきたい」と意欲を見せる。
 クラウドファンディング型の不動産投資市場はまだ草創期だが、「プレリートファンド」は不動産特化型クラウドファンディングの世界に一石を投じそうだ。

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