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日本不動産研究所「不動産取引市場調査」 外資系プレーヤーの不動産取引が拡大

2017.09.25 10:54

リートへの物件集積で「モノ不足感」も
 不動産価格の高騰により「物件を取得できない」との声が多く聞こえてくる中、不動産取引市場はどのように動いているのか。日本不動産研究所(東京都港区)が20日に発表した「不動産取引市場調査(2001年上半期~2017年上期)」から、現在の市場動向が見えてきた。

 日本不動産研究所(東京都港区)は20日、「不動産取引市場調査(2001年上半期~2017年上期)」の調査結果の概要を発表した。上場リート、東京証券取引所、不動産情報誌「日経不動産マーケット情報」等の公表事例を独自に集計したもので、約2万2600件の取引事例を収集し、データベースを構築した。結果概要を次のように述べている。
 不動産取引市場の規模(取引金額が公表されている取引事例についての取引金額を合計)は2007年上期に約3兆円に達しピークに到達。その後、リーマンショックが生じた2008年下期に約1兆円程度まで市場が縮小、ピーク時の約3分の1の規模になったが、政権交代を経た上期以降は2兆円を越え、大幅に拡大。2015年上期まで半期ベースで2兆円~2・6兆円程度で堅調に推移。2015年下期は約1・8兆円と大幅に減少したが、その後は概ね2兆円前後で推移しており、取引市場は成熟化・長期均衡化の様相を呈している。
 地域別にみると、取引金額割合では2016年上期以降一貫して都心5区、東京23区内の割合が減少している。地方への拡大の動きにも一服感が見られる一方、2017年上期は首都圏の取引金額の割合が増大。都心でのモノ不足から地方へ投資が拡大したが、地方でもモノ不足感が強まり、相対的にリスクが高い首都圏湾岸部の大型オフィスが取引対象となったとみられる。
 取引主体は上場リートの買い越しが目立ち、リーマンショック以降も唯一買い越しを続けるプレーヤーとして存在感を高めている。ただ、リートが取得すると売却するケースは限定されることからリートへの物件集約が不動産取引市場でのモノ不足感を生み出す要因の1つになっている。しかし、2017年上期はリートの取得金額が減少、外資系プレーヤーの再び勢いを増し、スポンサーからの取引量の減少や東証リート指数の低迷もあり、リートにとっては取得環境が厳しくなっている。
 一方、外資系プレーヤーの動向として2014年下期~2015年上期で取得金額が4000億円~6000億円に膨らんだが、売却金額も増加。売り買いは同規模になった。2017年上期は取得金額が増加し、わずかだが買い越しに転じた。2017年下期以降も外資系プレーヤーによる活発な売買が行われ、引き続き外資系プレーヤーの動向が注目されるとしている。

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