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平成エンタープライズ メーンの旅客運送業を生かし訪日観光客に「体験」を提供へ

2017.08.07 14:09

 バス旅客運送事業をメーンに据える平成エンタープライズ(埼玉県富士見市)。同社では2010年にラウンジ事業、2014年からは「ホステルわさび」などのゲストハウス事業を開始し、訪日観光客向けの取り組みを開始したことで知られる。そして6月1日、同社の新規事業として鍵の受け渡し・チェックインに限定した民泊代行事業のスタートを発表した。
 今回のサービススタートの狙いについて代表取締役の田倉貴弥氏は「ひとつは既存事業で観光バスやラウンジを有している当社が代行事業に参入することで、ホスト・ゲストに対しこれまで以上の価値を提供することできると考えた」と話し、次のように続けた。
 「当社が代行業を行うことで訪日観光客受け入れの際の課題をクリアにしていくことができます。たとえば、ラウンジは空港から都市へ、そして都市から観光地へ向かうターミナルの役割も果たしていますが、ここでチェックインや鍵の受け渡しを行うことで、無駄な時間を省いていくことが可能です。また今年4月からは当日一時荷物預かりのサービス『手ぶら観光サービス』を開始しています。これを利用することで宿泊施設などを経由することなく、ノンストップで観光地へ行くことが可能です」
 そして、今回の新規参入の狙いのもうひとつは「民泊の自社運営」に向けた試金石であるということだ。
 先般、宿泊事業法が成立し、今後1年以内には施行され、ボールは条例を制定する自治体側に投げられる。
 「今後、自社運営を進める上で法律制定後の民泊業界がどのような変遷を辿るか、見極めていく必要があります。自社での民泊運営に向けて、現在テスト運用も始めていますが、今後本格化に向けては民泊物件の買取も手段と考えています」(田倉氏)
 民泊は法律成立を受けて、大手事業者が数多く手を挙げだしている。競争激化は必至だが、それでも田倉氏は「ゲストハウス事業をイチから築き上げてきたノウハウと、メーンの事業とのシナジーで、すでに勝算はできている」と意気込む。
 訪日観光の課題を事業全体でクリアにする同社の船出がどのような航跡を刻むか、注目したい。

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